
Side:ユキ
「ただいまー」
俺はそう言って、家に戻る。
と言っても、バイデに作った別荘みたいなもんだが。
「あ、ユキさん。みんなもおかえりなさい」
「おかえりー」
「……お帰り」
そう言って、出迎えてくれるのは、トーリ、リエル、カヤの妊娠組。
こっちに召喚されて以降、俺の指示でずっと待機状態。
まあ、当然なんだけどな。お腹に子供がいるのに無理をさせるわけにはいかない。
幸い、今のところ召喚による影響はないみたいで、お腹の子供たちはすくすく育っているようだ。
「ただいま。みんなお腹に変わりないか?」
「はい。大丈夫ですよ。ミリーも今は秋天たちとお昼寝しています」
「僕たちもさっきまで寝てたんだけどね。ほらもうすぐ晩御飯だから」
「……家にいるんだからごはんの用意ぐらいはする」
「あんまり無理はするなよ。ラビリスやアスリン、フィーリアもいるんだから」
基本的に、ラビリスたちはトーリたち妊娠組と秋天たち子供組のフォローに回っている。
正直なところ、キルエとサーサリがいつもしていた仕事量は凄まじいものだったと言えるだろう。
今回のことで心からそのことが分かった。
後方の配置も馬鹿にできない。絶対に大事であり、兵站こそ、戦いの要。
まあ、ごはんの用意は当番とか、基本俺がやっていて、洗濯や家の掃除などの大半はキルエやサーサリに任せていたのだが、ここにはスーパーメイド2人がいないので、その家事に人手を取られている。
「適度な運動ですから平気ですよ」
「そうだよ。僕たちも少しは動きたいからね」
「……それより、ユキ。帰ってきたら、ハグ。これは約束。家のルール」
そう言って抱きつこうとするカヤを、顔面に手を当てて押しとどめる。
「ふぐっ。……ユキがいじめる。手をどけて、約束が違う」
「ちょい待て、俺たちはさっさと風呂だ。汚れてるからな。ハグはそのあとだ」
「あー。わかった」
カヤは即座に理解して、俺から離れる。
残念なことに、今の俺たちは、外へ生身で出て戻ってきたばかりなので、嫁さんたちとハグをするのはためらわれる。
それが妊婦であるならなおさらだ。
しかも、野戦病院と言っていいのか分からんところの処置をして、死体処理もしてきたところだからな。
一応、手はアルコール消毒をしてはいるが、それだけだ。
別で大風呂を用意しておくべきだったよな。
まさか、ドッペルが使えない事態になるとは思ってなかったからな。
「……くそ召喚者どもが。子供が生まれたらコロス」
「そうだね。私もコロスの手伝うよ」
「僕もやるよ。ユキさんのハグをお預けなんて拷問受けたんだから、当然だよねー」
とまあ、そんなことを言いながら、ごはんの準備に去っていく3人。
そして、俺たちはお風呂へ向かい、みんなでお風呂に入る。
正直な話、マジで疲れているから、イチャイチャする気力も皆ない。
「トーリたちも、やっぱりため込んでいるみたいだな」
「ん。当然。初めての妊娠で不安なはず。それでユキとの自由な接触ができないのは苦痛、拷問、この報いは必ず受けさせる」
「クリーナさんの言う通りですわね。ユキ様と一緒のお風呂なんて、普段なら愛し合っているというのに、そういう気力も今日は沸きませんわ。というか、私たちはまだいい方ですわよ。ウィードに残ったセラリア様たちは、ユキ様と会えない日々を鬱屈としながら業務をこなして過ごしているようですから」
「……向こうはユキがいない。私なら発狂すると思う」
「連絡は細かくしていますが、どんどん目から光が消えていきますわね」
……セラリアたちとは、ラビリスとかのコールを通じて連絡を取っている。
俺から直接だと、ノイズがひどいが、ラビリスたちからのコールだとある程度収まる。
その時は普通だったんだけどな。やっぱり向こうは向こうでため込んでるか。
「私もお兄様に会えないときは寂しかったです」
「お兄がいると楽しい」
「私たちはつい最近までは学校の寮だったし、あんまりそこまではないけど、奥さんたちは普通心配するわよね。っていうか、なんで私たちも一緒に入っているのよ!?」
「仕方がないです。お風呂は残念ながら一つだけですから。外で仕事をしてきた私たちが、別々に入れば、その分、時間がかなり遅くなります。それは非効率ですし、妊娠しているみんなや、子供たちにしわ寄せが行きますから」
「ぐっ」
ドレッサのツッコミに的確に返答するシェーラ。