女子会


 アオイたち四人はルネット帝国に入国し、少しの間、トウヤの屋敷でお世話になることになった。

 憧れていた貴族のような生活であったが、常にメイドに世話をされ、堅苦しさから逆に心休まらない日々が続いていた。

 そんなある日、トウヤと一緒に訪れた養護施設でルミーナが部屋を借りていることを聞き、四人も空き部屋に住まわせてもらうことになったのだ。

 アオイはもともと保育士を目指していたので、ギルドの依頼の合間に養護施設でサヤの手伝いをしていた。子供たちも四人にはすぐになつき、居心地のいい生活を送ることができたのだ。

 そして、本日は女子会が開かれた。

 参加者はサヤ、ルミーナ、アオイ、アユミ、サキ、シノブの六人だ。すでに子供たちが寝静まった後にテーブルを囲むことになったのだ。

「それでは第一回女子会を開きたいと思います!」

 アオイの一声にアユミたちの拍手が起きる。しかし、サヤとルミーナの二人は首をかしげた。

「あの……女子会っていうのは……?」

「サヤさん、女子会っていうのはね、普段男性陣たちがいる時に話せないこと。例えばトウヤさんの前で話せないぶっちゃけたトークをしようってことだよ」

 アユミの言葉に少しだけ納得したのか、ルミーナとサヤの二人がうなずいた。

「まずは乾杯しましょう。いろいろと話したい時はお酒の力も借りないと!」

 サキたちは日本では未成年であったが、この国では一五歳で成人なのでアルコール度数の弱い果樹酒を用意していた。

 もちろん、ルミーナだけはエールである。

 乾杯をしてからアユミが司会を務めることになった。

「まずは皆さんがトウヤさんと知り合ったきっかけを教えてくれたら。最初に知り合ったのはルミーナさんですよね」

 ジョッキに入ったエールを半分ほど飲み干したルミーナが、テーブルにジョッキを置いて大きく頷いた。

「そうだな。最初に会ったのはギルドの資料室だったが、その後に一緒に護衛の依頼を受けたんだ。その時だったな。──エールは冷やしたら美味うまいってことを知ったのは。あとはトウヤの作る飯が美味い!」

 その言葉にアオイたち四人は吹き出した。

「トウヤがいないと冷えたエールが飲めないのがつらいぞ!」

「あの、そのエール冷やしましょうか? 私も魔法使えますから」

「おぉ! ありがたい! ぜひ頼む!」

 ジョッキをアユミの前に差し出すと、魔法が掛けられ一気にエールが冷えてくる。満足そうな表情を浮かべたルミーナがテーブルに置かれたつまみを口に放り込みまた飲み始めた。

「やっぱりこれだよ! これ!」

「それで、ルミーナさん、そのあとは?」

「そうそう、その後はな、トウヤがシャル皇女とアルの二人を助けたことが原因で、ジェネレート王国がサランディール王国に乗り込んできたんだ。トウヤたちは追われて、兵士とギルドの冒険者総出で捕まえようとしたんだが……トウヤたち四人に撃退された。その時にトウヤと一対一で戦ったんだが、家宝の宝剣は折られ、一撃で逝きそうになったぞ。おかげでこんないい剣をトウヤからもらったけどな」

 あはは、と笑いながらエールを飲むルミーナに全員が苦笑する。

 アユミは話の流れを変えるために、今度はサヤに話しかける。

「サヤさんの出会いは?」

 いきなり話を振られたサヤは動揺するも、思い出すように話し始める。

「私はダンブラーの街で親の代から養護施設をしていたのです。親が亡くなって一人で切り盛りしていたのがたたったのか、熱で倒れた時にレオルが冒険者ギルドで頼んだらトウヤさんが来てくださったのです。たった銅貨三枚の報酬で回復魔法を……。その時に子供たちにたくさんご飯を食べさせてもらい、寄付もかなりの額を……」

 サヤの話の途中で、アオイたち四人はすでに目に涙を浮かべていた。四人も銅貨三枚の価値は理解できている。普通なら依頼を受ける者などいないはずだ。

 サヤはそのまま話を続ける。

「トウヤさんからのことづてで、ルミーナさんが養護施設に住むようになって、そして養護施設を移さなければいけない時に、たまたま訪れた商人のアリスさんから、トウヤさんのことを聞き、帝都を訪れたのです。この帝国でもいろいろとありましたが、トウヤさんは以前と変わらない優しさで守っていただきました」

 ほおを染めたサヤに、アオイたちは気づいた。

「も、もしかして、トウヤさんに──好意を……?」

 アオイの言葉にサヤの頬はさらに赤く染まる。

「「「「キャーー」」」」

 恋バナ好き世代の四人にとっては、この話はたまらなく魅力的なものだった。

「もっと、もっと話を聞かせて!」

 盛り上がった六人の話は深夜になるまで続くのであった。