77.チュエアレニエ二 親玉さん。
─巨大に成長した蜘蛛の親玉さん視点─
目の前を天井から、糸でぶら下がる我の子を見る。我の一族にそんな種はいないはずなのだが、間違いなく我が子だ。
いつの間にやら進化をした、糸という不思議なモノを持って。……面白い。
我の体は火に特化した強化体、業火をまといし一族。マグマの中でも、自由に動けるほど熱さに強く速さという武器も持つ。動きが速くそれは木の上でも変わらない。業火をまとい速さで敵の動きを止める、それが我ら一族の基本……そのはずなのだが。
天井からぶら下がっている我が子に声をかける。
糸か……その糸はどんなモノなのだ? 熱や火では切れないのか、そのあたりは我ら一族の力であろうな。糸を自由に飛ばすことができるのか? なるほど、糸を飛ばすスピードは? 走る時と同じなのか、それは速いな。姿を現さず、敵を捕まえることができるのは便利だ。
ん? 罠を張れる? 糸を木に引っ掛けていって粘着を出す? 粘着とは、ほう。くっ付いたら外れない、それは便利だな。どうやって作っているのだ? 熱で糸を少し溶かす? 熱には強いのであろう? 糸にかかっている効果を少し無効化する、なるほどなるほど。その粘着の効果はどうじゃった? ほ~では、森の獲物にはほとんど有効的に使えるということか。うん、いい進化をしたということだな。
いつの間にやら、半分ほどの子供達が糸を持つようになっていた。少し不向きな者達も居るようだ。
ん? 糸に火をまとわせることに成功した? 頑張っておるな、すごいぞ。
主は今日も川であるな。川のそばは気持ちがいいモノだ。業火を持つ我でもこの傍は離れがたい。
川に巡らせた主の魔力。その魔力で、川の水はどこよりも清らかで優しいモノとなっている。
主をのせている水の精霊を見る。綺麗な水で全身が瑞々しく透明度が高くなっておる。あれ程の精霊は今まで見たことがない。
ん? 精霊が随分と集まってきておるようだ。主の魔力に誘われたのか?……そのようだな、主の魔力を吸収しておる。精霊は綺麗な魔力を好むからな……しかし、結構な数の精霊が近くに居ても問題ない主もすごいな。主の魔力は底がしれんの。
魔力を与えるだけでなく、精霊達を遊んでやってもおる。心が広い主だ。
お、今日の獲物はトートラグ、レッドデスフロッグか。
あのダイアウルフもいつの間にか進化しておる。他のダイアウルフとは力の差が歴然としてきておる……ん? 他のダイアウルフも力をつけてきておるのか。
さすが主が認めた種族ということか。
ゴーレム達が自由に解体を初めておるわ。解体するスピードが早いの、見るたびに早くなっているような気がする。そういえば、最近では住処の外の森を、走りまわっているゴーレムもおるのだが、ゴーレム達に、また新たな力でも加わったのか?
スピードは我らと引けをとらず、魔法の技も多種多様に操り、魔力も充分に主に分け与えられている……これ以上となると、さすがに恐ろしすぎる存在になるぞ。
おっ、主が川から出るようだ。そろそろ食事じゃな。最近は主の作るものが待ち遠しくてならんな。
ん? 糸が絡む? 糸の先まで魔力をしっかり行き渡らせるのがコツじゃ。ここをしっかりしておけば、糸は自由自在じゃ。
見ておれ。ほらの?
背から三本の糸を出して三本ばらばらに動かしてみせる。ついでに前足からも出して一本追加。それぞれを自由に動かして形を作って子供らに見せていく。
糸というのは面白い。使えるようになるのに少しコツが必要じゃったがコツさえ覚えれば問題なく攻撃、防御にも使える。罠という新たな技も使えるようになる、ほんと便利なものじゃ。
……? どうした主? 何か驚くようなことがあったかの?