ダンジョン探索を兼ねた休暇のつもりで訪れたアールランドでのダンジョンで起こったはんらん

 そしてジェネレート王国との攻略競争、さらに勇者との──対決。

 それよりも、たくさんの地竜アースドラゴンやSランクの岩石竜ロックドラゴン、そして守護者でありSSランクの多頭竜ヒュドラ

 レベル上げとして──最高だった。

 最上位職になってなかなかレベルが上がらないと思っていたが、予想以上にレベルが上がったから満足したが、シャルたちに置いていったことを散々しかられてしまった。

 帝国首都に戻った俺は、今回の功績に対して精霊石が彩られた勲章と新たに城から近い場所にある屋敷を与えられた。爵位を公爵に昇爵する話もあったが、断ったのでこの褒賞となったのだ。

 ……しかし家精霊エレメハス付きについては、褒美なのか押しつけられたのか微妙な気持ちになる。

 正直、家精霊エレメハスはフェリスがいれば問題はない。屋敷についても二つあっても仕方ない。かといって皇帝からもらった屋敷を売り飛ばすわけにもいかない。

 目の前に広がる以前よりも豪華な屋敷を眺めながら思わずため息が出る。

 皇帝からは「何かあったらすぐに駆けつけられるように」と言われてこの場所にある屋敷をもらったのだが、俺一人で住むには広すぎる。

 ちなみにサヤをはじめルミーナや子供たちは以前住んでいた屋敷に滞在させている。

 本当なら一緒に住むことも考えていたが、貴族街に従者以外の平民が住むことは原則として禁止されていた。

 特例として一定期間だけ滞在することを許可されたが、そのうち平民街に移動しなければならないと家令からも言われている。

 豪商など貴族街に許可を得て店を構えている者は別として、安全を考えれば仕方ないことだろう。

 貴族としてまだ日が浅い俺は、皇帝から屋敷に日々派遣されている家令たちに教わることも多い。

「……それにしてもこの新しい屋敷どうするかな。なぁコクヨウ?」

 ヒヒィンと鳴くだけで、早く敷地に入れとばかりに鼻で背中を押してくる。

「わかったよ。とりあえず家精霊エレメハスと会ってみないことにはな」

 無人だった期間が長いのか少しだけびている門を開けて中へと入る。中庭も広く中央には噴水の名残まである。

 家精霊エレメハスは認められた主人がいる場合は敷地内の管理を行ってくれるが、主人がいない場合、屋敷の維持という最低限のことしかできない。

 どういう原理でそうなっているのかは不明であるが、言葉を発することのない家精霊エレメハスに聞いても答えは返ってこないだろう。

 ただ、例外がいる。それがフェリスだ。しかしフェリスに聞いてみても「わからない」と言うだけ。

 俺のまとっている魔力が美味おいしいというが、魔力を吸われているわけでもないし、ゲームにあったシステムでもないので不明である。

 そんなことを考えながら俺は扉に手をかけた。

 ゆっくりと扉を開けると、中はれいに維持されている。

 玄関ホールの中央に立つ。

「いるなら出てきてくれ。この屋敷のあるじになったから挨拶がしたい」

 すると目の前に白い渦が巻き起こり、そして家精霊エレメハスの──幼女が現れた。

「えっ、うそだろ……」

 俺は驚きをあらわにする。

 なぜなら現われた家精霊エレメハスはまだ一〇歳にも満たないように見えた。フェリスと同じ腰まで伸びた白い髪で、あおい目に同じ色のちょうの髪留めをしている。

 じっと俺のことを見つめ、不思議そうに首をかしげる。

「この屋敷の主人となったトウヤだ。初めまして」

 丁寧に挨拶をして満面の笑みを浮かべる。幼女の家精霊エレメハスはまた反対側に首を傾げる。

「フェリスだったら話が通じるのかな……。フェリス出てこれる?」

 俺の言葉に首から下げている精霊石のネックレスが光り、そこからフェリスが現れる。

 突然現れたフェリスに幼女の家精霊エレメハスは──視線をフェリスに固定する。

 少しの間、言葉を交わさず視線だけを合わせている状態だったが、フェリスは笑みを浮かべ両手を差し出すと、幼女の家精霊エレメハスはフェリスにいきなり抱きついた。

 ──あれ? 家精霊エレメハスって感情を表情に出さないのでは? いや、フェリスは出すようになったけどある程度の時間が必要だった気がする。

 幼女の家精霊エレメハスは一度フェリスから離れると、改めて俺を見て大きくうなずいた。

 どうやらこの屋敷でも主人として認められたらしい。

 遅れて屋敷に到着した文官は驚いたような表情をし、口が開いている。

「ありえない……同じ屋敷に家精霊エレメハスが二人も同居をすることができるなんて……」

 そういえば、昔聞いた気がするけど、前例がないことばかりだし俺にとってはどうでもいい。

 フェリスと仲良くしてくれるのが一番ありがたいからな。

 こうして新しい屋敷を無事に受領した俺は、新しい生活を送ることになった。