◆三人のその後
エリムから連絡があったと、ナナからメッセージをもらった翌日。
私たちは、いつもと同じく屋上に集まっていた。
土曜日の特別講習だからナナが本当に来るのか不安だったけど、ちゃんと来たのには驚いた。
私が驚いていると、ナナは「失礼な」と言いながら
ほとんどの生徒が強制参加になっている講習とはいえ、ナナが出てるイメージがないんだもん。
うーん……。
それに、なんでこんないつもいつも、律儀に屋上に集まってるんだろう。
なんか、カフェとかに集まりたい感じがする。
いや、もちろんそこは普通のカフェでお願いしたいんだけど……。
でもエリムやナナはともかく、私はお小遣いに限度があるからそんなにカフェには行けないんだよね。
バイトとか始めてみたい気持ちはあるけど、これ以上人と関わりたくないから難しいっていうか……。
「単刀直入に言うと、私もメイさんの居場所は知らない」
私にはあんまり関係のない話に、思わず脱力する。
「そんな……会ったんじゃないんですか!?」
「この前はたまたま会えただけだったみたい。念のため、別の日に行ってみたらいなかったから」
二人の会話を、どこか遠くから聞いてしまう。
どうして私まで呼ばれたんだろうと思っていたら、ナナからぐいっと肩を引き寄せられた。
まるで私も無関係じゃないって言われてるみたいで、ちょっと
「だから、三人で探そう」
「え、私ってそういう要員?」
喜んだのも
あろうことかナナは、大きく
そんなことで呼ばれたんだ……。
ナナは私のことを、なんだと思っているんだろう?
けれどそんな私の考えなんて分かっているのか、ナナはまぁまぁと言いながら手をお金の形にした。
なんで今? どうして?
「いや、今のエリムなら、探し当てたらお金とかくれるんじゃないの?」
「それは……やぶさかではないですが……」
やぶさかではないんだ。
「そうじゃないと困るよ。アタシもタダでこんなことやりたくないしさ」
そうだった。ナナ自身がそういう子だったんだ。
そして何度でも繰り返すように、私たちは友達じゃない。
動かすのが情じゃなくてお金っていうほうが、納得がいく。
「……じゃあ、ちょっとやる気出てきたかもしれない」
とはいえこんな風に乗せられるのは単純だなっていうのは自分でも分かるけど、お金がないって思ってたから好都合としか言いようがない。
「先に見つけたらいいんだよね?」
「同時に見つけた場合はどうなるの?」
思わず前のめりになってしまった私たちに、エリムは困惑の表情を見せる。
「探してくれるだけありがたいので、そこまで言うならなにかおごりますよ……」
「じゃあアタシ、ドレスコードが必要!?って思っちゃうくらい格式高い例のカフェに行ってみたいな!」
「わ、私もそれで!」
思わず乗っかってしまってから、もっと違うことを頼めば良かったかもしれないと思ったけど、すぐに出てくる願いがなくて閉口してしまった。
アタシの人生って、いつもこうかもしれない……。
いやでも、そんな格式高いカフェに行けるんなら、悪くないのかも? ちょっと楽しみになってきた。
「それで探してくれるんなら、いくらでもどうぞ! 早く行きましょう!」
「確かに! 暗くなると治安が悪くなる地域だから、早く行ったほうがいいね!」
二人が立ち上がったので、私も立ち上がる。
そうか。そう考えると、ちょっとしたタイムリミットもあって本当に大変なことなのかも。
私も慌てて立ち上がって、荷物を持って屋上を後にする。
そこから学校を出て電車に乗り、男装執事喫茶付近の駅についた。
付近には、コンカフェのメイドさんがちらほらといる。
「スカートが長くていかにも本場のメイドですみたいな姿をしているのがメイさんだから、分かりやすいと思う」
「なるほど」
「分かりました。早く見つけて帰りましょう」
「ど、どこに帰るの?」
気になったので、聞いてみる。
メイさんを見つけた後に帰る場所って、どこなんだろう?
「……考えてませんでした」
「だろうね」
いつも冷静なエリムなのに、何も考えていなかったらしい。
ナナは分かっていたらしく、そんなエリムを鼻で笑った。
いつもならエリムが
「それについては心配ないから、とりあえず探そう」
「本当ですか……?」
「まっかせて☆」
今はウインクしてまでそう言うナナを信じるしかないと思ったのか、エリムはゆっくりと
「それじゃあ……ちょっと分かれて探しましょうか」
ナナから言われた情報を頼りに、まだ早い時間だからと三人でバラバラになって探してみる。
途中で前みたいにメイドさんに話しかけられそうになったけど、なんとか切り抜けられた。
多分お金がかかってるから、私も真剣なんだろう。
でも、一向に見つからない。そんなに広い場所というわけでもないから何度もナナとエリムとはすれ違うのに、長いメイド服を着た人とはすれ違えない。
これが、
「本当に、この辺にいるんですか……?」
しばらくして、三人とも集まった時に、エリムがナナに問いかけた。
エリムが、ナナをじっと
ナナはまるで見つからないのはアタシのせいじゃないとでも言いたげに、目線を
「
「じゃ、じゃあ今日のところは諦めて帰ったほうがいいんじゃ……」
「早く見つけてあげないと!」
エリムが叫んだ。
ほとんど泣きそうな姿に、私も心が痛んだ。
周りからの視線も気にせずに、自分の思いを吐露しているんだ。
そのなりふりの構わなさを見ていると、確かにお金くらい出して探してもらうのも頷けた。
その時、エリムの背後に気配があった。
その気配は徐々に現実味を帯びて、人として現れる……。
「お待たせして申し訳ありません、エリムお嬢様」
「メイ……!?」
エリムが振り向いた先には、なんとメイドさんが立っていた。本当に長いスカートで、人に仕えるためのメイドなんだと理解する。
以前見かけた姿よりも、だいぶやつれているような気が……。
それだけこの付近を
「見られたくなくて……見つけることがきっと
なるほど、だから見つけられなかったんだろう。
どういう原理かは分からないけど、求愛性少女症候群ってそういうものだ。
「しかし、そこまでして見つけていただいているならばと思い……」
「メイ……!」
エリムは、メイさんに抱きついた。
彷徨えるメイドであるメイさんに抱きつくのって……これ、他の人からはどう見えているんだろう?
そんなことを真っ先に思ってしまった私は、きっとロマンとかが欠如しているんだろうな……。
「感動の再会ってやつ?」
ナナもどこか冷めた目で見ているので、私だけが欠如しているってわけじゃないんだろう。そうに違いない。
「でも、見つかったけどどうするの?」
「誰にもバレずに、
「……どこ?」
本当にどこだろう? 誰かの家、とかかな?
「アミューズメントなホテル」
「えっ」
えっ? アミューズメントなホテルって、明らかに隠語だよね?
え、え? 本当にそういう……ホテルに行くの!?
意気揚々と歩くナナの後ろに三人でついて行ってたどり着いたのは、ピンク色に光り輝く建物だった……!?
○
「……誰にもバレずに匿える場所って言うから、誰かの家か何かかと思った!」
「それぞれの家なんて、真っ先にバレるでしょ」
そうなんだろうか?
そう思ってエリムの方を見たら、静かに
だとしても、ここはどうなんだろう……。
「でも、こんなところに来てるってエリムがバレたら、まずくない?」
「大丈夫大丈夫。ここは子どもでも来られるようなところだから、そんなに悪いわけないでしょ」
ほ、本当にそうなんだろうか……?
ナナが言うことだからっていうのもあるけど、あんまり信じられない……。
それに、私たちが来てもいいのかすら分からない。
……そうなのだ。
ナナは求愛性症候群だったんだろうって言ってエリムもメイさんも納得しているけど、私はあんまり納得していない。
だって、あんまりにもファンタジーすぎる……。
そこまで考えて、この前まで別の世界にいた自分の境遇を思い出した。あれは求愛性少女症候群だったのか分からないけど、ファンタジーだったことには変わりがない。
あれくらいの出来事も起きるんなら、メイさんの身に起きていることも変じゃない、のかなぁ……?
「ここコスプレのレンタルは無料なんだって! レンタルしてみる?」
「それどころじゃないでしょうに……」
ご飯を食べているメイさんを大事そうに見守っていたエリムが、嫌そうにナナの言葉に首を横に振った。
「アタシはキョンシーにしようかな。あんまりこういうのって見かけないし」
「話聞いてます?」
「ルルは魔女っ子で、エリムはメイドでいいんじゃない?」
「いや、だからそれどころじゃないんですってば」
「なによ。それともバニーにする?」
「もっと露出が過激になってるじゃないですか!」
「アハハ、ちゃんと反応してくれるの面白ーい!」
「……この場所を提案してくれた時は天才だと思ったのに、どうしてそんな態度をとるんですか?」
天才だと思ったんだと、私はちょっと驚く。
というかエリムでも、そんな表現を使う時があるんだ。
もしかすると、漫研の人たちに影響されてきたのかな。
そのうちハスハス?とか言いはじめたらどうしよう。
いや、別にどうだっていいんだけど……。
「ん? だってエリムのお金なら、楽しまなきゃ損だし。あ、アタシもオムライス頼んでいい? 卵多めで」
「ご飯ならいいですけど……」
「いいんだ!」
本当だ。いいんだ。
「見つけてくれた上に付き合ってもらっていることには変わらないので、そのくらいはおごりますよ」
「やったー! ルルもなんか頼もうよ。パフェもあるみたいだし、食後のデザートまでつけちゃおうか?」
「あんまりな量は頼まないでくださいよ……」
ナナは私の肩に手を回して、もう片方の手でリモコンを操作してメニューを眺めている。
「メニューすご……」
ファミレス並みの
こんな雰囲気なんだ。
当たり前だけど来たことがなかったから、ずっと驚いてばっかりだ。
やがて食事を終えたメイさんが、口元をナプキンで拭きながらボソリと
「エリム様のメイド服姿、見てみたかったです……」
その言葉は、私にもハッキリと聞こえた。
だからきっと、ここにいるみんなに聞こえていたんだろう。
固まるエリム。
ニヤニヤと笑いはじめるナナ。
自分の発言にハッとしたようで、慌てはじめるメイさん。
「も、元メイドがおこがましい提案をしてしまって申し訳ありません。エリム様がメイド服を着るなんて、そんな」
「いや、そんなことないと思うよ? ね、エリム?」
「……ええ、そうですね」
エリムはナナからリモコンを半ば奪い取るようにして受け取ると……メイド服を頼んだ!?
流れるように、魔女っ子服とキョンシーの服も頼まれる……って、私は拒否権なしですか、そうですか……。
まぁでも、こんな機会は
そう思えるくらいには、私もテンションが上がっているのかもしれない。
そんなこんなで、部屋には三つの衣装が届けられた。あと、いくつかの食事も。
場所が場所なだけにどんなものが届けられるんだろうかとドキドキしていたんだけど、案外普通のものが届けられた。
それどころか、どことなくしっかりしているものに見える。
格安ショップにはきっと売っていないだろうと思ってしまうくらい、生地がしっかりしていた。
ちょっと感動していると、ナナがいそいそと制服を脱ぎ始めた。
そうか、服を脱がなきゃ着られないんだ。
「ほ、本当に着るの……?」
テンションが上がっていたのも
どうしよう。
「何を今更恥ずかしがってんの。ほらほら、脱いで脱いで」
「ちょ、ちょっと待ってってば!」
ナナからスカートのホックを外されそうになって、必死で抵抗する。
というか、脱ぐタイミングは自分で選びたいっていうか……。
「それか、先にお風呂入る? 三人くらい入れそうな浴槽だけど、どうする?」
言われてみて、ナナの視線の先を見る。
本当に三人くらいは、頑張れば四人くらい入れそうな大きさの浴槽があった。
キラキラとネオンが輝いていて、なんとも怪しげな雰囲気を醸し出している。
なんで浴槽に怪しげな雰囲気を……と思ったけど、きっと
この部屋、すごすぎる。ベッドも二つあるし。
ナナがここがいいって言って選んだ部屋だけど……そういえばナナって、妙に手慣れてる。
もしかして、すでに来たことがあったりするんだろうか?
「ナナってもしかして、すでにこういうとこに来たことがあるの……?」
そうだとしたら、本当に
あんなことやこんなことを、すでにやっちゃっているんだろうか……?
「モデル仲間との女子会で来たことあるってだけだよ」
「な、なんだ。そういうことなんだ……」
「なに想像したの?」
ニヤニヤとした顔で、問いかけられる。
余裕たっぷりなその笑顔には、ちょっとばかりの悪意があった。
でも想像してしまったのも事実なので、強くは言い返せなかった。
「べ、別になにも……」
そんなことをしている間に、エリムが服を脱いだ上に浴槽にお湯を入れていた。
案外?思った通り?で、大胆なお嬢様だ。
ここまでくると服を脱いでいない私の方が変なのかもしれないと思い始めて、急いで服を脱いだ。
服を脱いでしまえばあとは楽なもので、三人でシャワーを分け合いながらシャワーを浴びてから浴槽に入った。
置かれていた入浴剤を入れたので、いい匂いが浴室を満たす。こんなにゆっくり湯船に入るのなんて、久しぶりかもしれない。
「乱暴な女子会って感じがして、これはこれでいいのかも」
「ら、乱暴な女子会ってなんなの……」
「後からメイを入れたいと思うので、よろしくお願いします」
「えー、今一緒に入っちゃえばいいのに」
「ただでさえ疲労しているんですから、食事のあとに急いで入らせるわけにはいきません」
「エリムちゃんは本当にメイさんのことが好きなのねー」
「ちゃん付けやめてください」
またげっそりした顔でエリムが抗議するけれど、ナナは「エリムちゃん」と連呼している。いじわるだ。
「っていうか、先に入っちゃって良かったの?」
いじわるをちょっと止めるために、気になっていたことを問いかけてみる。
「ん?」
「食事も一緒に届けられたから、てっきり先に食べるものだと思ったっていうか……」
「それもそうなんだけど、汗かいちゃってるのが不快だったからさ。衣装もあるし、着ながら食べようよ」
「ちょっとしたパーティみたいですね」
そんなふうにエリムまでが言い出すから、本当に乗れてない私が異端みたいに思えてきた。
いや、こんなところに来てまで理性を……しっかりしなきゃっていう心を持っているっていうのは、間違いなのかもしれない。
楽しんだ方が勝ち!っていう状況なのかも。
それならと思って、手で水鉄砲をやってみた。
ピシャッと
エリムはぼうっとしたような表情で、私のことを見てくる。
怒っているともいないとも、なんとも読めない表情だ。
「え、あ、ごめ……」
ナナはというと、めちゃくちゃ面白そうにしていた。
もしかして怒られる……と思ったのも
けれど
「……それって。どういう仕組みなんですか?」
「し、仕組み?」
至って真剣な表情でそう聞いてくるので、私は怒られなくてすんだんだという
「し、仕組みは分からない、かな……」
だから、そんなふうに曖昧に返してしまう。
それでもエリムは興味深そうに、自分の指を眺めている。
「昔よくやったなぁ、そういうこと。タオルを沈めてクラゲにするのとか」
「なんですか、それ」
エリムは指から目線を外して、ナナに問いかける。
「……そっかぁ、お嬢様はそういうのって知らないのか。なんかちょっと、可哀想に思えてきたかも」
「か、可哀想に思うくらいなら、教えてくださいよ……」
「浴槽にタオル浸けるけど、いい?」
「そのくらいいいですよ」
ナナが新品のタオルを湯船に浸けた。
そのまま、クラゲのように丸く形を作る。
それをエリムは、本当に興味深く眺めている。
そんなに時間が
「な、え、どういうことですか……」
「潰すのが一番楽しいんだよ」
「そのセリフだけ聞いたら、めちゃくちゃヤバい人みたいですね」
「そう言うこと言わないで。ほら、やってみたら?」
そう言って濡れたタオルを、エリムに手渡した。エリムはちょっとの間ぼうっとタオルを眺めていたけど、すぐにタオルを湯船に沈めて、ナナと同じことをした。
「あ、あれ?」
……正確には、しようとしたけど出来なかった。
変なところで不器用だなと思ってしまう。
「不器用なんだから」
「た、たまたまですよ!」
それから何度かやっても出来なかったエリムは、腹を立ててしまったのか真っ先にお風呂から上がってしまった。
それに続けて、私たちも上がる。
珍しく長く入ってしまったから、ちょっとのぼせているような感じがする。顔があつくて、ぼうっとしてしまう。
みんなで順番に髪の毛を乾かして、それからコスプレ衣装を着た。
魔女っ子はそんなに難しい衣装じゃなかったから、すぐに着ることが出来た。
この場合のすぐにっていうのは、簡単にという意味で、時間的にはかなりかかった。
主に覚悟を決めるのに……。
「めっちゃ
ちょっと複雑な構造と言っていたにもかかわらず時間的にすぐ着たナナは、ものすごくテンションを上げていた。
かわいいのはかわいい。
でも、なんだか落ち着かない。
壁全面に大きな鏡があるから、着ている姿がありありと分かる。
エリムのメイド服姿、可愛いなぁ……メイさんもそう思っているのか、視線がエリムに
私たちがまるで見えてないみたいに、涙ぐんでいる。
そこまで……?
っていうかこの鏡なんだろう? ちょっとしたスタジオみたいだ。
いる!?
いや……
大人の世界って、難しい。
そして、衣装のままオムライスを食べた。
非日常って感じがして、それはそれで面白かった。
オムライスはしばらく置いていたからか冷めてたけど、のぼせた体にはちょうどよく感じられた。
「明日から、どうするの?」
それからしばらくくつろいでしまってから……多分みんなが目を
だって、いくらエリムがお金を持っていると言っても限度がある。
それに、私たちには学校もあるわけだし……。
「そんなの考えるのは、明日朝食を食べてからにしようよ」
ナナはベッドに寝転がってスマホを触りながらそう言った。
「朝食も食べるの?」
「当たり前じゃん。食べれる時に食べておかないと」
それを払うのはエリムなんだろうけど……ちょっと申し訳なくなってきた。だからといって、私がお金を払うっていうことは出来ないけど……。
「今は、とりあえず寝ましょう。ね、メイ」
驚いたことに、エリムもそれに同調した。
「お、お嬢様がそれでよろしいのであればお供いたします……」
「そんなに
「それは、そうかもしれませんが……」
「はいはい、イチャつくのはそこまでにして、本当に寝よう。疲れたし」
「い、イチャついてなんてないですよ!」
「イチャついてますー。ここがそういうことする場所だからって、アタシとルルがいる中で変なことしないでよね!?」
「しませんってば! ね、メイ?」
「は、はい。もちろんでございます」
ちょっとメイさんがさっきみたいな残念そうな顔をしているように見えたのは、気のせいだろうか……?
っていうか。
「そんな雑でいいのかな」
「三人どころか四人もいるんだし、どうにかなるって」
「そっか……」
そう思うとちょっと安心して、肩の荷が降りたような気がする。
ナナと一緒のベッドに入って横になる。
冷えているベッドが、