大旦那様のおつかい
千夜漢方薬局の主人の名前は
片眼鏡と派手な羽織を身につけた
スイ 「
大旦那「やあ、スイ。相変わらずの胡散臭さだね。現世で君の姿は目立つだろう」
スイ 「嫌ですねえ大旦那様。これでも俺は、浅草モノクルおじさんとしてそこそこの名物になってますし。時々警察の職質に遭いますけどね? そもそも胡散臭さでは大旦那様には負けますよ〜。
大旦那「大丈夫、僕もおしゃれな都会に出る時はスーツとか着て
スイ 「はい。例のブツ、用意できてます。なかなかいい出来ですよ〜」
大旦那「ふふ。わざわざ現世までやってきて、君に頼んだかいがあった。我が天神屋の
スイ 「はいぱあ? ところで大旦那様、
大旦那「史郎は陰陽局の
スイ 「……まあ、あやかしにとっちゃ古くから因縁のある憎たらしい存在ですけど、現世には必要な者たちなんですよ。なんせここは、人間たちの世界ですから」
大旦那「……あ」
スイ 「あ、って何ですか、あ、って」
大旦那「そうだスイ。僕は
スイ 「……大旦那様が、おつかい?」
大旦那「僕の嫁の葵は、料理が大得意でね。料理をしていないと落ち着かないような料理大好き娘だ。僕としてはそういうのを後押ししてあげたいのだが……業務用チョコレートってどこで買えるだろうか?」
スイ 「……大旦那様が真顔で〝業務用チョコレートどこで買える?〟とか言ってるの、めちゃくちゃ面白いですね」
大旦那「面白がらないでくれ! これだけ全然見つからないんだ。デパ地下や百貨店、チョコレート専門店にも行ったんだけど! 教えてくれ、スイ!」
スイ 「……いや……多分そこのド○キにあると思いますけど……」
大旦那「なるほど! ド○・キホーテか!」
こうして天神屋の大旦那様は、スイの薬局から帰る途中、近くにある浅草のド○・キホーテに飛び込んだのでした。
隠世で待つお嫁さんの喜ぶ顔を想像しながら、業務用チョコレートと、ついでに間違ってココアパウダーを、るんるん気分で買い