45.呪い……怖い!
浄化が効かなかったのは初めてだ。ちょっとドキドキしてしまう。呪いが移ったら困ると思い、すぐに自分達の防御を強化する。
「結界・強化」
心の平穏のためにまずは自己保身。当然だ。
アリの全身の黒の模様。呪いの変化バージョンなのだろうか? 呪いといえば……呪詛、怨霊、憑依。
……まさか呪いが乗り移っているとか?
巨大アリを見る。目を見て……分からん。映画では目が死んでいるとか言っていたのに。そもそもアリの目を初めて見るのだ、分かるわけがない。
でも、とりあえず考えられることからしていこう。
いきなりコアが目の前に来た。巨大アリが襲いかかってきたのを防いでくれたようだ。コアの全身が光り、巨大アリが吹き飛ばされる。
その振動が洞窟に響き渡った、すごい迫力だ。巨大アリが立ち上がると、コアが呻り声をあげて威嚇する。コアの隣にソアとヒオも並ぶ。巨大アリのほうは……子供? 巨大アリに比べるとかなり小さいアリが結構な数、姿を現す。そのすべてに黒い模様がある。
なんだか不快感だけでなく嫌悪感も覚える。とりあえず、俺は俺ができることをしよう。
乗り移っているなら除霊だ。え~っと……無理、除霊のイメージなんて思い浮かばない。除霊のイメージって他に、他に……。
巨大アリが、牙を打ち鳴らす音が広い空間に響き、何とも言えない恐怖感が広がる。
ガチガチガチ。
……怖いな。
あっ、一つの体に二つの存在があるってことか……乗り移るってそういうことだよな?……一つの体に、本体以外の存在が無理やり入り込むのだから……そう考えると、問題の場所は心でいいかな? 心が何かに乗っ取られて、あのアリ自体が表に出れない状態になっている。
よし。
心ってどんなイメージだ?……なんでもいいな。空間に閉じ込められる……もっと簡単に、動けないということは、あっ、縛られたアリをイメージしよう、で、その縛ったものを燃やす、……駄目だ切ろう。切って、自由に空間を移動できるようにイメージしよう。
「呪縛解除」
巨大アリと、その周囲にいる小さいアリの周りに、光の輪が現れた。そのまま覆うように光の壁が生まれ、光がアリ達に注がれると、黒い模様が徐々に薄くなっていく。プチっという音とともに、光が消えると、模様がなくなった巨大アリと小さいアリがそこには居た。
良かった、小さなアリ達も模様が無くなっている。
それにしても本当に成功したのか、いや、よかったのだが。……と、いうことは本当に何かが乗り移っていたのか? この世界の呪いは乗り移ることもできるのか……こっわ~。
様子を見ると、巨大アリがこちらを見ている。先ほどまでの威嚇もなくただ、こちらを……俺を見ているようだ? 巨大アリが、こちらに少し近づくとコアが威嚇する。
止まった巨大アリは……なんとなく困惑している雰囲気を感じる。コア達や親玉さん達といると雰囲気を少しだけ読めるようになった。まだまだ意思疎通は難しいのだが。
巨大アリに、俺から近づく。なんとなくそのまま、頭を撫でて……お~陶器のように冷たくてつるつるしている。ざらざらした印象があったのだが、面白い。ついつい撫でまわしてしまった。
巨大アリがもっと困惑していたとか俺は知らない。