「ゲアアアアアアアア!?

レッドキャップは、スタンプボアごと一撃で吹き飛んでいた。

消失しながらその場に魔石を落としたレッドキャップとスタンプボアを見ながら、イナリはふうと息を吐く。

「やれやれ、中々に激しいのう。よもや獣に乗って突撃とは。最初からこの調子では、相当に難儀じゃなあ」

今までのダンジョンと比べても、この東京第一ダンジョンの難易度は相当に高いとイナリは感じていた。モンスターも強いし、殺意の高い罠の存在もそうだ。ハッキリ言って、イナリが今まで見た覚醒者の実力でこのダンジョンをクリアできるなどとは思えない。しかし実のところ、イナリも此処を簡単にクリアできるかといえば……「難しい」が答えになってしまう。

(一番簡単な救出方法は越後とかいう娘が死ぬ前に此処を攻略してしまうことじゃろうが……これでは、あまり現実的とも言えん。となると、地道に捜すしかないのう)

しかし、どうにも奇妙なこともある。先程から死体を一つも見かけていないのだ。ということは、此処では誰も死んでいない……ということなのだろうか?

「だとすると、大分希望はあるかのう……いやはや、思ったより覚醒者とは強いのかもしれん」

言いながらも、イナリは「そうではない」と気付いていた。よく分からない。よく分からないが……このダンジョンには、他のダンジョンとは違う悪意が満ちている。確信できてはいないが……たぶんこの「東京第一ダンジョン」だけが他とは違う。もしかすると、イナリに対してだけ難易度が跳ね上がっている可能性は無いだろうか? そう思わされるのだ。

レッドキャップたちを倒しながらイナリはダンジョンを進み……突然足元に開いた穴に「ひょっ?」と声をあげる。

「ぬ、くっ!」

穴の縁に手をかけると、そこに現れたレッドキャップがニチャリと笑いながらイナリの手にナイフを振り下ろそうとして。イナリは一瞬の判断で落とし穴の壁を蹴って勢いをつけると、そのまま倒立の要領で穴の外へと飛びあがり……驚愕するレッドキャップの首にそのまま足をかけて思い切り床へと叩きつける。そう、偶然にもフランケンシュタイナーである。

ビクンビクンと痙攣しているレッドキャップをイナリはよろよろと立ち上がりながら落とし穴の中へと蹴り入れる。

「あー……今のは驚いたのじゃ。じゃが、今ので確信したぞ」

イナリは天井付近を見回しながら、一点を指差す。それは、先程悪意と、愉悦ゆえつと……そんな薄汚い感情の混じった視線を感じた場所だ。

「何処の誰かは知らんが……お主、わしを見とるな?」

視線の中に驚愕が混じる。イナリが見ても、そこには何もないように見える。見えるが……そういうやり方に、イナリは心当たりがあった。

「遠見の術か。相当な使い手のようじゃのう……じゃがな、見るということは……見られる覚悟も出来ているということじゃよな?」

神通力。システムがそう分類せざるを得なかったイナリの力は、実に多岐に渡る。その中の幾つかはシステムによって似たようなものへと独自分類された。しかし、イナリはその全てを使ってはいない。元々使う必要もなかった力ではある。力の流れを辿り、その「奥」へ。そこにいた黒いローブの男はイナリが見ていることに気付いたのかチッと舌打ちし手を振るう。同時にバヂンッと音が鳴りイナリの見ていた光景も消える。

「ふーむ……人、か? しかしどうにも違う気がする。よもや、アレがしすてむということもあるまいが……」

─【ダンジョンを歪めるもの】を発見しました!─

─称えられるべき業績が達成されました! 【業績:歪みの原因発見】─

─特別な報酬【システムによる情報看破(1回)】が与えられます─

─看破成功─

─【果て無き苦痛と愉悦の担い手】の使徒を発見しました!─

─使徒は神と呼ばれるに足る存在に仕え力を授かった者たちです!─

─警戒してください。異界の神々には邪悪なる目的を持った者も多く存在します─

「なんとまあ。異界とは、これはまた大きな話になったもんじゃのう」

しかし、そうであれば話は大分早い。何故なら、先程見えた場所は……恐らく、此処からそう遠くはない。

「しかしまあ、話は大きくとも解決までの道筋は思ったより近いもの。さあて、この階の何処かに居るのじゃろ? すぐに追い詰めてやるでな」

ダンジョンを歪めているだかなんだか知らないが、そんな強大な力を永続的に振るえるはずもない。十中八九何かしらの制限があるし、何より先程の遠見の術。然程「遠く」はなかった。ならば、【果て無き苦痛と愉悦の担い手】の使徒とかいう奴は……必ず、この階にいる。

「ギイイイイイイイイ!」

「ギエエエエエエエエ!」

「ギイエアアアアアア!」

レッドキャップの群れが……スタンプボアに乗った個体まで複数含む群れがイナリへと突撃してくる。かなりの数だ、普通の人間であれば決死の覚悟で挑み、それでも磨り潰されるかもしれない。だがイナリは違う。イナリは弓形態の狐月を構えると、その弦をゆっくりと引く。

「分かりやすいのう。その愚かしさはいっそ愛いのう。しかし……あまりにも分かりやすすぎるのじゃ」

放たれた矢が着弾し、レッドキャップたちを吹き飛ばす。簡単なことだ。ダンジョンゲートを破壊するよりは、余程簡単なことだ。恐らくだが……そう離れていない場所に使徒はいる。そして、それが意味することは。

「思ったより面倒ごとだったようじゃが……ま、今更か。一度首を突っ込んでしもうたしのう」

そう言いながら、イナリはダンジョンの奥へと進む。その足取りに、迷いは無かった。

◇◆◇

東京第一ダンジョン、一階層のとある場所で【果て無き苦痛と愉悦の担い手】の使徒は混乱していた。

全て、全て上手くいっていたはずなのだ。あと一歩でこのダンジョンは主たる【果て無き苦痛と愉悦の担い手】の影響下となり、此処を拠点に更なる影響力を広げていくはずだったのだ。

その為に長い期間準備をしてきたというのに、何故今更あんなものが現れるのか?

「くそっ、くそっ……! なんだアレは! 秋葉原の臨時ダンジョンをクリアしたコスプレ女がいたのは知ってたけど……アレはフォックスフォンが高いアイテムで支援しただけって話じゃなかったのか!? 情報屋め、全部終わったらブチ殺してやる……!」

そう、情報屋は確かにそう言っていた。あの「狐神イナリ」はアイテムボックスを所持しており、その中にフォックスフォンからの多数の高価なアイテムを所持し、そのアイテム頼りで無理矢理実績を作っている最中だ……と。

「なんだあの無茶苦茶な威力の攻撃は……! 近距離と遠距離、物理ディーラーと魔法ディーラーの混合!? 狐巫女とかいうアホみたいな名前のジョブにそんな力があるのか!?

まるで一人で何でもできると言わんばかりの無茶苦茶さだ。それだけではない、あんな軽装でスピアトラップの罠を受けて無傷。スタンプボアの突撃を受けて骨が折れた様子もない。あの巫女服の性能なのかもしれないが、それにしたって、あんな防御性能があるのならばタンクすら要らない。能力値では明らかに遠距離系魔法ディーラーだったはずなのに。少なくとも武器と防具の性能が高いことだけは疑いようもない。

そして……【果て無き苦痛と愉悦の担い手】より授かったスキル「愉悦の目」を利用して此方を覗いてきた。そんなことが出来るとすれば……【果て無き苦痛と愉悦の担い手】同様、神しかいない。

「【果て無き苦痛と愉悦の担い手】よ……! あの女は何処かの神の使徒なのですか!?

─否。神との繋がりは感じられぬ─

「では何故! あのような者がこのタイミングで!」

たのしめ。私は愉しい─

「……!」

【果て無き苦痛と愉悦の担い手】の使徒はそれきり返事を返してこなくなった【果て無き苦痛と愉悦の担い手】に激しい怒りを感じていた。力をくれると言ったくせに。今度はお前が見下す番だと言ったくせに。だから契約したのに。だから人間を裏切ったのに。

「私を……貴方の使徒を愉悦の対象にしようというのか!」

─【果て無き苦痛と愉悦の担い手】が哄笑こうしょうしています─

「う、うあああああああああああああああああ!」

【果て無き苦痛と愉悦の担い手】の使徒は地団太を踏むと、ローブの中から禍々しいデザインのナイフを取り出す。中央に紫色の光のラインの走るナイフは、明らかに普通ではない輝きを感じるが……それを見ながら、【果て無き苦痛と愉悦の担い手】の使徒はゆっくりと息を整えていく。

「……落ち着け。私の計画はまだ破綻してはいない。あのコスプレ女を殺せばいいだけの話だ。私には、この神器がある。刺せば全身に溶解毒の回る『愉悦の牙』が……!」

そう、このナイフに刺されればどんな人間も助からない。身体の全てが溶解し溶け落ち、着ていた服も装備も溶かし切る。最後には何も残らない、【果て無き苦痛と愉悦の担い手】の使徒の知る限りではこれ以上はない暗殺武器。【果て無き苦痛と愉悦の担い手】から授かった、神器と呼ぶにふさわしい武器だ。

「そうだ。私になら出来る……あのコスプレ女にこれを刺してやることが……! ヒヒ、ヒヒッ……!」

【果て無き苦痛と愉悦の担い手】の使徒の姿がジジジ……と音を立てて変わっていく。

何処にでもいそうな男の姿から、女の姿へ。身長すら変わったその女の姿は……越後商会のクランマスター「越後八重香」の姿、そのものだ。

【果て無き苦痛と愉悦の担い手】の使徒が八重香へと変身したのか? 否、否。そうではない。彼女は越後八重香本人であり、先程の男の姿こそが八重香が念には念を入れて変えていた姿である。幻影を作る能力を持つアーティファクト「偽りの幻影珠」の能力であり、大規模攻略メンバーを皆殺しに出来た秘密の一つでもある。

「私だって、もうただの『商人』じゃない……そうだ、今の私なら出来る……!」

そう言い聞かせれば、八重香は自分の中に冷静さが戻ってきたのを感じる。殺せる。それを強く感じるがゆえに、動揺などする必要すらない。今の自分は【果て無き苦痛と愉悦の担い手】との契約により、大規模攻略隊のメンバーたちの力の一部を吸収したのだから。

名前:越後八重香

レベル:46

ジョブ:神託の商人

能力値:攻撃C 魔力C 物防C 魔防D 敏捷C 幸運D

スキル:計算力向上Lv3、万物取引、神託、愉悦の目、加護(果て無き苦痛と愉悦の担い手)

何度確認しても凄いステータスだ。ほとんどの能力が上級クラス。しかもこれから更に成長出来る。あのコスプレ女を殺せば、どの程度強くなれるだろうか? 自分が死ぬと知ったその瞬間、どんな表情を浮かべるだろうか?

「ああ、こんな簡単なこと。どうして私は苦悩してたんだろう」

そう呟いた八重香の瞳には、奪うことに喜びを感じる者特有の暗い光だけが浮かんでいた。

◇◆◇

ダンジョンを歪める者の存在をイナリが知ってから、一時間ほどが経過して。イナリは周囲を見回していた。あの時視界を乗っ取った結果、大体の方向と距離は理解できた。そこから判断するに、この辺りのはずなのだが……。

「ふーむ、まあ見られてその場に留まる者もおらん、か。此処でわしを迎え撃つつもりかと思っとったが……」

そう、この階層の中でも広い部屋のような場所。そこには先程の男の姿はない。ないが……一人の女が縛られ転がされていた。気絶しているように見えるその女は、イナリが此処に来るまでに資料を見た、クラン「越後商会」のクランマスターである越後八重香のものだ。

彼女以外の大規模攻略隊のメンバーはいないようだが、重要度でいえばおかしくはない。

おかしいのは、彼女だけが此処にいること、そして残されていること。

(十中八九、何かしらの罠……しかしまあ、飛び込まないわけにもいかぬのう)

そう、今回のイナリの最大の目的は八重香の救出。他の攻略隊の面々についても捜したいところではあるが、まずは八重香を助けなければならない。だから、イナリは倒れている八重香へ向かって歩き出し……地面から突き出した無数の槍の罠を横に跳んで避ける。

「おおっ!?

それを狙い壁から発射された矢を手から展開した障壁で防げば、その足元に大きな落とし穴が開く。落とし穴の縁に手をかけ落下を防げば、穴の底で何かカチリという音が響く。それはドカン、という轟音と共に穴から火柱を噴き上げるほどの大爆発を起こしてイナリを吹っ飛ばす。

地面をゴロゴロと転がったイナリは、ケホッと息を吐く。

「ぬう、流石に今のは肝が冷えたぞ。わしが罠をどうにかすることを前提に仕掛けてきよったか」

八重香を餌にしたのも、こうなれば敵ながら良い判断だ。此処にあの「使徒の男」がいたならば、イナリは間違いなく弓形態の狐月で射貫いていただろうから。

「まあ、それでもこれで終いよ。どれ、助けに来たぞ。何処ぞ痛むところはあるかのう?」

目を開いていた八重香……流石にこれだけ大騒ぎになれば起きるだろうとイナリも思うが、八重香は「うう……」と口を開く。

「助けに、来てくれたんですね……」

「うむ。縄は……面倒じゃの、切るか」

刀形態の狐月でイナリが八重香の縄を切ると、縄はザラリと砂のように消えていく。何かの不思議な力を持っている縄であることは一目瞭然であったため、これで正解だったのだろうとイナリは思う。

「お主を外まで連れていかねばならんが……他の攻略隊の面々について何か知らんかの?」

「いえ、分かりません」

「そうか。まあ、仕方ないかもしれんのう」

「すみません。でも、分かることもあります」

「うむ?」

何を言うつもりかとイナリが促せば、八重香は部屋の天井付近に飾ってある、おかしな装飾を指差す。あざ笑うような髑髏どくろの模様をあしらった、何かのシンボルじみたレリーフだ。それが何かまではイナリには分からないが、先程の縄同様、何らかの力を感じるのは確かだった。

「此処に居た男が言っていたんです。あれは何か大事なものだって。きっと、壊されると困るんだと思います」

「壊されては困る、か。まあ、有り得る話じゃの」

たとえば何かの呪術であるにせよ、その核となるものは確実に存在する。あの怪しげなものがそれに値する何かであるというのは、イナリとしても納得できる話だ。

「貴方なら壊せると思うんです! ですから……!」

「まあ、そうじゃのう」

イナリはレリーフに視線を向ける。そう、確かに壊せる。狐火でも弓形態の狐月でも、どちらでも恐らく可能だ。だから、イナリは。

「お願いします! あれを壊して、そして……!」

「その前に」

イナリは刀形態の狐月の鍔をカチャリと鳴らす。そう、その前に。解決しなければならない疑問がある。狐月を八重香の首元に突きつけ、イナリは問いかける。

「お主……何故あんな高いところにあるものをわしが壊せると?」

「え、え?」

イナリは振り返り、猜疑さいぎの目を八重香へと向ける。先程八重香は、聞き流すにはあまりにもおかしすぎることを言った。イナリなら、あの天井付近にあるものを壊せると。そう、刀を持つイナリに言ったのだ。覚醒者の役割分担でいえば「近距離ディーラー」にしか見えないイナリに、だ。

「刀一本しか持っていないわしにソレが出来ると確信しとったな? どう見ても他の武器など持っとらんというのに」

「そ、それは。その」

「あの時の男の姿は幻術というわけか。ん?」

「ち、違うんです! 私、証明できます! この刀を引いていただけたら、すぐにでも!」

「ほう?」

イナリが狐月を首元からどければ、八重香は服の中から丸い珠のようなものを取り出す。

「こ、これです! これが……」

「ん? ぬおっ!」

凄まじい光量を放った珠にイナリの目が眩み、瞬間に八重香は『愉悦の牙』を振り抜く。

(馬鹿が……この一瞬で私はお前を殺れる!)

能力の上がった今の八重香であれば近距離ディーラーの様な動きが出来る。だから、八重香はイナリの巫女服の心臓の辺りへと『愉悦の牙』を突き刺して。

「……えっ」

刺さらなかった。たとえ何かしらの防具であったとしても『愉悦の牙』であれば問題なく貫けるはずなのに。それこそが『愉悦の牙』を必殺足らしめているのに。なのに今、『愉悦の牙』があっけなく弾かれて。ギイン、と。『愉悦の牙』が弾かれ、空中を回転しながら床に転がっていく。

「あ、あああ!?

「残念じゃのう。その怪しげな小刀……濃い『呪』の気配がする。となればもう、全容も見えた。大人しくばくにつくが良い」

冷たい目で見てくるイナリに、八重香はヒヒッと引きつった笑みを浮かべる。なんだ、なんなのだコイツは。聞いていたよりも、想定したよりも。もっとずっとヤバい。フォックスフォンの支援? あんなクランとしてみれば二流もいいところのクランに、『愉悦の牙』を弾くようなアイテムを用意できるものか。なら、こいつは一体……何処から。

「まだだ。まだ、私は負けてない。万物取引の力を使えば」

─いいや、終わりだ。その見苦しさは愉しいが、此処で幕としよう─

「は!?

転がっていたはずの『愉悦の牙』が、八重香の背に刺さる。それは、八重香の中を八重香が知っているよりも遥かに速い速度で蹂躙して。『愉悦の牙』ごと、八重香を一瞬で無に変えた。

「なっ……!」

─【果て無き苦痛と愉悦の担い手】が使徒契約を持ちかけています─

一瞬の事態に驚愕するイナリの前に、ノイズの混じったウインドウが現れる。それは、システムのものとは明らかに違う「何か」だった。そして、それは……今目の前に出ている「これ」を出した者……【果て無き苦痛と愉悦の担い手】の仕業に違いない。だから、イナリの返答は決まっている。

狐月を構え直すと、イナリは刀身に指を這わせ滑らせる。

イナリの指の動きに合わせ青い輝きを纏っていく狐月は荘厳な輝きを放って。

「失せよ、悪鬼外道──秘剣・鬼切」

ウインドウを、真っ二つに叩き切る。触れ得ぬはずのそれはしかし、イナリの一撃で切り裂かれ消えていく。

─【果て無き苦痛と愉悦の担い手】の干渉力を一時的に排除しました!─

─世界初の業績を達成しました! 【業績:初めての干渉排除】─

─想定されない業績が達成されました!─

─金の報酬箱を手に入れました!─

手の中に現れた金色の箱を神隠しの穴に放り込むと、イナリは先程まで八重香が「いた」場所へと視線を向ける。手向けるのは、祈り。間違いなく悪人ではあるが、被害者でもあった。真実が知られれば恐らく誰にも祈ってもらえないだろうから、せめてイナリだけでも祈ってやらねば救いがないというものだ。

「ま、如何な事情があろうともお主のやったことは許されんが。さてさて、この件。どうしたもんかのう……」

言いながらイナリは決意する。この件の始末、自分に頼んできた連中に全部ぶん投げようと。

そう、これが後日悲劇の事故として大きく知られることになる「大規模攻略隊全滅『事故』」の……真実であった。