何故シエラに向かっちゃったのだろうか。そのせいでラナが今回の〈金箱〉を開ける展開は無くなってしまう。シエラの圧が少し上昇した気がした。気のせいであってくれ。

「ゼフィルスとハンナは何か言いたい事はあるかしら?」

何か言えば開ける事は出来なくなる恐怖が俺とハンナを襲う。先ほどの醜い争い(?)の雰囲気は霧散し、ただただシエラの目に留まらないよう直立不動になるしかなかった。

横を見ることは出来ないがハンナの方からも同じ雰囲気を感じる。

「ないのかしら? では私が決めるけど構わないわね?」

シエラはサブマスターに就いてからこう、責任感が増したな! すごく成長が見られる。何故だろうか、それが「あなたがはっちゃけるからよ」と言われている気がしてならない。気のせいであってほしい!

無言の肯定をするしかない俺とハンナに、シエラはにっこりと微笑みながら判決を下すように告げた。

「ゼフィルス、今回はあなたが開けなさい。ハンナは次の〈金箱〉が出たらね。喧嘩してはダメよ?」

「ありがとうございます!」

許可が出た瞬間思わず感謝の声が出た。

やったぞ! 俺は〈金箱〉を開ける権利を勝ち取ったのだ! 何に勝ったのかはよくわからないが。

「これで解決したかしら。ラナ殿下はハンナの次ね」

「う~、ゼフィルス君羨ましいなぁ」

「ハンナはまだ良いわよ。私なんて次の次よ。多分今日は出ないわ。もうこのメンバーで攻略するのだって滅多になくなってしまうのに……」

ラナは災難だったが自業自得でもある。触らぬ神に祟りなしという言葉もあるのだ。

「では、ありがたく開けさせてもらおうか、〈幸猫様〉良い物をお願いいたします!」

なんとなくこの勝ち取った〈金箱〉からは良い物が出そうな気がする。そんな気分の中しっかりと〈幸猫様〉に祈ってからパカリと〈金箱〉を開けた。全員が宝箱の中を覗きこむ。

中に入っていたものは、一振りの片手剣だった。

「おお~!!滅恐竜剣めつきょうりゅうけん〉か!」

俺はそれを早速取り出して眺めると、ラナが待ちきれないといった様子で聞いてきた。

「めつ? って何ゼフィルス、これは当たりなの?」

「ああ。中々の当たりだな。そうか、ここで〈滅恐竜剣〉が出るか。どうしようかなぁ」

俺は〈滅恐竜剣〉を見て物思いにふけった。

〈滅恐竜剣〉は特効系の装備だ。恐竜型モンスターに対し、通常攻撃で約2割増しのダメージが出る強力な武器である。

詳細はこちら、

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〈滅恐竜剣:攻撃力67

〈『恐竜キラーLv5』『恐竜斬りLv7』〉

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『恐竜キラー』はパッシブスキル、恐竜型モンスターへのダメージが上がる。

『恐竜斬り』はアクティブスキル、恐竜型モンスターに特効ダメージを与える。

〈丘陵の恐竜ダンジョン〉でしか使わない専用装備にはなってしまうが非常に強力な武器である。武器のカテゴリーが〈剣〉なので俺が装備可能だ。

さてどうしようか。

ちなみに今俺が装備している〈天空の剣〉のステータスがこちらだ。

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〈天空の剣:攻撃力85、魔法力51、聖属性〉

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天空の剣は非常にシンプルだ。付与スキルなどは無いが、その分ステータス値が非常に高い。

しかし、〈丘陵の恐竜ダンジョン〉を攻略するのなら〈滅恐竜剣〉の方が強いだろう。何しろ特効を持っている。

もし装備を替えるのだとしたらシリーズ装備のスキル『状態異常耐性Lv3』も消えてしまうが、〈丘陵の恐竜ダンジョン〉では状態異常にしてくる敵はいないので問題ない。

あと見た目が剣と鎧で配色のバランスが悪くなってしまうが、このダンジョンだけの話なのでまあ良いだろう。〈滅恐竜剣〉は黒寄りの茶色をしているのだ。

後は魔法力がゼロなので〈魔法〉の威力が大幅に下がってしまうのが一番のネックだな。

ただ、『恐竜斬りLv7』が使えるようになるため手数の面では何とかなる。

なら、と俺は決めた。

「武器を交換してみようか」

久しぶりの武器チェンジだ。