古い洋館に招かれた十人の客は、皆、驚いた。

 食堂に、自分たちと細部までそっくりな等身大の蠟人形が飾られていたからである。

 翌朝、その蠟人形のうち、若い男性のものの首が転がり落ちていた。彼自身は、今、食堂にはいない。嫌な予感がして、皆が彼の部屋に駆けつけてみると、そこには、首が切断された男性の死体──。

 それが、毎夜起こる連続殺人事件の幕開けだった。

 五日目の晩、一人の招待客が、自分は探偵であると名乗り、そして、一人の女性を指さして言った。

「犯人は、貴女あなただ!」

 探偵に、犯人と名指しされた女性の部屋からは、巧妙に隠された凶器のナイフが発見され、また、パソコンのシークレットファイルからは、今回の犯行の計画書が見つかった。

 今や、すべての謎が暴かれた。犯人の女性は、身体からだを震わせながら言った。

「なぜ、私が犯人だと気づいたの! 完璧なトリックだったのに!!

 探偵は、やや気まずそうに言った。

「ここにいる皆、貴女が犯人だということに、うすうす気づいていたと思いますよ。あれを見たときからね」

 探偵が指さしたのは、犯人を模した蠟人形であった。

「あの蠟人形を作ったのは、犯人でしょう。ほかの全員、寸分違わず、実物とそっくりに作られているのに、あなたの蠟人形だけは……実物よりも、蠟人形のほうが、はるかに若く美しくできている! 貴女は、盛りすぎた。いや自分自身が見えていなかった!!