35.森を探索……親蜘蛛? 子蜘蛛?
まさかの岩人形が大活躍だ。三階、二階にも板を用意して床貼りをお願いした。俺が手を出すより綺麗なのはちょっと悔しいが。猫の手ならぬ岩人形。
手が空いたので森を探索することにした。獲物を狩るソア達とは別れて森の中を調べる。お供はコア。
野菜と調味料になるものがほしい。
岩から離れると大木の様子が少し変わる。まだまだ呪いが影響しているようだ。岩の近くの木々より、かすかに黒い影が濃くなる。結界内の木々の内部にしっかりと染み渡るようにイメージをして、
「浄化」
いつもより優しい光が木々を包みこんでいく。数秒後にはふわっと光が空中に集まってどこかへ飛んで行った。
飛んで行った方向を見る。初めて浄化のあとの光を見た。いつもはもっと眩しくて、光が収まった時には全てが終わった後だった。飛んで行った方向に呪いの元凶があるのだろうか。なんか怖いな。
木々を確かめると影の影響がなくなったのか色が鮮やかになっている。よかった、それにしてもでかいな。木の上に実がなっていても収穫は難しそうだ。
一本の木の前。上を見ると赤い実がたわわに実っている。初めて見た、この世界の赤い実。問題は食べられるかどうか、そして収穫方法だ。
とりあえずどうするかと考えていると親玉さんが来てくれた。木を登っていく親玉さんがいっぱいいる?……いっぱい? 数えると八匹……あれ?
あの子達、まさか子蜘蛛達か? あ、羽がない、ということは子蜘蛛さん達なのか。大きさが最初に会った時より大きい。親玉さんぐらいあるように見えるのだが。成長か? この数日で?
驚いていると子蜘蛛さん達が赤い実を一つ採ってきてくれた。手の中の赤い実。ありがとう。八匹の五〇〇円玉サイズの子蜘蛛さん達。……大きくなったね、しかも急に。
持ってきてくれた実は小玉スイカぐらい。銀色鉱石のナイフで切って食べてみる。サクサクしていて味は……桃のようにみずみずしく甘い。
「うまっ!」
数日ぶりの肉以外の果物。しっかり熟しているので甘くてなんだか癒される。みんなで完食して収穫の再開。
赤い実を数十個収穫してくれた子蜘蛛さん達。どうやって持って帰ろうかな。
この世界に飛ばされた時に持ってきたものは、その時に着ていた服と靴。財布とスマホ、あとは肩から下げる黒の布バッグ。
収穫があればとバックは持ってきてたが、小玉サイズの果物は一つしか入らない。このバッグ、有名なロボットのポケットみたいにならないかな。あれだと、どれだけでも収納可能なのに。バッグがふっと軽くなる。
びっくりしてバッグの中を見ると、入れていたはずの赤い果物がない。
「あれ?……消えた?」