彼女の溢れる言葉を……溢れ出す涙をボクの胸で受け止めてあげる。

「リベラ」

「はい?」

「君は間違っているよ」

「私が間違っている?」

「ああ、別に戦いに勝つことが全てじゃない。ボクと過ごしていて、戦うことが大事なんて言ったことある?」

「ありません」

ボクはこれまで戦いを否定してきた。

ダンに挑まれても拒否を示した。

リンシャンに挑まれても、ダンジョンボスが出てきても戦わなかった。

怠惰のためだけど、戦うことほど面倒なことはないと思っているからだ。


「戦いで勝利して、偉いという奴は野蛮人だ。勝った者は気分がいいかもしれない。だけどね、殴られた方は痛い。殺された家族は悲しい。そんなのは勝利じゃないんだよ。魔物と変わらない。人は知恵を持っているから、知恵を使って快適な暮らしが出来る。より良い未来を考えられる。君は魔法を使って研究をすることを目的にしているんでしょ? ボクは戦いで勝つことよりも、魔法を発展させる君の方がずっと凄いと思うよ。戦うことよりも、兵器を作る奴よりも、生活を発展させる人、医療を発展させる人、農家や料理、食べ物を作り出す人、みんなを楽しませる人、そんな人たちの方がずっと凄いんだ。だから、戦いに負けたことは恥なんかじゃない。勝った奴を喜ばせてやればいい。君は戦い以外で、大勢の人を幸せにしてあげられるんだ。君は戦いで勝つ奴よりも、もっと凄い人だよ」


あ~、こんなくさいセリフを言うつもりはなかったんだけど。

ガラにもなく熱くなっちゃったね……。

「あっ、あの、ありがとうございます」

リベラはボクの胸に抱かれている間に、涙は止まっていた。

「リューク様のお考え……素敵です。騎士だとか、魔法だとか、人が競い合う世界の中で、自分の信念をお持ちになられているのが……素敵だと思います」

いや、ただ平和なら怠惰でいられるからだよ。

ボクは、ボクの周りが平和であればそれでいいんだ。

そうすれば時間は緩やかに、のんびりと過ぎていってくれるんだからね。

「日も完全に落ちてきたね」

「リューク様」

「なに?」

「温かいです」

ボクはリベラを抱きしめている。

今更ながらそれを実感して、カリンへの罪悪感に苛まれた。

これはリベラの願いだからね。後でたくさん謝ろう。