「はぁ。ジェシカから大泣きの連絡がきたから、どうせユキのことだろうと思って調べてみれば、まさか、あんな所に呼び出されるとはねー。手間が省けたというべきか、ユキらしいというか、あの奇想天外たちのメンバーというべきか」
「ルナ。何か知っているのなら、ちゃんと包み隠さず答えて。夫や娘、妊娠しているみんな、巻き込まれた子供たちもいるんだから」
「分かってるわよ。ユキだけなら、笑ってほっとくんだけど、さすがにサクラやシャンスまで巻き込まれると笑えないわよ。で、その大陸なんだけど、地球で言う、ユーラシア大陸、アメリカ大陸といった、この世界に存在する最大規模の大陸ね。この大陸や、新大陸の方はどちらかというと、オーストラリア大陸といった感じの規模ね」
ルナはそう言って、おそらくこのアロウリトの世界地図を広げ、私たちの大陸から新大陸より遠方にある大きな大陸のある一点を指さす。
「で、この地点にユキたちは飛ばされているわ。この星の時差的には約8時間。ほとんど裏側に近いわね」
「そんな遠いところに……。でも、なんでルナの力が制限されているの?」
「それが分かれば苦労はしないわよ。私としてはこれが魔力枯渇の原因に何か関係あるんじゃないかと見ていたんだけど、まさかその真っただ中に飛ばされるとはね。どんな影響があるか分からなかったから、そこは相談してからって思ってたんだけど……」
「そこに夫やみんなは召喚されたわけね」
「ええ。というか、私の力で直接、この地域にある旧ダンジョンを復帰できないのよ。だから話すこともなかったの。言っての通り力が阻害されているから。でも、ユキが呼ばれて分かったけど、私が誰かに与えた能力であるのなら、ある程度負荷はかかるけど機能しているみたいね」
「それって、DPが5000倍になった話かしら?」
「ええ。他にも色々あるんだけど、それが顕著ね。とりあえず、あそこは私の力が及ばない土地で、正直、こっちから助けることはできないわ」
「……そんな」
あまりの返答にルルアが絶望した顔になる。
他の皆もルルアほどではないにしても、ルナを頼れない状況に顔が曇る。
でも、ルナは明るい声で、言葉を続ける。
「ま、そこまで暗くならなくていいわよ。なにせ、ユキがいるんだしね。あいつなら、大丈夫よ。私が保証してあげましょう。あんたたちが選んだ夫はそんなにやわじゃないのは知っているでしょう?」
「そう、ね。すでに、呼び出した召喚者たちは捕縛したみたいだし、ダンジョンを展開しているから当面の危機はないはず……」
「……ぶはっ!? 召喚者を捕縛したですって!? なにそのルール違反!! 相変わらずお約束は守らないわねー。まあ、ダンジョンも展開しているんだし、外にいるっていう10万の餌を使ってすぐにでもゲートを開通してくるわよ」
たしかに、すでにゲート開通の目処は立っていたわね。
……本当に頭に血が上っていたようね。
「よし、みんな。まずは休みましょう。当面の危険はなさそうだし、今無理に起きて、体調を崩しても夫に笑われるわ。今、ある意味ピンチなのは、動けるメンバーが減ったウィードの方よ。ユキや他のみんななしで、大陸間交流を進めて行かないといけないのだから」
……あれ?
自分で言ってなんだけど、本当にウィードの方が大変じゃないかしら?
向こうはもう、ダンジョンを使って相手を
こっちは継続で、大陸間交流の仕事……。
……ユキの計画書とかの確認をしないといけないわよね。
「さっさと寝ましょう。冗談抜きで、ウィードに残っている私たちの方が厳しいわよ!!」
「「「はい!!」」」
皆もそれが分かったのか、すぐに部屋を出て行く。
……あれ? 向こうは下手すると休暇じゃないかしら?
くそー、合流したら私たちものんびりするわよ。
ちょうど、誘拐犯の国があることだし、うっぷん晴ら……いえ、運動相手にちょうどいいでしょう。
Side:ルナ
「いやー。あの田舎娘たちが強くなったわねー」
やっぱり、ユキに、鳥野和也に任せて正解よね。
というか、他では手に負えないし。
常識があるって大事よね。
「じゃ、俺たちも寝ますか」
「そうだな。私たちも大陸間交流に尽力しなければ、今まで助けてくれたユキ君に申し訳がない」
そう言って、セラリアたちと同じように退出しようとしている男二人に待ったをかける。
「ちょっと待ちなさい」
「なんですか?」
「なんでしょうか?」
「今、飲みたい気分なのよ。付き合いなさい」
「「えー」」
「えーじゃないわよ。行くわよ!! 今日は3軒ハシゴよー!! ヒフィーとかリリーシュを呼びなさい!!」
「「えーー」」
「どうせ、ユキと合流したらネチネチと何か言われんでしょうから、今のうちに遊ぶわよー!!」
「「そういう理由かよ!?」」