◆エリムのまくあい



「メイ……」

 私はあの時、追いかけるべきだったのでしょうか?

 テストがあるからと、無理やり忘れようとしていましたが……ルルのメイドという言葉から、メイを連想してしまいました。

 喫茶店で出会った彼女は明らかに、こちらを避けていました。

 それにきっと、もう会うなと私の両親からくぎを刺されているでしょう。

 それなのに追いかけても、ただの迷惑になるのではないか……。

 そんなことが頭によぎって、あの場では追うことが出来ませんでした。

 しかし、それは私の心を完全に無視しています。

 私は、出来ることならメイと会いたい。

 もう一度話をして、出来ることならまた……また?

 また、二人で逃げようとするのでしょうか。

 それとも、もう逃げないからメイドとして戻ってきてほしいとでも言うつもりでしょうか。

 どちらもバカバカしくて、思わず口から乾いた笑いが漏れ出ます。

 どうなりたいか。

 それは分かりません。

 話をした上で、もう二度と会わないということになるかもしれません。

 話を拒絶されるかもしれません。

 それでも話をしたい……というのが私の本心です。

 とはいえ、もう一つ悩むことがあります。

 昔は、メイしか私を肯定してくれなかったかもしれません。

 ですが、今の私にはたくさんの肯定してくれる人がいます。

 そんな中でメイと会って、いいものなのでしょうか?

 あの時の私は、肯定してくれるなら誰でも良かったのでしょうか?

 そうではないと、私は思います。

 そう思いたいというのが正しいのかもしれません。

 それに、たとえそうだったとしても、今までずっと変わらず私を肯定してくれたのは世界でメイだけです。

 それならば、会いたいと思うのは普通のことではないでしょうか。

 でも、どうやったらまた会えるのでしょうか……?

 まったく見当がつきません。

 今どこにいるのか……メイドの誰かが知っていたとしても教えてくれることはないでしょう。

 それどころか、また家出する可能性があると両親に告げ口されるかも……それだけは避けなければなりません。

 もしかして、またあの喫茶店に行けば……会うことが出来るのでしょうか?