71.完成!……夏なのか?

岩と黄緑が混ざった岩を、ようやく鉄もどきにできた!

まさか完全に二つの素材を混ぜ合わせる必要があるとは思わなかった。それが分かるまでの三週間、長かった。

分かったことは、岩と黄緑の部分を粘土のように魔法で柔らかくして、色が完全に混ざるほどこねると鉄もどきとなる、というまか不思議な素材だったことだ。

まさに異世界の素材って感じでワクワクする。

しかも続けて使うなら、一度高温にしておかないとすぐに割れるとか、誰が想像する? できたと喜んで使っていると三日目にパキッと割れた。

あれにはかなり落ち込んだ。

本気で落ち込んで、やけくそになった。……まぁそのおかげで高温にすればいいと分かったのだが。あの時は本当にやけくそだった。日本のテレビで見た鉄は、高温に溶かされ型に流し込まれていた。なので、割れたフライパンを魔法でくっつけて高温にしてみた。

フライパンは溶けることなく、いきなり黒い煙が出てビビった。焦っている間に煙が落ち着き、フライパンは真っ黒く光沢を放っていた。

もともと黒っぽい感じはあったが真っ黒ではなかった。光沢もなかった。

何が起こったのか分からずフライパンを見つめたままちょっと茫然。

 もしかしてと、ドキドキしながらキッチンへ。

完璧に俺の知っているフライパンが完成していた。焼いた肉も野菜も綺麗に焦げ目がついて完璧。

高温に熱する前は、焼くことはできたが焦げ目が付きにくかったのだ。

ただ、またぬか喜びだと、今度こそどん底に落ちそうだったので一週間様子見。そして一週間、使い続けても壊れる様子を見せない。

完成と自分に感動!


その日、ちょっとやばいテンションで過ごした。

周りに異様に心配されたことを次の日に思い出した。忘れることにした。忘れるって大切だ。


家周辺の開拓をしながら、気分転換でフライパン作りに挑戦していた。

開拓は一ヵ月以上かかり、フライパン作りは合間合間だったのでほぼ同じ期間。

今思えば、あれは気分転換にはなっていなかったなと思う。ストレスを増やすだけだったな。今度からはしっかり考えてから挑戦しよう……いや、それほどいろいろと挑戦はしたくはないが。どうしても必要ならだ。

気が付けばかなり気温が高い。同じような暑さがここ数日続いている。もしかして夏なのだろうか。そうだとすると、結構この世界の夏は過ごしやすい。

まぁ、まだ油断はできないが。


農業隊が持ってきた、色々な食材が目の前に並べられている。

朝起きて一階のダイニングへ行くと、俺の座る場所の机に見たことのないモノが並んでいたのだ。これはもしかして、食べて確認しろということだろうか?……朝ごはんの後でもいいだろうか?

ちらっと隣と見ると農業隊の二体がじーっと俺を見つめてくる。

……怖くないからな! 食べるけど。

起き抜けには辛い。だが俺は頑張った。

コショウのような調味料系を発見できた。これはうれしい。……起き抜けには辛かったが、コショウもどきをかじってしまった。何とも言えない刺激が……。

そしてブドウを見つけた。

日本の五倍の大きさだって気にしない、味がブドウなら……ワインが作れる! お酒が飲める!酒豪ではないが、お酒は好きだ。

ビールがほしかったが作り方を知らない。ワインは確か潰して発酵させるだけだったはず、俺でもできる! とりあえず農業隊にブドウの木をちょっと多めにお願いしておいた。

ただ、朝からしびれるような味は、やっぱり遠慮したいものだ。