56.野菜を育てる基本……ちびアリ、ちび蜘蛛。
芋系らしき野菜を畑に植えてから気が付いたことがある。
この世界にも、四季はあるのだろうか? 四季があるなら、野菜を植える時期って決まっているはずだ……。
え~っと、この世界に来てからの、気温について考えよう。
おそらくだが、少しずつ暑さがましているような気がする。なので、夏に向かっていると考えられるが、この世界の夏が分からない。もしかしたら今が夏かもしれないし、もっと暑くなる夏があるかもしれない。
……困ったな。
芋系の野菜を育てているが、そこにも問題がある。
有機肥料は父に力が必要と、お小遣いにつられて手伝ったが、俺は野菜を育てたことがない。畑の手伝いをしたことも無い。水
野菜を育てるのに、必要なことは何だろう……水まき、虫の駆除、肥料の追加……ぐらいか? たぶん合っているはずだ、テレビで見た農業番組ではこれぐらいだったはずだ。たぶん、おそらく。
畑を見渡す……、俺だけでは無理だな。どう考えたって畑が広すぎる。
よし! とりあえず岩人形を作ろう。
手伝いがないとさすがにこの広さは無理だ、やる気も無くなる。
家に帰って岩と魔物の石を持ってくる。
岩人形に水遣りをしてもらうなら、岩人形に魔法を覚えてもらって、石で強化すれば効率が上がるだろう、きっと。
魔法を使える岩人形が作れるかどうかは、俺次第だが……そこは何とか頑張ろう。
目の前には、水を強化する石が六つ、水色が三つに青色が三つだ。
その横に緑の石が二つ。
緑の石が、どの魔法を強化するのかはいまだに不明、色々実験をしてみたが、分からなかった。だが、緑だ。きっと自然に関係をしているはず。
最後に透明の石、この石も、どの魔法を強くするのかは不明。ただ、綺麗な石なので使いたかった。
魔法を使えるイメージとテレビで見た農作業をイメージして、岩人形作り出す。その額に魔物の石をはめ込むと完成だ。
……ちょっと農作業のイメージで、害虫駆除をメインにしてしまった。虫のついた野菜が苦手なんだよな。まぁ、大丈夫だろう。
あ、そうだ。魔法を使うには魔力が必要だな、人形一つ一つに多めに魔力を溜めておくか。
「おはよう」
始まりは、
……なぜ、みんなが敬礼をするんだ? 作る時に何か考えたかな、俺? ん~記憶にないが、まぁいいか。
とりあえず、動いたので成功なんだろうな、魔法を使えるかどうかは不明だが。
ちなみに敬礼の姿から、なんとなく農業隊と命名してしまった。
これから、よろしくお願いします。
農業隊はすごかった。
水色と青色の石を持つ子達を見ていると、水を自由自在に操っている。魔法が使えるのは想像通りなのだが、どうやら、俺より魔法が得意なようだ。
これは、成功なのだろうな、きっと。ちょっと悔しいが。
緑色の石を持った子達は、畑の中で風を起こしているようだ。おかしいな、風魔法での実験では強化されなかったが……。まぁいいか、あの風にも何か意味があるのかもしれない。
透明の石を持つ子達は指示を与える側になったようだ。……石の力が分からない。まぁ指示があれがみんなが動きやすいだろう。とりあえず問題はなしだな。
と、思ったのだが、透明な石を持つ農業隊の希望により、農業隊の数を三倍に増やした。さすがに面倒を見る場所が広すぎたか。でも三〇体に増えた農業隊なら大丈夫だろう。
……新しい畝ができているように見えるけど、気のせいかな?
親玉さんとシュリが、白い球を持ってきた。親玉さんの持っている物の方が大きくバスケットボール三個分ぐらい。シュリが持っているのは、二個分ぐらいの大きさかな。
それが、なぜか俺の前にある。そして、白い球を挟んで親玉さんとシュリが居る。……何が始まるんだ? というか、この白い球はなんだろう?
親玉さんが足を、持ってきた白い球に乗せると魔力を注ぎだした、シュリも持ってきた白い球に魔力を注ぐようだ。見ていると、白い球が二つ俺の方に押し出される。
……どうしろと?
親玉さんとシュリは、じっと俺に視線を向けている。その間も白い球に魔力を注ぎ続けている。
えっと、これは俺にも魔力を注げということだろうか?
間違っていたら、止めてくれるだろう。
俺は両手を、それぞれの白い球にのせて魔力を注ぎ始める。どちらも止めないということは、正解だったようだ。
白い球は魔力を溜められるみたいだ。止められるまで、魔力を注げばいいかな。え~、どこまで溜めればいいんだ? かれこれ数十分ぐらい、ずっと魔力を注いでいるのだが。
ピシッ
「げっ!」
白い球にヒビが入ったので、壊してしまったかと焦ったが……次の瞬間、もっとパニックになった。叫ばなくてよかった!
親玉さんとシュリが喜んでいる、その前には割れた白い球、そして無数にいる……新しい仲間達。
ちび蜘蛛いっぱいと、ちびアリいっぱいが、どうやら新しく仲間になったようだ。大きさは小指サイズ、子蜘蛛達と出会った時のサイズだな。
まさか白い球が卵だったとは。大きさから卵という考えにならなかった。
穴から無数に出てくる黒い物体に追われる夢を見た、怖かった。