「ん……」

 翌朝。

 視界に柔らかな日差しが入り込んできて、俺は眠りから覚めた。

「ふわぁ〜〜あ……」

 あおけになったまま、あくびをして身体を伸ばす。

 頭がすっきりしている。たっぷり休息を取ることができたようだな。

「腹減ったな……」

 そういえばちょうど食パンを切らしているんだったか。

 卵とベーコンなら用意があったはずなので、面倒だが自分で作るしかないか……。

 そう思ってベッドから離れた、その瞬間。

 ──コンコン。

「ん……?」

 ふいに玄関のドアが叩かれる音がして、俺は目を細める。

 なんかデジャブを感じる展開だぞ。

 かつてはシャーリーが無理やり押しかけてきて、とびきりにいサンドイッチを作ってくれたもんだが……。しかしドアの向こうから感じられる気配は、シャーリーのものではない。

 とはいえ悪意も特に感じられないし……いったい誰だ?

「は〜い、お待ちください」

 ドア越しにそう返事をしつつ、俺はひとまず洗面所に足を運ぶ。少しだけ髪がはねていたのでそれを整えると、改めて玄関のドアを開けた。

「お待たせしました……って、え」

「あ、やっぱりこの家で合ってましたか……! 良かったです」

 ちょっと恥ずかしそうな笑みを浮かべているその来訪者に、俺は開いた口がふさがらない。

「ムルミア村には一度お邪魔してますからね〜。あの時アルフさんのお家の場所を聞いといて正解でした」

「い、いや、その……」

 俺はどもりつつも、それでも大声でツッコみを入れた。

「ラミア王女殿下! どうしてこんな所に来てるんですか!!

 ──ラミア・ディ・ヴァルムンド。

 ここヴァルムンド王国の第三王女であり、かつ俺の〝知り合い〟でもある。ぞくに襲われていたところをなんとか助けて、当時から《∞チートアビリティ》の強さに気づいてくれていて……そこからの縁だよな。

 そう。

 彼女は王族という立場なのだ。

 にもかかわらず、こんな辺境の村に訪れるばかりか、俺の家まで足を運んでくるなんて……!

「どうして……って、酷いです。来ちゃいけなかったですか?」

 そう言って、まゆを八の字にするラミア。