◆ゲテモノにご注意



「納豆ナポリタンパフェ……?

 屋上に来なければ良かったと思ったのは、ある意味ではこれがはじめてかもしれなかった。

「逃げないで、ルル」

「逃げないでください、ルル」

 屋上の扉を背にして、二人にじりじりと迫られる。

 隙がないからドアノブを開けられそうにもないから逃げようがなくて、私は困ってしまう。

 そもそも、どうしてこんなことになったんだっけ?

 記憶を振り返ってみる……。

 ちょっと冷たくなってきた風を直に感じたくて、屋上に来た私。

 するとナナとエリムがすでにいて、なんだかいつもよりもバチっていた。

 なんだろうと思って、いつものように近づいてみた。

 すると二人が格好の餌食を見つけた獣のように目を光らせて私へ迫ってきて……今のこういう状況になっている。

 振り返ってみたけど、なんでこんなことになったのかは全然分からなかった。

「納豆ナポリタンパフェ、好きでしょう? ルル」

「そんな怪しげなもの、好きって言った記憶がないんだけど……」

 それどころか「納豆」「ナポリタン」「パフェ」と分解しても、それぞれを好きだなんて主張したことはない。

 それどころか、どれもそんなに好きじゃない……それが合体したものなんて、嫌悪の対象でしかない。

 それなのに、袋を近付けられている。

 本当に、いくらなんでもいい加減にしてほしい!

「な、なんでこんなことするの!」

「ナナが買ってきたんですよ」

「エリムのために買ってきたのに受け取らないから、仕方なくルルにあげちゃおうかなって思って」

 ナナのせいでこんなことになっているのか……。

「やめてよ。ナナが買ってきたんなら、ナナで処分すればいいじゃない」

「もったいないじゃん」

「じゃあ面白半分でこういうの買わないで!」

 私が最後の抵抗としてジタバタ暴れていると、やがて二人とも迫ってくるのをやめた。

 それにあんしながらも、ため息をつく。

「そんな、アホな高校生みたいなことナナがしないでよ」

「そうですよ」

「さ、さっきまでアタシと一緒にルルを迫っていた人に言われると腹が立つんですけど!?

「そもそもそれ、どこで買ってきたの」

「なんか近所のスーパーで八割引だったから、つい」

「ついって」

 しかも八割引って。そりゃ誰も買わないだろうけど……それにしたって割り引かれすぎじゃないだろうか?

「とりあえず、持って帰ったら……?」

「ちぇー」