5
事件の後始末は、ひとまず帝国軍や冒険者ギルドが行うことになった。
死者たちはレシアータと一緒に姿を消していったようだが、それ以外の被害者たちは地面に伏したままだからな。多くの建物が半壊していることを鑑みても、完全な復興には時間がかかるだろう。
もちろん、俺も最初は復興を手伝おうとしたが──。
シャーリーや執行部に強く止められ、ひとまずは宿に戻ることになった。
こんな衝撃的な事件が起こった矢先に、ヴァルムンド王国の人間がいると余計な混乱を生むかもしれない……。
それが止められた理由だった。そして宿に向かおうとした矢先、
「あ、あの……。ありがとうございました」
そう礼を言って俺に頭を下げる住民がいた。
「あなたたちがどなたかは存じませんが……あなたたちがいたおかげで、より大きな被害を出さずに済みました。本当にありがとうございました」
「ありがとうございました……!」
「本当に助かりました……!」
その住民につられるようにして、他の住民たちも俺たちに頭を下げてきた。
「はは……いえいえ、とんでもないです。皆さんこそ、無事で良かったですよ」
正直、今回の戦いは精神的にくるものがあった。
最初に助けた女性のように、その身内を倒さなければならない〝やるせなさ〟。
そして何より、死者と戦わねばならない精神的苦痛……。
シャーリーのおかげで戦闘的にはさして苦労はしなかったが、だとしても、胸にくるものがあったのは事実だ。ただ単に敵を倒していればいい、という戦いではなかったからな。
太陽神(フレイヤ神)、治癒神、知恵神……。
この三柱のうち、最も強い力を誇るのはフレイヤ神だという。
けれど、他の二柱も間違いなく桁外れの力を持っていて……。
レシアータのような者にその力を悪用されると、フレイヤ神よりもさらに厄介といえた。
だからこそ、こうやって感謝されると純粋に心が救われるよな。
率直に言ってしまえば、ヴァルムンド王国とルズベルト帝国は敵対している関係だけれど──それでも、みんな懸命に日々を生きている人たちなんだから。
「あ、あの……」
そうして宿に戻ろうとすると、住民の一人がさらに俺に声をかけてきた。
「もしかしてですが、あなたは……えっと……」
「へ……?」
「いえ、その、なんだか見たことあるなって……」
「…………」
やばい。
もしかして俺の正体に勘づかれ始めたか。
「あら、ごめんなさい♡ 私たちもかなり負傷していますので、すみませんがこのへんで失礼いたしますね♡」
と。
俺が立ち止まっていると、ふいにシャーリーがいつもの
そして俺の腕を引き寄せ、無理やり宿へと引っ張っていく。
「ちょ、シャーリーさん……!」
「仕方ないじゃないですか♪ このまま正体を知られるよりずっといいでしょう?」
「いや、俺が言ってるのはそれじゃないんですが……」
絶対わざとだと思うんだが、当たってるんだよな。
柔らかい二つの膨らみが。