11話 ラナ拗ねる。エステルの訪問。

「まったく! エステルったら、本当にまったくもう!」

「ら、ラナ様。お許しくださいませ」

「エステルは全然分かっていないわ! なんでもかんでも早く倒せば良いってものじゃないのよ! もっと楽しむべきなのよ!」

予想通り、ボスモンスター〈ジュラ・ドルトル〉があっけなくエフェクトの海に沈んだ直後、ラナがぷくっと頬を膨らませてプンスコ怒り出した。

その可愛らしい顔に俺はほっこりしたが、それを向けられたエステルは情けない顔をしている。これが格差か。

ボス戦はあっさり終わった。始まって1分掛からなかったんじゃないだろうか?

まあ『姫騎士覚醒』を使うとよく起きることだ。ボスよ、南無。

今までボス戦のために節約していたMPを全部使いきる勢いで放出するのは気持ち良いんだよなぁ。俺もゲーム時代たまにやった。

仕留めきれないとMP枯渇とヘイト増大で大変なことになるが、成功したら凄く楽しいんだ。このスリルもまた良き。

そんなことを考えていると、気が付けばラナがすがるような表情で俺を見つめていた。なんだ、どうした? なんでも縋ってくれ?

「ねえゼフィルスお願い、もう1戦やりたいの。リポップ、させて?」

そのお願いの仕方は俺の心にハートブレイクショットだった。思わず胸を押さえて「おっふ」したくなるのを歯を食いしばって耐える。