55.ふわふわの特技?……とりあえず作ろう。

 醤油しょうゆがほしい。が、醤油は大豆がないと、どうにもならない。

無理だよな~。

確実に手に入る物で、作れる調味料を考えるか。

湖があるな、あそこって魚が居たりしないかな? 魚がいると魚醤が作れるはず。確か、魚と塩を混ぜて発酵させるってテレビで見たような気がする……。魚醤はちょっと癖のある香りと味だが、俺は好きだ。魚がいたら、試して見ようかな。

とりあえず明日は湖だな。

湖には、ヒオとクロウが一緒に来てくれるようだ。ありがたい。


到着した湖は、太陽の光が反射して、とても綺麗だ。朝から気分が落ち着くな。

で、問題は湖に魚がいるかどうかだな。

馬鹿か?……上から見て分かるわけがないだろう。

どうすればいいかな? 竿? どうやって作るんだ? 竿は木でもいいかな、糸は三つ目にお願いして。あとは針とエサ……。針……難しい問題だ。

考え込んでいると、目の前にふわふわが飛んできた。

朝、出かけようとすると、どこからともなく現れて、俺の周りをくるくると落ち着きなく飛び回っていた。なんとなく、はしゃいでいたように見えたのは俺の見間違いだったのか、ふわふわの表情は読みにくい。どうしたのかな? っと思って見ていると付いて来たのだ。

特に問題もないので一緒に来たが、ふわふわ、ふわふわ、ふわふわ。えっと、目の前を飛び回って少し邪魔なのだが。

もしかして、何かを訴えているのかな?

……ごめん、やっぱり表情を読み取るのが難しい。

「ふわふわ、ごめん。俺、魚が取りたいから」

俺の言葉に反応したのか、なぜかふわふわがくるくると回って羽を動かした。

おぉ~羽が動くところを初めて見た。

で、湖の沖の方に飛んでいき……。

えぇ!

目の前でふわふわが、湖に飛び込んだ。大丈夫なのか?

湖の中が青く光って、何かが湖から放り出された。俺の目の前に……。

「おぉ」

……なるほど、ふわふわは魚を捕るのが上手なのか。

俺としては小さい魚で、魚醤づくりをちょっと試そうと思っていたのだが、目の前でビタンビタンと跳ねるのは、五メートルぐらいはある巨大魚。

ふわふわが湖から出てきて、俺の周りをくるくる、くるくる。うん、これは分かる、はしゃいでいる。

「ハハ、ありがとう。助かった……のか?」

とりあえず魚をゲット! 塩焼きの魚も美味いよね。

巨大魚はその場で絞めて……場所が分からないので頭を落とした。内臓は苦手なので抹消。魔法で隅々まで冷やして時間停止。移動は、空中に浮かせて運んだ。魔法様様である。


家に帰ってさっそく魚醤づくりだ!

巨大魚を切って綺麗に洗う。初めてなので、先ずは六分の一で挑戦だ。

……やばい、塩の量が分からない。結構多いはず、魚の二〇%でぐらいで良いかな?

どうやって塩の量を量ろうかな。イメージイメージ。無理だ。無謀すぎる。仕方ない目分量で頑張ろう。

銀の鉱石で入れ物を作って、クリーン魔法で綺麗にしておく。準備完了。

魚を切ると血が出てきた、血は臭みになるのかな?……気になるので魔法で血を抜いておこう。次に、魚に塩をまぶして、腐ったら困るので、ちょっと多めに。

塩を追加で作っておいてよかった。塩果物を収穫して塩を量産しておいたのだ。調味料が塩だけだと減りが早い。

塩をまぶした魚を、入れ物に入れて……塩をちょっとだけ追加しておく。塩の量が不安だ。まぁ最初だからな失敗も覚悟の上!

蓋をして一年から二年放置する……さすがに、待てない。

魔法で強制的に三ヶ月後に時間を進める。入れ物を振って、もう一度三ヶ月後に時間を進めてから、中を確認すると魚の形が崩れて発酵臭がする。だが、まだ発酵が足りないようだ。数回時間を進めては中を確かめる作業を繰り返す。合計五回目が終了。

蓋を開けて……お、匂いが変わった。家で使っていた魚醤の香りより、優しい香りだが、成功したのかな。

布で綺麗に濾過をしていく。出来上がったのは、茶色い澄んだ液体の魚醤だ。

塩がちょっと多かったのか、ちょっとだけしょっぱい気がするが、成功の範囲だと思う。

お肉を焼いて魚醤をちょっと垂らして……久々の醤油味、まじ美味い。やばい。感動していると、何やら殺気を感じるのだが。

隣に視線を向けると、すごい目をしたコア達がいつの間にか並んでいた。

……いや、塩は体に悪いだろう?……駄目だと……怖すぎる。

焼けた肉に、少量だけ魚醤をかけたモノを、コア達用のお皿に入れていく。……コア達の食いつきがすごい。というか怖い。目がやばい。次を焼くか。

カチカチと音がする方向に、視線を向けるとシュリが牙を打ち鳴らしている……シュリの分も焼くから、それは止めようか。

シュリが焼いた肉にかじりついている。初めて、生肉以外を食べるのでは? っと少し不安に思ったが、問題はないようだ。安心してコア達に次のお肉を焼いていると、後ろが騒がしい。、振り返ると、シュリと子アリ達が肉の争奪戦をしていた。……両者共に容赦がない。

最初から焼いた肉を好んでいた親玉さん達は平和だ。……いや、いつの間にか、魚醤を勝手にかけて食べている。それに親玉さんが子蜘蛛達を何気に足で蹴散らしているように見える。……どうしてこうなったんだ?

魚の塩焼きは美味い! ちょっと魚醤をかけても美味い!

久々の魚、川魚特有の臭みもない。ふわふわと一緒に、ちょっと他の仲間達から離れて平和に食事を楽しむ。けして隣に視線を向けないのが、平和に過ごすコツだ。あ~白ご飯がほしい。