75.暑い……気にしない。
誰が過ごしやすいと言った! 俺だけど! 俺だけど!
熱い、違った暑い。
夏がどうやら本番らしい。というか、本番であってほしい。ものすごい暑い。
温度計がないが、絶対四〇度近くないですか? と聞きたい。聞く人いないけど。……やばい、暑さで頭がおかしくなっている。…………暑い。
気持ちいい~。
川があってよかった。流れるプールならぬ流れる川だ。綺麗な川で透明度がすごい。
……何かいっぱい視界に見えるのだが、気にしない気にしない。
エビっぽいけどちょっと違う生き物とか。消えたり現れたりする魚もどきとか。気にしだしたら川では遊べない。
涼し~。
そういえば俺って、さっきから何に乗っているのかな? 何かな? 視線を向けると透明なアメーバみたいなモノが見える。ただし俺が余裕で乗れるほどデカいが……生き物?
観察してみるが、よく分からない。顔の位置も分からない……あ、生き物だ。目を発見した。目だけ?……どこかに口もあるのかな。それにしても大きな体なのに小さい目だな。
巨大なアメーバもどきは、体のすべてが透明で、かすかに全体像が分かる状態。顔の位置は目で判断だな。大きさは三メートル? もっとあるかな。水の中でびよ~んって感じなので分からない。
こいつ冷たい。気持ちいい。……敵じゃないよね?
流されて流されて、家の裏の畑を通り越して果実の森ゾーンへ。森と森の間を抜ける川になっている。
大改造後、森ゾーンだけ二回ほど拡張がされてきた。大改造ほどではなかったので数日で完了したが、……森ゾーンが当初より五倍くらいになった。
農業隊に反対はしない、ベッドの足元に朝起きたら三〇体が……三〇体のお願いは怖すぎる。あれは恐怖以外の何物でもない。……呪いでも、かけられているのかと思ってしまった。
森の中の川でぷかぷか、森が続く、続く。広いな~。……広すぎるとか、思ってはいけない。
川をゆっくりアメーバに乗ってくるくる。
ぼーっと空を見ていると、木が空を飛んでいる……飛んでいる!
びっくりしているとアメーバが止まってくれた。すごい、こいついい奴だ。
で、……なるほど果実の森の木って空中に浮かせて運んでいたのか。ずっと疑問だったのだが判明した。それにしても根っことか下から見るとすごいな。
……というか何本飛んでくるんだ?
木が次々と飛んでくる光景。何だろう、怖くはないが微妙な光景だな。ん~例えは思いつかないが微妙だ。
木には子蜘蛛が、一匹ずついるのが下からでも見えた。俺の近くに来ると、なぜか飛んだりしてアピールしてくる、可愛い。ぼーっと見ていると、もっとアピールしてきた。
……手を振って、頑張れと応援しておく。
木の間の空を駆けるシオンとクロウの姿が見える。ん? 空の上に? 羽もないのに?
空中を走り回っているシオンとクロウ、見間違いではないし、羽が生えている雰囲気もない。あれも魔法なのかな。火の魔法だけじゃないのか、すごいな。コアとソアとヒオもできるのかな?
……羨ましい。
お、最後の木かな、シュリが木の上に乗っている。
前足を挙げたので手を振り返す。葉の間から子アリが姿を見せて手を振り振り……すごいな~。
木の根を上手に切ってくれているのはシュリとその家族かな? 土の中ではすごいからなあの家族。
に、しても暑い。
全ての木を見届けると、アメーバがゆっくりと動き出す。
それにしても木が飛んでいたな、オオカミ達が飛んでいたな……異世界はすごいな。
慣れたと思っていたけど、びっくりすることはまだまだあるんだな~。気にしないことに集中しよう。