78.蜘蛛?……土の穴から。

暑い日が続く。川で遊ぶ日が続く。

特に暑さに弱い俺には辛い。……寒さにも弱いが、ここの暑さはちょっと異常だ。絶対四〇度を超えている。……暑い~。

今日も川に流され……アメーバの上でひんやり中だ。アメーバは水の中に居るからなのか、冷たくて気持ちがいい。そういえば川の水も冷たいままだな。太陽にずっと照らされているのに。

……ありがたいから気にしない。

ん? 横を見るとアメーバの顔? 下を見るとアメーバの顔。……増えてる!

もしかして分離? アメーバって分離するって聞いたような、あ? それだとどこまで増えるんだ? まぁ、様子を見ようとアメーバ一号? から周りを見渡して、いっぱい分離してる! いつの間に!

よし、……見なかったことにしよう。心の平穏って大切だと思う。

そろそろご飯にしようかな。

今日はなんちゃって肉じゃがにしてみた。お肉大量バージョンだ。玉ねぎっぽいのとジャガイモっぽい野菜も入れて、この世界で初の肉じゃがもどき。

楽しみだ。

朝から作って、今は味を染みこませている最中だ。……本気でご飯がほしい。

結界を張る時に気になったあの場所に行ってみよう……ただし、ちょっと暑さが過ぎてからにしよう。

今は無理、絶対無理、川から離れるとかどんな苦行だ。


……あれ? 蜘蛛ってあんなところから糸だしたっけ?

少し離れたところにいるのは親玉さんと子蜘蛛達だ。親玉さんの背中から、糸が三本出ているように見えるのだが? 前足からも?……蜘蛛ってどこから糸を出すんだっけ……あっ、掌か。いや違う、あれは蜘蛛の力を得た人間ヒーローの映画だ。昆虫の蜘蛛はお尻だったはずだが……。

……ここは異世界、そう異世界だ。

糸がどこから出たっておかしくない世界だ、気にしないからな! いつの間に、親玉さんまで糸を出せるようになったんだろう? 本当に不思議な世界だな。


肉じゃがもどきはうまかった。うん、怖かった……違う。久々に心に染みた味だった。

はぁ~見ないふりができなくなってきた。最近、どうにも争奪戦が激しくなっている気がする、作る量を倍に……いや、三倍にしようかな。

とりあえず、大鍋をあと三つぐらい作ろう……四つ? 五つ?……五つにしよう。きっと無駄にはならないはずだ。

……飛ばされた子アリ達を見て決意した。


川に遊びに行こうとしたら、シュリの穴が増えていた。広い広場の家の近くに穴二つ。入口と出口か?

なんだ? ちょっと穴に漂う雰囲気が違うような……。

シュリの巣穴の穴は近づくと、恐ろしい雰囲気を感じる。あの雰囲気はなんだろうか、飲み込まれるような……。何とも言えない印象があるのだ。

新しい穴は、もう少し……優しい感じ? 感覚って難しいな。

近づくと穴からシュリではなく爬虫類の顔!……トカゲっぽいのが出た! びっくりした。

襲われるかと焦ったが、穴から顔を出してこちらをじーっと見ているだけ。

見られているので見つめ返す。見つめているだけでは面白くないので、手を振ってみる。

あっ、近づいてきた、困ったな。

トカゲ? 何かちょっと日本のトカゲとは形が微妙に違う。まぁ異世界だからな。

こっちの獲物も似ているようで、みんなちょっとずつ違うし。とりあえずデカさが違う。

トカゲっぽいトカゲでいいか。……普通にトカゲでいいよな、思考回路が暑さにやられている。

トカゲを見てシュリが喜んでいる。

コア達はちょっと挨拶っぽい感じで鼻と鼻をくっつけていた。異文化交流って感じかな。……違うな絶対。

チャイ達はちょっと怖がりながらも伏せ状態。親玉さんは前足をトカゲの鼻にポンポンとあてた。……あれは挨拶なんだろうか? 種によって違う挨拶方法があるのだろうか? 不思議だ。

ふわふわとはかなり仲がいいみたいだ。

一緒に飛んでいた……飛んで! 羽がないのに飛んでいる。あ、いやふわふわは羽があるのに、使わずに飛んでいるんだった。一緒か。

形は違うが同種だったりして? まさかね、ないない。見た目が違いすぎる。なんで同種なんて思ったんだ? まぃいいか、とりあえず新しい仲間が増えた。


家の中から、まだ少し不安を感じる痩せ方をしている犬達が顔を出した。ちょっと驚いた顔をしている……どうしたのだろう。

こっちへおいでと手招きするとちょっとびくびくしながら近づいて来る。その様子は可愛いが、まだ一匹は動けないようだ。心配だな、あとで様子を見に行こう。

早く元気になってほしい。


今日も川でアメーバと戯れている。最近の記憶がずっと同じなのだが……そろそろやばいな俺。

でも、暑いしな~……どうにもやる気が出ない。もう少し涼しくなってくれればいいのに。

よし! みんなのご飯づくりを頑張ろう。大量に作らないと怖いことになりそうだし。

お、帰ってきた。

新しい仲間の犬達が今日は全員でお出かけしたのだ。体調がなかなか治らなかった一匹も一緒だ。心配だったが、その子も大丈夫のようだ。まだ他の子と比べると、痩せてはいるが問題なく走れている。

よかった、これで一安心だ。

そろそろ皆の名前を考えようかな。

犬達のお供を、チャルとチャタにお願いしておいた、二匹とも今日はありがとう。特別にご飯……いや、やめておこう、みんなの攻撃対象になりかねない。頭を撫でるだけに止めておいた。

俺だって空気は読める。