第9話 中級から登場レアモンスター!! 一撃で、仕留める!
武器をチェンジするのは〈天空の剣〉を手に入れたとき以来だ。
俺は〈初心者ダンジョン〉から〈天空の剣〉でここまで来たため、ほぼ初めての武器チェンジとなる。
〈滅恐竜剣〉は〈天空の剣〉に比べて重く、幅広の剣だ。
振ってみるが少し違和感がある。
やっぱりゲームとはいえリアルでは剣が違うと感覚も違うらしい。
これはこれで面白いなぁ。
「〈天空の剣〉の方が格好良かったわね!」
「私は今の武器もワイルドで良いと思うわ」
「大きな剣だね」
「そうですね。実に実戦向きの武器だと思います。対人ではなく対モンスター用の武器だからでしょう」
俺の新しい剣を見てラナ、シエラ、ハンナ、エステルの順に感想を言う。
ラナの言いたいことは分かる。〈天空の剣〉と〈滅恐竜剣〉、見た目良しなのはどっちかと聞かれれば大多数の人が〈天空の剣〉と言うだろう。
〈滅恐竜剣〉も結構良いデザインしているのだが、相手が悪いな。
それはともかくである。
今回、〈金箱〉からは俺の武器を替え
今までの初級ダンジョンではいくら強くても〈天空シリーズ〉や〈姫職〉の初期装備には敵わなかったので大きな進歩である。これが中級よ。
まだフィールドボスのドロップでこれだ。最奥で待つボスのドロップを考えると思わずニヤけてしまうほど楽しみだ。
「あ、あそこ光ってるわよ! 何かしら?」
「お、あれが地上に帰るための転移陣だな。逆に地上からここへショートカットも出来る」
「あれがそうなのね」
ラナの声に反応して見ると、11層への入口の脇に見覚えのある転移陣を見つけた。
最奥のボスの転移陣は一方通行なのに対し、フィールドボスの転移陣は相互通行可能な転移陣だ。そのため光はやや薄く、形も少し違う。
そして面白いのがフィールドボスを倒さないとこの転移陣を使うことが出来ないところだな。フィールドボスは上手く立ち回れば回避も出来るため、戦わずして先に進むことが可能だ。ただ、こういう恩恵なんかが得られなくなるので俺はとりあえず戦うようにしている。
「さて、道は開けたし、先に進むか」
「そうね!」
11層への入口に立ちはだかっていたボスも倒したので先に進むとしよう。
現在、午後2時半。このペースなら20層にはたどり着けそうだ。そこを今日の終着点としよう。
時間的に間に合わなければエステルの〈馬車〉で進もうかとも考えていたが大丈夫そうで安心する。
そうして俺たちは順調に階層を進んでいった。
違和感を覚えたのは14層の中程まで進んだときだった。
何と無しに俺の『直感』が小さく囁いたのである。
「なんだか、この先から変な感覚がするのよね」
ラナが呟く。俺と同じくラナも何か感じ取るものがあったらしい。
おかしいな、ラナはこれと言って『直感』系のスキルは持っていなかったはずだが……。
しかし、感じるものが2人もいるということは気のせいということはなさそうだ。
「全員静かに、その場にしゃがんで、声を出したり不用意に動かないでくれ」
「え、何?」
「しー、ラナ殿下、ゼフィルス君の言うとおりにしてください」
「わ、分かったわよ」
俺が素早く指示を出すとラナ以外のメンバーがすぐに従った。すばらしい。
だがラナは目をぱちくりするだけだ。ハンナがサポートしてすぐにその場にしゃがみこみ、その理由を聞いてきた。
「ねえ、いったいどうしたのよ。もしかしてさっき言っていた徘徊型のフィールドボスかしら?」
「いや、それよりよっぽど貴重だ。おそらくだが、あの丘の向こうにレアモンスターがいる」
「……え? 本当!」
「こら、大きな声を出さない」
「それは、ごめんなさい。でも本当なの?」
「まだ確証を得たわけじゃないけどな」
レアモンスター。
それは中級ダンジョンから登場する、普通の階層にたまに出没する希少個体の総称である。
レアボスのザコモンスターバージョンと言えばいいだろうか、いやレアボスより出会う確率は低いのでレアボスよりも貴重だな。
レアモンスターは倒すことが出来ると非常に有用な物をドロップしてくれる。
デカイ換金アイテムであったり、経験値5倍であったりな。ちなみに経験値は一番ハズレのドロップである。
また生産に必要なレア素材を落とすこともあり、それで作った武器、防具はスキルの付与なんかが付いたりするため、希少価値が高い。
じゃあそんなレアモンスター早く仕留めに行けよと思うかもしれないが、俺たちがこうしてこそこそ見つからないようにしているのには理由がある。
レアモンスターはレアボスと違い、なんと逃げる。
しかも逃げ足が速いのだ。某鉱山に住むメタルなアレ並に。
故に見つかる前に不意打ちで突撃し、逃がす前に仕留めなくてはならない。
ああ、スピードの速いカルアが欲しい。無いものねだりだけどな。
まだ姿は確認できないが、ゲーム〈ダン活〉では道で『直感』が発動すれば多くの場合でレアモンスターの気配を感じたということなのでおそらく間違いないと思う。レアモンスターはこっちに気が付くと逃げるので、気が付かないうちに『直感』スキルがある程度教えてくれるのだ。
これも俺が『直感』スキルのLvを上げている理由だな。
「さて、じゃあ全員、ゆっくり進むぞ。なるべく音を立てないようにしてくれ」
「了解よ」
シエラの答えに皆頷き、丘までゆっくりと移動。そしてひょこっと言う擬音が似合いそうな風に少しだけ頭を出して確認した。
「発見。あの金色に輝いているのがレアモンだな」
「わぁ、話には聞いたことがあるけど本当に金色に光っているのね」
予想通りレアモンスターを発見。教えてやると横でラナが目を輝かせていた。今にも飛び出していきそうな雰囲気にエステルがラナの肩を押さえている。
〈ダン活〉レアモンスターはちゃんとそれが希少個体だと分かるように金のエフェクトを常時溢れさせているのですぐに分かる。
眼下に見えるのは金のエフェクトを振りまく小型の恐竜型レアモンスター、〈ゴールデントプル〉。四足で〈サウガス〉に似ているがかなり小さい。その辺にいる
見た目にそぐわず逃げるスピードがかなり速い。そして倒した時のドロップは……、ふはは!
「ねえ、どうやって仕留めるの?」
「それが問題なんだよなぁ」
問題は倒す手段である。
レアモンスターはHPがかなり低いので一撃二撃入れれば倒せるのだが、その一撃を与えられないのだ。近づけば逃げる。
「じゃあ遠距離から仕留めればいいじゃない」
「レアモンスターはデフォルトで『魔法完全耐性』持ちだから魔法は効かないんだ」
どう考えても中級入り立てで『魔法完全耐性』持ちのモンスターとかおかしいのだが、ゲームでは割とこういうことがよく起こる。某鉱山に住むスライムとかな。
ということで仕留め方は限られてくる。遠距離から通常攻撃やスキル攻撃で仕留めるか、ハイディングなどで気配を消して近づくか、もしくは【スターキャット】のように一瞬で距離を詰めて逃げる前に仕留めるとか。
全部今出来る方法ではない。
ということで唯一〈ゴールデントプル〉を仕留めうる可能性を持っている人物に声を掛けた。
「さ、ハンナの出番だぞ。アイテムであいつを撃ってくれ」
「……ふえ?」
いきなり振られたハンナが一瞬理解が出来なかったのか呆けた声を出した。
「確か吹き矢的なアイテムがあっただろ、吹くタイプじゃないやつ。アレを使おう」
「吹くタイプじゃない吹き矢って何?」
ラナが横で何か言っているが聞こえなかったことにしてハンナを急かす。
「え、ええ? 本当に私のアイテム使うの? ゼフィルス君がやってくれるの?」
まさかという顔で見るハンナに俺は力強く頷いた。
「何言ってんだ、俺は発射系アイテムはまだ使ったことが無いからぶっつけ本番は無理だって。ハンナが仕留めるんだよ」
「む、無理ぃ!」
「無理じゃない。やってみよう。今アレを仕留められるのはハンナしかいないんだから。やろうハンナ」
「ひぇ、絶対無理です、出来ません。もし間違えちゃったら、いえ緊張で手が震えて間違えてゼフィルス君撃っちゃうかもしれないよ!?」
「最初は誰でもそう言うよ。ハンナはいつも通り撃てば大丈夫だから。いつも通り撃ってみよう」
「ぜ、ゼフィルス君が話を聞いてくれないよぉ」
少し雑になってしまったが、なんとかハンナの説得に成功。
ちょっと
結構デカイダメージが入るが単発なので実戦には少し不向きなアイテム。音がほとんど出ないのでこうして狙撃するのに向いているアイテムだな。
「うぅ。外れても文句言わないでね?」
「何言ってんだ。ちゃんと言うから外さないようにな?」
「ひぇ、なんかゼフィルス君が鬼のようだよぉ」
せっかくのレアモンスターである。逃したくない。
なんだかんだ言いつつハンナは遠距離攻撃が上手い。上手くなった。
だから俺はハンナを信じている。さあ仕留めるのだハンナよ!
「じゃあ、い、行くよ。えい!」
ハンナの掛け声と同時にシュポンッと軽く空気が抜ける音と共に矢が発射された。そして、
「ジュイッ!?!?」
眼下からレアモンスターの断末魔の声が聞こえてきたのだった。
な、さすがハンナだろ?
眼下を見れば金色のエフェクトが発生してモンスターが消滅するところだった。
直後に周りから「わぁ!」という歓声。
俺は早速ハンナを褒め称える。
「ハンナナイス! 思った通りだったぜ」
「うー。よ、よかったぁ、当たったぁ」
眼下にいたレアモンスターを見事狙撃し仕留めたハンナだったが、その表情は歓喜より安堵の方が大きい様子だ。これはいけない。
「おいおいハンナもっと喜べよ。何しろハンナはレアモンスターを倒したんだぜ?」
「そうよ! これは快挙よ! もっと喜ぶべきだわハンナ」
「ええ。見事な一撃だったわよ」
俺、ラナ、シエラの順にハンナを褒め称える。
エステルも後ろでコクと頷いていた。それを聞いてハンナの目にもようやく理解の色が宿る。
「そ、そっか。私、レアモンスターを倒したんだ。ね、ねぇゼフィルス君、これって凄いことなんだよね?」
いまいち自覚が足りないのか、確認するようにすがる視線を向けてくるハンナに俺は大きく頷いた。
「当たり前だろ? 誰にでも出来ることじゃない。特にこのメンバーの中ではハンナしか出来なかったことだ、胸を張っていい」
「え、えへへ」
やっと自分のした事を認識したのか、ハンナの頬が紅潮し笑みがこぼれる。
「よし、じゃあドロップ確認に行こうか。レアモンスターはそれはそれは良い素材をドロップするからな」
「うん! 楽しみだね」
ハンナを連れ、全員で丘を下ると、そこには未だに金色のエフェクトを放ち続ける物が目に止まる。これは、
「黄金の、お肉!?」
「いやハンナ、これは金色のエフェクトが出ているだけのお肉だ。黄金じゃないぞ」
ハンナがそれを見て勘違いしたのを正す。
レアモンスターの素材というものは他と識別するためなのか金色のエフェクトがずっと放出されているんだ。レアモンスター素材だって一発で分かるな。
そしてこれは、ハンナが言った通り肉だった。デカい葉っぱの上に金色エフェクトを振りまく肉が鎮座していたのだった。軽く見て5㎏はありそうな塊だ。金色なので美味しそうに見えないが。むしろ眩しい。
加工したりスキルを使ったりするとエフェクトが収まってしまうので、料理すれば普通の見た目に戻るだろう。
「お肉……、ゼフィルス君、これ恐竜のお肉だよね、お、美味しいのかな?」
「俺も食ったこと無いから分からんが、少なくともレアモンスターの肉はどれも凄まじく美味いらしいぞ。ほれ、ラナの方を見てみな」
「ふえ?」
俺に促されハンナが後ろを振り向くと、そこには目を爛々と光らせたラナが居た。
「ハンナ良くやったわ! これは凄い大当たりよ! 勲章ものの快挙だわ!」
「ふ、ふえぇ!? ら、ラナ殿下、目が怖いですよぉ!?」
ぐいっとハンナに近づきその手をがっしり掴むラナ、そのガチな眼にビビるハンナ。
「ラナ様、落ち着きますよう。ハンナさんが驚いておりますよ。それとレアモンスター討伐で勲章が出たことは今まで一度も無いはずです」
素早くエステルが近づきラナを窘めた。勲章は出ないらしい。
俺も美食に関してはそこまで知っているわけではないので、とりあえず近くにいたシエラに聞いてみた。
「そんなに凄いのか、このお肉」
「……ゼフィルスが聞きに来るのはなんだか新鮮な感じがするわね。そうね、少なくとも〈ゴールデントプル〉のドロップ肉は非常に美味で知られているかしら。私も2度食す機会があったのだけど、舌が蕩けるほど美味しかったのを覚えているわよ」
「おお、マジか。そりゃ是非とも食べてみたいな!」
珍しく長文で説明してくれたシエラ。そしてあのラナの反応を見る限り相当
ゲームの時は非常に強力なバフと特大の回復をしてくれる料理アイテムの素材、というだけでしか無かった。
故に俺は少し、ここのレアモンスターで残念に思っていたのだ。だが、思い出す、ここはリアル。
味わうというゲーム〈ダン活〉時代とは別の楽しみがある場所だ。
美食かぁ。やっべ、断然楽しみになってきた。帰ったら早速料理ギルドに調理してもらおう!
ラナの熱い視線を受けながら肉を仕舞い、再出発する。
その後の攻略は、少し順調とは言いづらい感じになってしまった。
全部、ラナがいつも以上にモンスターセンサーをビンビンに張り巡らせていたせいだ。
どうもラナはレアモンスターからドロップする美食に目がないらしい。
何か気配を掴めば誰よりも早く反応しモンスターを見つけてくるのだ。
おかげでいつもより
まあ、たまにはこういうのも有りか。楽しかったしな。
途中、隠し扉二カ所に立ち寄って〈銀箱〉を二つゲットし、行き止まりの宝箱から〈木箱〉を三つ回収しつつ、俺たちはさらに進んでいった。
〈銀箱〉からは【調理師】系の生産職に恩恵のある〈調理器具5点(中)〉と【鍛冶師】系の生産職に恩恵のある〈鍛冶用具3点(中)〉が手に入った。
〈鍛冶用具〉はともかく〈調理器具〉の方は今後使い道が無いため売るかどうか迷うところだ。今のところ〈エデン〉に【調理師】をスカウトする予定は無い。
しかし、隠し扉の宝箱産は一度開けたら二度と手に入らない。使わないけど手元に残すか悩みどころだ。
とりあえず保留で。
そんなこんながありつつも、午後5時半過ぎ、俺たちは2体目のフィールドボスが居る階層までたどり着いたのだった。
階層は20階。
〈丘陵の恐竜ダンジョン〉では2体目のフィールドボスが出る階層だ。
ここで番をしているボスも、〈ジュラ・サウガス〉の時と同じく21層への入口で待ち構える守護型だ。つまり移動はしないので準備万端で挑む事が出来る。
「2体目のボスも守護型なのね。さっき言っていた徘徊型? のフィールドボスは出ないの?」
「良い質問だなラナ」
20層を最短距離でボスまで進む途中ここのボスを説明しようとしたところで、ラナから鋭い質問が飛ぶ。
「実は出ないわけじゃない。〈丘陵の恐竜ダンジョン〉にも徘徊型はいるぞ。ただ出てくる階層が21層から29層の下層地帯なんだ」
徘徊型は守護型と違い、倒しても転移陣が利用できるようになるわけではない。どちらかというと、そう簡単に最奥に到らせないための妨害担当という位置づけだ。
それ故に〈丘陵の恐竜ダンジョン〉では二つのフィールドボスを倒してやっと下層へ突入、もうすぐ最奥のボスだ、というところで襲ってきたりする。
ちょっといやらしいが、ゲームではこういうアクションはよくあるのだ。
ゲーム〈ダン活〉時代、これによってしばしば全滅させられることもあった。リアルではより注意しないとな。
「じゃ、話を戻すな、2体目の守護型ボスについてだ」
一通り徘徊型について説明し終えたので、もうすぐ遭遇するだろう守護型ボスについても説明する。
「次のボスは道中出た二足歩行型の〈トルトル〉のボス型で〈ジュラ・ドルトル〉。素早いステップに加え鋭い
「ステップ? ダンスのような?」
「いや、どちらかというと戦闘のステップだな。サイドステップやバックステップを多用してくるのでとにかく攻撃が当たりづらくなるんだ。聞くだけじゃ多分分からないと思うが、そうだなちょっとやってみるか」
俺は話の途中で立ち止まり有言実行するようにスッとサイドステップを踏んだり、ピョンとバックステップをしてみせる。
「こんな感じだな」
「なるほどね。確かに今までのボスと感じが違うわね」
俺のステップを見たシエラが思案顔で言う。
このステップが来るとしっかり分かっていないと結構攻撃が当たらなかったりするんだ。
相手が行動して、その行動先も含めて攻撃する。そういう意識を持たなければいけない。
さらにいくつか注意事項を全員に通達したところで、とうとう見えてきた。
〈トルトル〉とは似ても似つかないほど大きな身体。大体3メートルはあるだろうか。
今まで道中に出たザコモンとは明らかに異なる大きさ、そして威圧感。
今がゲームならボスパートのBGMが流れていたところだ。
シエラが先頭になって進むと〈ジュラ・ドルトル〉がこちらを向いた。
「ギャン!」
「行くわよ、『オーラポイント』!」
シエラの挑発スキルと共に戦闘が始まった。
一直線にシエラに向かってくる〈ジュラ・ドルトル〉が一瞬のタメの後、大きく跳躍する。
飛びかかり攻撃スキル、『恐竜キック』だ。
助走が付いているので打っ飛ばし効果がある。直撃すればダウンを取られかねない一撃だ。
まあ、シエラにはボスの行動パターンは教えておいたので余裕で対処可能だろう。
正面からシエラをどうにかするには〈ジュラ・ドルトル〉では格が足りない。
さて、シエラはどう対応するだろうか。受け止めるか、受け流すか、はたまた避けるのか。
しかし、シエラはそんな予想の上を行く。
「『カウンターバースト』!」
シエラの選択は反射スキルの『カウンターバースト』だった。タイミングが厳しいが決まれば敵に大ダメージとノックバック効果を与える強力なスキル。それを初見の相手に使用するか。しかも、
「ギャンッ!?」
見事成功。確かに飛びかかりは予測しやすい攻撃だが初見の敵の、しかも初手で合わせに行くとか、さすがシエラなんですけど。
シエラの反撃を受けて〈ジュラ・ドルトル〉が大きくノックバックして思いっきり硬直する。もちろん俺はその隙を逃さない。シエラが『カウンターバースト』を選択した時からこうなることを予想していたので問題無く対応可能だ。
「ナイスシエラ! 『
「ギャウアァッ!?」
〈滅恐竜剣〉の特効が加わった高威力の〈ユニークスキル〉を叩き付けたことで〈ジュラ・ドルトル〉がノックバックダウンする。大チャンスだ!
「総攻撃だ! 『ライトニングスラッシュ』! 『恐竜斬り』!」
「『聖光の耀剣』! 『聖光の宝樹』! 『光の刃』! 『光の柱』!」
「アイテムは強いんだよ。行っけぇ──錬金砲──!」
俺の特効攻撃に加え、ラナの高威力魔法、ハンナのアイテムによる攻撃が刺さり、がっつりとダメージが入ったな。
そしてエステルだが、
「今日はこれで最後みたいなので使ってしまいますね。『姫騎士覚醒』!」
奥の手を発動しちゃった。
確かにこのボスで帰還する予定だったけど、そうだな。いつ使うの? って聞かれたら、今でしょっ! だよな。
ということで哀れ〈ジュラ・ドルトル〉。
ボス戦が開始されて早々、良いところ無しでダウンを取られ、MPを使い切る勢いのエステル本気攻撃の連打にあっけなくそのHPをゼロにしてしまうのだった。
ええ、もう終わりなの!? と言わんばかりに目を大きく見開きながら、〈ジュラ・ドルトル〉は膨大なエフェクトの海に沈んで消えた。
エステル、またラナに叱られるぞ、絶対。