
ジェネレート王国上層部には焦りが見えてきた。
勇者ラルクスの活躍で一度はルネット帝国の帝都を征服したものの、何者かの手引きによる皇族の逃亡、そして第三王子であるラセットの捕縛。
それだけでも
その中で寛容できないのは────勇者の敗北。
ルネット帝国の冒険者一人に勇者が敗れたという。しかもただでさえ賠償金で王国内部の運用資金が枯渇している状態での追加の賠償金。
シファンシー皇国への契約書を移送するのを邪魔しようとして、さらに失敗を重ねた。
王国の
国王は度重なる失敗に頭を抱えていた。
「お父様、いえ、陛下。わたくしが勇者ラルクス様と一緒にルネット帝国を滅ぼして差し上げます。ルネット帝国が存続する限り、王国は賠償金を支払っていかなければなりません。しかし、支払う先のルネット帝国が滅亡してなくなれば? もちろん支払う必要もございませんわ」
ジェネレート王国第一王女である、シャーロンが国王の私室にて、国王相手に話を始めた。
「いや……。しかし、勇者殿もルネット帝国の冒険者に敗北を喫したと聞いておるが……」
「それは、勇者様に同行する兵士を盾にされたのでしょう。勇者様はお優しいですから。人質がいない今でしたら、勇者様を止められる者もおりません。ラセットは帝国を手中におさめた時、王座で
自信たっぷりのシャーロンに、国王も
だからこそ今しかなかった。
シャーロンの説得に次第に国王の表情は明るくなる。
「そうだな。帝国を手中におさめたら、亜人の奴隷はいくらでも手に入る。そうすれば王国は発展し、皇国などにも気を使わず王国がこの世界の覇者になることができる」
「さすが陛下。その通りでございますわ」
シャーロンの言葉に自信を持ち直した国王は拳を力強く握る。
「シャーロン、すまないが勇者殿の説得を頼んでもいいか? 勇者殿はお主のことを好いておるようだしの」
「えぇ、その件についてはお任せください。勇者様をその気にさせてみせますわ」
自信たっぷりに答えたシャーロンは、頭を下げて国王の私室を退出し廊下をゆっくりと進む。
「……見ていなさい、帝国の亜人ども。私がこの世の全て……そして勇者をも支配するのよ」
口元を緩めたシャーロンは小声で