事件の後始末は、ひとまず帝国軍や冒険者ギルドが行うことになった。

 死者たちはレシアータと一緒に姿を消していったようだが、それ以外の被害者たちは地面に伏したままだからな。多くの建物が半壊していることを鑑みても、完全な復興には時間がかかるだろう。

 もちろん、俺も最初は復興を手伝おうとしたが──。

 シャーリーや執行部に強く止められ、ひとまずは宿に戻ることになった。

 こんな衝撃的な事件が起こった矢先に、ヴァルムンド王国の人間がいると余計な混乱を生むかもしれない……。

 それが止められた理由だった。そして宿に向かおうとした矢先、

「あ、あの……。ありがとうございました」

 そう礼を言って俺に頭を下げる住民がいた。

「あなたたちがどなたかは存じませんが……あなたたちがいたおかげで、より大きな被害を出さずに済みました。本当にありがとうございました」

「ありがとうございました……!」

「本当に助かりました……!」

 その住民につられるようにして、他の住民たちも俺たちに頭を下げてきた。

「はは……いえいえ、とんでもないです。皆さんこそ、無事で良かったですよ」

 正直、今回の戦いは精神的にくるものがあった。

 最初に助けた女性のように、その身内を倒さなければならない〝やるせなさ〟。

 そして何より、死者と戦わねばならない精神的苦痛……。

 シャーリーのおかげで戦闘的にはさして苦労はしなかったが、だとしても、胸にくるものがあったのは事実だ。ただ単に敵を倒していればいい、という戦いではなかったからな。

 太陽神(フレイヤ神)、治癒神、知恵神……。

 この三柱のうち、最も強い力を誇るのはフレイヤ神だという。

 けれど、他の二柱も間違いなく桁外れの力を持っていて……。

 レシアータのような者にその力を悪用されると、フレイヤ神よりもさらに厄介といえた。

 だからこそ、こうやって感謝されると純粋に心が救われるよな。

 率直に言ってしまえば、ヴァルムンド王国とルズベルト帝国は敵対している関係だけれど──それでも、みんな懸命に日々を生きている人たちなんだから。

「あ、あの……」

 そうして宿に戻ろうとすると、住民の一人がさらに俺に声をかけてきた。

「もしかしてですが、あなたは……えっと……」

「へ……?」

「いえ、その、なんだか見たことあるなって……」

「…………」

 やばい。

 もしかして俺の正体に勘づかれ始めたか。

「あら、ごめんなさい♡ 私たちもかなり負傷していますので、すみませんがこのへんで失礼いたしますね♡」

 と。

 俺が立ち止まっていると、ふいにシャーリーがいつものなまめかしい声を発した。

 そして俺の腕を引き寄せ、無理やり宿へと引っ張っていく。

「ちょ、シャーリーさん……!」

「仕方ないじゃないですか♪ このまま正体を知られるよりずっといいでしょう?」

「いや、俺が言ってるのはそれじゃないんですが……」

 絶対わざとだと思うんだが、当たってるんだよな。

 柔らかい二つの膨らみが。