エントール国。
森に異変が? 異変が見られた場所が遠いので確かなことではないというが、かすかに輝いていたと言う。何が起きているのか。森は……死んでしまうのか……。
エンペラス国が森全土にかけた複合魔眼魔法。この暴挙によってすべての秩序が崩れ去った。森にいた多くの聖獣が姿を消し、意思を持たない魔物、魔獣が溢れだした。
複合魔眼魔法、どうやって生み出したのか。噂では生贄をささげたと言われているが。本当のところは分からないが、あの国は人以外には厳しい国だ。
「森がエンペラス国に支配されれば……」
この世界の支配者ということになる……この国にとっては……。
オルガミト国。
目の前の報告に周りから息を呑む音が聞こえる。エンペラス国が森を支配しようと動き出して二〇〇年近く。少しずつ森は姿を変えてきている。今回の異変は何を意味するのか。
エンペラス国の周辺には二つの国があった。その国が姿を消したのが二〇〇年ほど前。多くの国民が突然、姿を消したと言われている。当初、森を支配するために作られたという複合魔眼魔法に生贄としてささげられたのではないかと噂された。だが、ただの噂だと誰もが思った。当たり前だ、もしそうなら数十万の命と血が犠牲になったことになる。そんな禁忌を犯すなど。だが、おそらくそうなのだろう。エンペラス国は禁忌を犯したのだ。我々は対応を誤ったのだ。