だが、俺の冗談も意味がなかったわけではなさそうだ。
先輩は怒りながら俺の部屋を観察し始めた。
そして固まった。
やはりそうなるよな。
俺は、先輩を連れてお隣に向かった。
ここは殿下がいなければ閉鎖される部屋だが、ここも見せておく。
「この部屋、なんだか分かりますか。殿下がこの艦に座乗するときにお使いになる部屋です。見てもらえれば分かると思いますが、この部屋を基準に他の部屋も作られております。この艦ですが、改造時に費用面でかなり無理をしており、全てが廃棄船の流用品です。問題はその廃棄船が王国一番の贅を尽くした『ジュエリー・オブ・プリンセス号』だったことです。ちなみに就学隊員の部屋見ましたか」
「いえ、そこまでは見ておりません」
「え、あそこを見せないと誰も士官用の個室に入ってくれないよ」
俺の文句に案内してくれた保安員が謝ってくる。
「艦長、どういうことですか」
「先輩、あの兵士未満とまで揶揄されている就学隊員の部屋ですらあの豪華客船の二等船室を改造したものなんですよ。下手をすると宇宙軍戦艦の艦長室よりも贅沢かもしれませんね。少なくともコーストガードの戦隊司令室よりは広さを除くとあいつらの方が良いものを使っていますよ」
「え!」
「ということで先輩も我慢してください。私だって我慢しているんだから」
俺は思わず本音でしゃべっていた。
何も知らなければ驚くよな。
今までお客様として乗艦させた人たちはほぼ例外なく士官用の部屋を拒否している。
理由はあまりに贅沢が過ぎるというのだ。