かくりよの宿飯のアニメが始まるらしいので。その二



 ここはかくりてんじん

 私、あおいは、天神屋の中庭で小さな食事処を営んでいる。

 かくりよが舞台のアニメが始まるという知らせを聞いた天神屋は大騒ぎ。

 でもアニメってものを知らないあやかしも多いみたい。

「へえ、ふーん、アニメねえ。ところで葵、アニメって何?」

「おりょう、アニメを見たことない?」

「そりゃあね。みんな大騒ぎしているけれど、うつしなんて行ったことないし、そもそも人間たちの技術に興味ないしー」

 ゆうがおにて、朝ごはんを食べながら新聞を読むお涼。

「アニメっていうのは、現世の偉大なサブカルチャーの一つよ。テレビの画面の中で、絵が自由自在に動くの」

「ザブカル……テレビ……?」

「うーん、上手うまく伝えられる気がしないわ」

 ぽかんとしたままのお涼。それでも朝ごはんを食べることは忘れず、ししゃもを齧る。

 そこにぎんさんがやってきた。

「葵さん、お涼さん、おはようございます」

「ああ、おはよう銀次さん。ねえ銀次さんはアニメ見たことある? お涼に説明するのが難しくて」

「アニメ……ええ、見たことあります。現世でテレビをつけるとよくやっていましたよ。耳のない青い猫が懐から便利な道具を出してあれこれしてました」

「……ああ」

「動く絵巻物といいますか、とにかく隠世には無い超技術で、感心したものです。隠世もアニメの舞台になるんですねえ……これが呼び水となり、現世のあやかしたちが隠世を訪れ、天神屋を利用してくれれば。ひいては夕がおの繁盛につながればと思いますね」

「そうね、目指せ借金返済!」

 せっかく銀次さんとやる気を高め合っていたのに、お涼がすかさず、

「で、葵は今、借金をどれくらい返したの?」

…………

「なんか、夕がおって赤字の方が増えている気がするんだけど。葵が生きている間にあの膨大な借金を返し切れる気がしないわ〜」

「あ、ああ……お涼さん、それは禁句……」(げっそりな銀次)

 私はすっと冷蔵庫を開けて、

「お涼、食後のデザートはどう? 昨晩、黒ごまのアイスを作ったんだけど」

「あ、食べる食べる。黒ごま〜」

 しめしめ。話題は逸らしたぞ……

 お涼がうるさい時は、やつが好きそうな氷菓を与えればいいのだ!

「葵さん……たくましくなって……」

 私を前に、そでで涙をぬぐう銀次さんだった。