59.岩人形は自由!……空からの襲撃。

朝、農業隊に手伝いを拒否された。

なぜだ!

水魔法の微調整はある程度できるようになったので、昨日は水遣りを手伝ったのだが……何かが駄目だったのだろうか?

今日も手伝おうと畑に行ったら、畑に入ることを拒否された。見るだけは自由に……らしいのだが。

考えても分からない、諦めよう。次がある……たぶん。

家の近くに小さい湖ができている。一つ目達と農業隊、子アリとちびアリが頑張って作った、ふわふわ用の湖らしい。水はどうするのかと思っていたら、ふわふわが大量の水を魔法で作っていた。魔法は万能だな。

湖を見に行くと、ふわふわが周りをくるくると飛び回る。

いつもと様子が違うのだが、どうしたのだろう?

ふわふわは湖の水を浮かせて、ちょこっとくぼみの部分にその水を落とす。

……えっと、ん~? 分からない。

俺に何かをしてほしいのか? でも俺ができることは、一つ目達がほとんどできてしまう。わざわざ俺に頼むことはないような。俺しかできないことってなんだ?

……あっ、もしかして木の伐採か? 木の伐採というか、開拓は俺の仕事だな。

でも、どうして開拓が必要なんだ? もしかして、湖を広げたいのだろうか?……まぁ、よくは分からないが問題がないので、お願いされた場所の木を伐採していく。

問題がないとは思ったが、ちょっと広すぎないかな? 希望通り開拓をしていくと、広大な広場が出来上がった。

まぁ、ふわふわは喜んでいるし、いいかな。

喜んでいるふわふわを見ていたら、近くの切り株がいきなり土から出てきた。ビビっていたらその下からシュリが顔を出す。土から押し出された切り株を、親玉さんが三つ目が作った縄を使用して、シュリの穴まで引っ張っていく。……連携が見事だ。

俺はもう、用済みなのかな……。

子蜘蛛達と一緒に、バッグを持った透明石を持つ農業隊が、森へ出かける姿が見える。

……あのバッグって魔法のバッグだよな? あれ? いつの間に自由に持ち出すようになったんだろう?……まぁ問題がないからいいか。問題はないよな?……うん、大丈夫のだはずだ。


家に戻ると家に残っていた子蜘蛛達に地下一階へ連行された。担がなくても歩けるけど……力持ちだね。

連れて行かれたのは保存部屋が並ぶ地下一回。

新しく作った保存部屋の前で下されたのだが、ここに何があるんだ? 空のはずの保存部屋を覗く。……いつの間にか野菜や果物で埋まっている。

いつの間に? というか、え、見たことのない野菜まであるんだけど……。

新しく用意していた保存部屋を全て覗くと、すべてに食材が運び込まれている。最後に見た部屋では、一つ目が棚を作り三つ目が食材を整理していた。

知らない間に、一つ目と三つ目の協力体制に磨きがかかっている。割り込めない雰囲気があるのは、どうしてだろう。

子蜘蛛達が保存部屋を足でとんとんと軽く叩いてから俺を見る。保存部屋を増やすように言っているのだろう。確かに、畑でできた野菜の保存も必要になるから、今のうちに増やしておくか。

岩に魔力を溜めようとしたら、コアが俺の足をつついてきた。邪魔をされたことがないので驚いて視線を向けると、冷蔵室を前足で示す。

? 何だ……ちょっと考えるが、分からない。

コアをもう一度見ると、冷蔵室と時間停止をしている部屋を足で示す。

冷蔵室も確かに獲物の肉で埋まりかけているよな……増やせってことか? でも、それだと時間停止の部屋の意味は……時間停止機能の冷蔵室か? 意味があるかな? 肉を大量に保存するなら、時間停止機能が無いと鮮度がキープされないか、冷蔵庫にも限界があるからな。

……コアって頭いいよな~。

少し考えて、地下一回の大改造に取りかかる。まだ、何も作られていない空間に、今までの部屋の三倍に近い大きさの時間停止冷蔵庫を作る。食材を入れると冷えてから時が止まるように魔法をイメージだ。これで食材の質が下がることが防げるはずだ。

部屋を作って、岩で棚を作ろうかと考えていると、一つ目達三体が現れ、棚を作り出す……作業が早い。

棚ができると、三つ目達が食材の大移動。手伝おうかと思ったが、俺が置いた獲物の場所が違ったらしい、なんとなく部屋から追い出された……凹んでないからな!

俺は俺のできることをしよう!

食材が運び出された部屋を魔法で一度壊して、新たに部屋を作る。繰り返していると、地下一回が保存部屋で埋まった。

気が付けば、新たな部屋では一つ目達が総出で棚を作っている。そして三つ目達が部屋の中で整理整頓をしている。綺麗に埋められていく棚……俺ではここまで綺麗にはできないな。

何気に一つ目達の棚を作る作業を見た。

……なんというか、釘を使わない組み立て式なのだが、プロのようだ。すごすぎる。一つ目達は、いつの間にか家具作りを極めたよな、俺が作ったはずなのに優秀すぎる。

まぁ、優秀で困ることはないから、いいのかな。うん、これからも色々とよろしくお願いいたします。


コア達と一緒に狩に出かけた。保存部屋も広くなったので、お肉のストックを多くしたい。

結界内にも結構な数の魔物がいるみたいだ。コアを見ただけで、逃げていく魔物もいる。さすがコアだ。

そういえば最初の頃に比べると、黒い影に覆われた、呪い付きの獲物がずいぶんと減った。いいことだが、なんでだろう?……呪いが減っているのかな? まぁ問題が減っているのだから、気にしなくも良いよな。

魔物を探して回っていると、結界のそばまで来てしまった。本気で走ると、思ったより結界内は広くない。結界を広げようかな。

考え込んでいると、コアがいきなり空に向かって火を噴いた。

慌てて空を見ると、巨大な鳥のような魔物が、こちらに向かって急降下してきている。コアの噴いた火を器用によけて、一番貧弱に見える俺を攻撃しようとしているよだ。

「切断」

実は狩りに出る前に、襲われた時のことを考えて、準備をしておいた。イメージを作って魔法を一度発動させておいたのだ、襲われた時に、とっさに攻撃ができるように。

成功した!

確実に一撃で相手を殺すなら、間違いなく首を落とすことだ。

ただ、これは地上を走る魔物を想定していたので、空でいきなり首が飛ぶと……怖すぎた。