第十二話 戦う意味
森ダンジョンは、アレシダス王立学園から繋がる山がダンジョンと化している。
山全体とはいかないが、山の中腹までがダンジョンで、ダンジョンコアは山の頂上付近の洞窟内にあることが確認されている。
森ダンジョンの敷地は広大で、広さだけならばレベル三相当にランク付けされている。
アレシダス王立学園の生徒が、毎年一定数の魔物を狩っている。
そのためダンジョンのレベルが上がることなく、レベル二を維持していた。
「リューク様、しんどくないですか? お水を飲みますか」
週末になって、森ダンジョンにやってきた。
ボクはクッションに寝そべったまま、腰にロープをつけたミリルによって引かれている。
ミリルが甲斐甲斐しくボクの世話をしてくれる。
どうして、こんなにもボクへ尽くしてくれるのかわからなかった。
だけど、ミリルのことをカリンに話すと疑問は解決した。
カリンが孤児院の炊き出しをしていた際に、ボクが回復魔法の実験をするために、色々な人間を回復していた時に、ミリルの弟を助けたことがあるそうだ。
全然覚えていないけど、ミリルは恩を返すためにボクの世話をしてくれている。
態々、カリンにチームを組んだので世話をさせてほしいと、許可を取りに来たほどの恩を感じてくれている。
「ううん。のどは渇いてないから、いいや」
「そっ、そうですか。何かしてほしいことがありますか?」
「今のところはないかな? あっ、あそこ矢を撃って」
「はい」
召使いではないけど、ボクのために働いてくれるので助かる。
ダンジョン攻略もラクに済ませられるというわけだ。
女騎士殿も、週末までダンジョンにいかないで、本番まで待てばいいのに。
ボクは強制的に連れてこられたので、バルに寝転んだまま魔法を発動している。
移動は、ミリルが引っ張ってくれる。
森の木にぶつかりそうになったら、バルがエアバッグになって防いでくれるので、動かないでいい。最高だね。
「倒しました」
「お疲れ様」
「魔石を持ってきたにゃ」
「おかえり~」
ルビーも、ボクのために従順に働いてくれている。
こちらは理由はわからない。
獣人特有のルールでもあるのかな?
二人で魔物を倒して素材や魔石を集めてくれる。
ダンジョンって凄いね。
マジックウォッチにチーム登録しているからわかるんだけど、協力して魔物を倒すと経験値の分配を受けられるようなんだ。
ボクのステータスでは、魔物討伐はゼロなんだけど、レベルは五まで上がったよ。
素材や魔石は、カリンが誕生日にプレゼントしてくれたマジックポーチに入れている。
「おい」
「うん、何?」
「これのどこがダンジョン攻略なんだ?」
「何が、ダンジョンを攻略しているでしょ」
「戦闘がないじゃないか」
何を怒っているのかわからない。
チームだから一緒に行動しているけど、リンシャンは一番働いていない。
ボクは動いていないけど、属性魔法《睡眠》を応用して、半径三十メートル以内に近づいた敵を眠らせている。
詠唱を省略するために新しく考えた魔法である、オートスリープ様々だね。
無属性魔法のサーチも上手く機能している。
サーチは本来、敵や罠の探索をする魔法として開発された。
そのサーチを応用して、敵と認識した相手をオートスリープで眠らせる。
眠った魔物をミリルが矢を撃って倒して。
ルビーが討ち漏らしや、倒しきれていない魔物を討伐しては魔石を回収してくれている。
一人だけ、何もしないで怒鳴っているリンシャン。