42.皮の加工……岩人形の追加。
ダイニングでの食事が楽しみになった。岩人形達の成長は、まぁいい方向へいったので気にしないことにした。考えても時間の無駄だ。俺には理解ができないことが多すぎるここでは、些細なことだ。気にしない、気にしない……絶対気にしない。
一つ目がコップを作ろうが、お皿を作ろうが気にしない。お箸が出てきた感動、かなり使いやすい、手のフィット感がすごい! ベッドが何やら進化した、ベッドヘッドってあると便利だな。階段に手すりが付いていた……滑って落ちたのを見られたからかな? 周りを確認した時には、誰もいなかったと思ったが……。
ある日、木の板が足りなくなったと催促されたので大木を加工して提供。その日、お風呂が木で加工されていた……え、なにこれ。……ちょっと君達やりすぎでは?
ずっと失敗の連続だった皮の加工がようやく成功した。
まず大切なのは、皮から脂肪など、余分なものを綺麗にそぎ落とすことだ。魔法で挑戦したが、俺は魔法での微調整が苦手だ……次にナイフだが……どちらも皮に大穴が開いた。何とかこの工程をクリアーしたら次は洗いになる。
皮についている汚れを綺麗に落とすことなのだが、こびり付いている汚れがなかなか落ちない。何気に体力が必要な行程だった。ここまでで、大きな皮はだいたい六分の一ぐらいになっている。なんでだろう、頑張っているのに。
ようやくここまでたどり着いても、次に最大の難関の乾燥が待ち受けている。この乾燥の工程で、いつも皮が硬くなってしまうのだ。硬くなった皮は何をしても硬かった。水に数日つけてみても、揉んでも、叩いても、硬かった。皮を柔らかくする何かが必要だったのだが、それがずっと分からずに進歩がなかった。
それを偶然にだが発見できたのだ!
汚れを洗い落とした皮を綺麗な水で最後に濯ぐのだが、いつもは魔法でぐるぐると水を回す。だが、その日は何を思ったのか近くに落ちていた木の棒で、ぐるぐると水をかき回した。たまたまその時に、獲物が狩られて来たので、解体するためにいったん作業を止めたのだが、そのあと作業に戻るのを忘れてしまった。翌日まで、木の棒を突っ込んだ水に皮を放置。思い出して慌てて、水から皮を取り出して乾燥させたのだが、なんと今までよりも皮が柔らかくなっていることに気が付いた。
それまでの皮と比較してみると、かなり柔らかい。
違いが何かを考えて木の棒を思い出す。急いで使った棒を探して、もう一度皮の加工に挑戦。やはり皮が軟らかくなる。木をよく見てみると白い樹液が染み出ている。おそらく樹液が皮を柔らかくしたのだろうと、木を探して樹液を採取。今、岩を加工した壺に樹液がなみなみと入っている。……取りすぎただろうか? まぁいいか。
目の前に、大きな皮がある。皮の加工に挑戦しようとしたのだが……一つ目や三つ目を思い出す。現実を見なくては……俺が挑戦するより、間違いなく成功する可能性が高いのは岩人形だ。
なんとなく心が晴れないが、新たに岩人形、子鬼を四体追加した。額に一つの小さな角があるのがポイントだ。子鬼達に任せれば間違いなしだろう……けっして丸投げではない……。悔しくはないからな!
岩のナイフを渡して、脂肪の除去をお願いした。やはり、俺とは比べ物にならないくらい、綺麗に取り払ってくれる。しかもどこにも穴がない……俺だって頑張ったのに……。次に子鬼達が全身を使って、水につけた皮を綺麗にしてくれている。最初の処理が上手だったのだろう、洗う工程が俺より早く終わる。もう、何も言うまい、ただやっぱりなっと思うだけだ。そして最後の工程、樹液を入れた水に皮を一日漬け込んで乾燥となる。
長かった、皮の加工でここまで手間取るとは思わなかった。そしてやっぱり岩人形はすごかった。
ベッドの上に毛皮の敷物が敷かれたのは数日後。暖かくて寝心地がいいです。