俺も俺で、男子共の方へと近付いていった。

「よぉ……おはよっす、オードラン男爵」

マティアスが机にぐったりと頬を突き、やる気のない声で挨拶をしてくる。

「ああ、おはよう。なんか朝から疲れた顔してるなぁマティアス」

「なあ、俺ってなんかしたか? 朝っぱらから女子共がさぁ、まるでスキャンダル起こした有名人を見るみてーな目で俺のこと見てくんだわ」

額に「なんで?」の文字を浮かばせながら、縋るように俺に聞いてくるマティアス。

俺は「あぁ~……」となんとも間延びした声で返し、

「したと言えば、したかも? とにかくアレだ、お前が色男なのが悪いんだ。俺からはそれしか言えん」

「はぁ? なんだそりゃ?」

マティアスは眉間にシワを寄せ、露骨に訝しむ。

だってしょうがないだろうが……。

俺が余計なこと言うと、口を滑らせかねないんだからさ……。

下手に口を滑らすと、絶対レティシアに怒られちゃうし……。

周囲のローエンやイヴァンたちも口々に「お前なにをしたんだ?」と不思議そうに首を傾げるが、マティアスもマティアスで「知るか」と遠い目をするしかない状態。

悪いな……レティシアが動くまで、もうしばらく好奇の目に晒されてくれ……。