第5話 挑め、初の中級、〈丘陵の恐竜ダンジョン〉!

今後の〈エデン〉の目標やら新メンバーについてを話した翌日。

今日は日曜日だ。

昨日はリカとカルアがとうとう職業ジョブLv40に到達し、三段階目ツリーが開放された。素晴らしい!

早速昨日は夜遅くまでギルド部屋に残り最強流を伝授した。

普段は真顔なリカとカルアだが昨日はとてもうずうずとした様子だった。早く〈スキル〉を試してみたくて仕方ないのだろう。

分かるぞ。先陣メンバーがみな通った道だ。

また、俺とエステルが担当した新メンバー5人だが、俺が指導することで目に見えて上達していた。たった1日で思った以上の成果だ。

うーむ、【勇者】のスキルに技能を向上させるようなものはないはずだが……。

単に効率的な作戦などに触れて、ちゃんとしたやり方を吸収したのかもしれないな。

ハイレベルのやり方を見ることは良い勉強になるとも聞くし、たとえ付いていけなくても引っ張られてそれなりのレベルに到達するらしいとも聞く。手ごたえがあったので今後も時間があった時は教えていきたい。

またシェリアとシズが指揮に向いているので彼女たちにも少しずつ戦術なんかを教えていこうと思う。

ただ、セレスタン以外はボスモンスターにはまだ慣れない様子だ。スキルの使い方、スキル回しについてもまだまだ拙いので、まずは練習場でスキルの練習をしたほうが良いという結論に落ち着いた。

ということで本日の予定だが、

「ルル、シェリア、シズ、パメラは練習場でスキルの練習だ。一応スキル回しの基本をメモしたから、後でこれを読んで練習してほしい」

ギルドメンバーが揃った朝のミーティングで今日の方針を話す。

昨日のうちに話していたことなので誰からも異論は無い様子だ。

1人ずつ俺が作った職業ジョブ毎のスキルの使い方について詳しく書かれたメモを渡していく。

昨日までに基礎的なやり方は伝授し終わっているので後はメモでも大丈夫だろうという判断だ。

すべて俺に言われたことではなく、自分なりに自分の職業ジョブを今一度見直し、考え、進んでいってほしい。

「セレスタンは、今日は用事があるんだったな?」

「はい。本日は自由行動とさせていただければと思います」

「了解だ。だがセレスタンも立ち回りは良いがスキル回しについては改善の余地が有る。時間があるときに練習しておいてくれ。これ【バトラー】のメモな」

「かしこまりました。ありがとうございます、ゼフィルス様」

セレスタンは攻撃を避けるのも上手いし、立ち回りは今のところ文句なしだ。フォローも上手い。ただスキルの使い方がワンパターンなことが多く、もっとスキルの使い方や効率的な運用方法については改善の余地があった。まあセレスタンならばすぐに身につけるだろう。

「次にリカとカルア」

「私たちは昨日振った3段階目ツリーのスキルの試しうちと練習だな。基本的に練習場やダンジョンの浅い部分で練習する予定だ」

「2人で大丈夫か?」

「ん。大丈夫。ダメだったら初級中位ショッチューの方に行くから」

「了解だ。じゃ2人の方針はそんなところで。あとこれ、3段階目ツリーのスキル回しのメモな。ある程度試し終わったらこっちも練習してみてくれ」

「ありがとう。感謝する」

リカとカルアは今日は2人で行動のようだ。この2人は結構馬が合うのか一緒にいることが多い。あとリカが猫耳と猫尻尾が好きだからかな? 視線が結構カルアに向いているのだ、リカは。まあ猫耳可愛いからな。仕方ないな。

2人はまず初級上位ダンジョンの浅い階層で練習するつもりのようだが、ザコモンスターでは職業ジョブLv40超えである彼女たちの敵ではないし大丈夫だろう。

「さて、最後に残った俺たち先陣メンバー5人だが、一足先に中級下位ダンジョンに挑もうと思う」

「中級ダンジョン! 良いじゃない、行きましょう!」

「待ってゼフィルス。確か私たち5人では厳しいから中級ダンジョンは一先ず見送って後続を育てよう、という話ではなかったのかしら?」

俺の発表にラナが目を輝かせて立ち上がり、シエラが疑問を投げかけた。

「ああ。俺たちで行けそうなダンジョンがないではないんだ。ただこれから行くダンジョン以外ではちょっと厳しいから、今までのようにダンジョンを攻略出来たからと言ってその勢いで別のダンジョンに挑むと痛い目に遭う、そんな理由もあって制限していた。今回行く所は、まあガチで強いが今までの初級とあまり雰囲気は変わらないダンジョンだな」

所謂初級の延長みたいなダンジョンだ。出てくるモンスターは中級下位チュカの中でもトップクラスに強いけどな。何しろ〈ダン活〉プレイヤーからは〈中級下位チュカのガチダン〉なんて呼ばれていた所だ。強いぞ。ただ厄介ではない。

他の中級下位チュカになると大体厄介なモンスターや厄介な罠があるのでできれば索敵や罠を破壊できる斥候職を連れていきたいところだった。正直今のメンバーでそこに挑んだら、ハンナが戦闘不能になると思われる。

俺はシエラの疑問に答えつつ、視線をラナのほうへ向ける。

それにここに1人、中級下位ダンジョンに行ったらハマりそうな人物がいるからな。

それを見てシエラも納得した様子だ。ラナが、また別のダンジョンに行きたいと言い出したら困るのでセーブしていたのだと分かったのだろう。

また、中級下位ダンジョンでは職業ジョブが最大Lv65まで上がる。

一度中級下位ダンジョンに挑み出したら歯止めが利かなくなってLvが上限になるまで挑みまくるとかザラだからなぁ。敢えて初級上位の上限Lv50でストップさせていた形だ。

ただ、リカとカルアも中級下位ダンジョンに挑めるようになったし、そろそろ開放していってもいいと思うのだ。新メンバーは練習が必要だがリカとカルアは熟練度プレイヤースキル的な意味でもかなり優秀だからな。

「まあ、後はギルドの足並みを揃えなくちゃどっち道先に進めないしな」

「そうね。了解したわ、私も中級ダンジョンに挑むのに否はないわよ」

「私もシエラさんに同じです。中級ダンジョンかぁ、楽しみだね」

「私も問題ありません」

ハンナとエステルも問題なさそうなので今日は久しぶりに俺、ハンナ、ラナ、エステル、シエラの初期メンバーで中級下位ダンジョンに挑むこととなった。

久々で嬉しいのかラナがすっごく笑顔だ。まぶしい。そして期待に満ちた様子で聞いてくる。

「それでどこのダンジョンに行くの!? 確か中級ダンジョンっていっぱいあるのでしょ?」

「ああ。俺たちがこれから行くのは罠が比較的少ない代わりにモンスターが強いと言われているスポット、〈丘陵きゅうりょうの恐竜ダンジョン〉だな」

別名:〈ジュラシックパーク〉と呼ばれている恐竜モンスターが徘徊するダンジョンだ。


「ここが〈中下ちゅかダン〉? 〈初ダン〉とそんなに変わらないわね」

「ああ。中級ダンジョンの入口である門はその位階毎に3箇所に分かれて配置されているからな。ここは中級下位ダンジョンが10門あるだけの〈ダンジョン門・中級下伝〉通称:〈中下ダン〉だ」

ラナが〈初ダン〉そっくりの建物を見て頭にハテナを浮かべて聞いてきたのでそれに答える。

まあ、ゲームなのであまりに別物にするとプレイヤーが混乱するため同じ規格の建物となっているわけだ。唯一違うのは建物の色合いとデカイ表札くらいだな。ここの表札には〈ダンジョン門・中級下伝〉と書いてある。

ちなみに初ダンの方にもちゃんと〈ダンジョン門・初伝〉と描かれた表札が飾ってあるぞ。

俺たちのパーティは朝のミーティングを終えてその場で解散した後、その足でこの〈中下ダン〉に来ていた。

皆の装備やアイテムも問題無し。アイテムはハンナが張り切って生産しまくったのがたくさんあるからな。

「楽しみね! 早速入りましょ!」

ウキウキとしたラナが先頭で建物に入り、俺たちも続く。

「おお? 1年生パーティ、なのか? ひょっとしてギルド〈エデン〉か?」

「そうよ! そういうあなたは誰かしら?」

俺たちも建物に入ると先頭のラナが作業服の男性に呼び止められた。

男性はビックリしたような顔で俺たちを見回す。

しかし、ラナの回答を受けると豪快に笑い出した。

「そうか! はっはっは! もうここまで来たのか! 俺はゼゼールソン、ここ中下ダンの説明係をしている者だ」

どうやら〈中下ダン〉を管理する職員の方のようだ。

そういえばゲームでもいたな。各〈ダンジョン門〉にはこうしてダンジョンの中の情報を教えてくれる人材が配置されている。

聞けばそのダンジョンの特徴や攻略するのにオススメの職業ジョブなどをアドバイスしてくれるのだ。

一応初ダンにも配置されていたが、そういえば俺たちとはタイミングが合わなかったのか一度も会わなかったな。まあ、会っても聞くべき事はないのだが。俺が知っているし。

「まさかもう1年生がここに来るとはなぁ。期待の星だ。何か中級下位チュカで聞きたい事があれば遠慮なく聞いてくれ。答えられるものなら教えてやれるぞ」

「そうなの? 私たちはこれから〈丘陵の恐竜ダンジョン〉に行こうと思っているのよ。どんなところなの?」

おいラナ、俺の説明役を取らないで?

「〈ジュラパ〉かぁ。あそこを最初に選ぶとはなかなかやるなぁ。モンスターが強いから入る学生は少ないが、罠はほとんど無いから腕っ節さえ自信があればオススメのダンジョンだ。【筋肉戦士】とかメンバーに入れておくといいぞ」

いえ、【筋肉戦士】は結構です。

ちなみに〈ジュラパ〉とは〈丘陵の恐竜ダンジョン〉の別名〈ジュラシックパーク〉の略だ。ここのダンジョン門〈中下ダン〉なら〈ジュラパ〉で通じる。

「【筋肉戦士】は要らないわ。でもアドバイスは受け取るわね。ありがとね、えっとゼルソーン?」

「はっはっは。ゼゼールソンは言いにくいよな。好きなように呼んでくれ」

説明役の方が大らかなようでよかった。ラナの言い間違いにも嫌な顔一つせず流している。大人だ。

それからいくつか出てくるモンスターなどを聞いたのち、出発することになった。

「がんばってこいよ1年生! 応援しているからなぁ」

「もちろんよ! 私は負けないわ!」

ゼゼールソンさんの激励を受けて、ラナが燃えていた。

それを見守りながら横にいるシエラと話す。 

「あの人が優しい人で良かったな。もし俺に聞けなかったらあの人にダンジョンのことを聞くといい」

「そうね。でも私はあなたからダンジョンの事を教わりたいわ」

「そ、そうか?」

「ええ。だからそんな落ち込まないでよ」

「お、おう」

励まされてしまった。なんだか少しドキッとする。

俺はしょんぼりしていたのだろうか。していたのかもしれないな。

シエラに励まされて少しやる気が向上した。

「でも、不思議な所ねここ。〈初ダン〉とそっくりな造りなのに雰囲気が少しピリつく感じがするわ。それに視線も集めているわね」

シエラの視線の先には多くの上級生がいた。ほとんどが2年の男子学生のようだ。

ここにいるということは、ほとんどがEランクギルドの学生だろう。

1年生に追いつかれ、内心恐々としているんじゃないか? 少し耳を澄ましてみよう。

「ひぃぃ! い、1年生だ! 1年生が登ってきたぞ!」

「落ち着け。まだ抜かされると決まったわけではない。冷静になるんだ」

「お、おれ。入学1ヶ月の学生に抜かされるのか……」

「いやだぁ! 1年生に抜かされるのはいやだぁ!」

「せめて後1年待ってくれぇぇ。その頃には俺もDランクだからぁ!」

「いや、あれはギルド〈エデン〉だ。多分Dランクでも抜かされてると思うぞ」

「ひぃぃ! なんでぼくはあと1年遅く生まれなかったんだ! そうすればぼくだって高位職に就けていたかもしれなかったのに!?


ふむ。軽い阿鼻叫喚といったところだろうか。

むっちゃ嘆いていた。

今年の1年生は俺がリークしたおかげで高位職の発現率が3割を超えるらしいからな。

学生数で見れば大体2000人ほどが高位職に就いている。

2年生としては迫ってくる1年生集団に戦々恐々だろう。もしかすれば1年後には勢力図が逆転し、今の2年生が格下扱いされているかもしれない。

1年後、下の学年に劣る最上級生の出来上がりだ。就活に多大な影響を与えてしまう!

端的に言って非常にピンチな2年生。いや、ピンチなのはサボっていた学生だけだな、さすがに1年のアドバンテージがあるのだから真面目に努力し続けた2年生なら大丈夫だろう。今Eランクギルドにいる2年生は、ちょっと努力が足りていない。

他人事だが頑張れとしか言えない。恨まないでくれよ。

俺は耳を澄ますのを止め、燃えるラナたちと一緒に目的のダンジョン門を潜ったのだった。


「ここが〈丘陵の恐竜ダンジョン〉! ……なんだか思っていたより普通だね?」

「そうね。もっとこう、ジャングル的なものを想像していたわ」

辺りを見渡して先に感想を述べたのはハンナだった。

続いてラナも同意する。

まあ、起伏のある草原だからなここは。

〈ジュラシックパーク〉の名でイメージするようなジャングルのようなものは無い。

ただ、大型系を相手にするとこういう開けたところの方がやりやすいんだぞ?

ある程度皆がダンジョンの光景に馴染んだところで声を掛ける。

「よし、それじゃ出発するか」

「ゼフィルス、ここを含めて中級ダンジョンと初級ダンジョンの違いなどの詳しい説明が欲しいのだけど、いいかしら?」

いつも新しいステージに来る度俺が説明していたからだろう、今回の説明は無いの? とシエラが聞いてくる。

シエラにそう聞かれると先ほどの事もあって少したじろいでしまう。

「そ、そうだな。歩きながら説明しようか。中級ダンジョンは初級ダンジョンに比べて1層1層が倍近く広く大きいからな。探索しながら説明する方が効率的だ」

「お願いするわね」

皆ダンジョン探索にも慣れた様子だし歩きながら話しても頭に入るだろうと、そう提案するとシエラもコクリと頷いた。

なんだろうねこの感覚は、俺の説明を聞いてくれてちょっと嬉しい。

まずは中級ダンジョンと初級ダンジョンの違いについて、軽くレクチャーする。

「やっぱり大きな違いというのならモンスターがアクティブスキルを多用してくるようになるところだな」

「え? モンスターがスキルを使ってくるの?」

「ああ。初級でも〈スキル〉や〈魔法〉を使ってくるモンスターを見かけることはあった、しかし今後はこれがさらに増える」

後ろにいたハンナに答える形でより細かな点を教える。

スキルや魔法は、言わなくても実感しているとおり非常に強力で多様性に富んでいる。

今後はスキルや魔法を使ってくるモンスターがどんどん増えてくる。

ダンジョンによって相性が分かれる最大の理由だ。

「なぜこのダンジョンジュラシックパークを選んだのかというと、ここに登場する通常恐竜モンスターは魔法を使ってこないし、スキルも比較的使わないからだな。フィールドには罠もほとんど無いし、つまり初級ダンジョンとあまり変わらない感覚で挑む事が可能だからだ」

「なるほどね。でもゼゼールソンさんはここのモンスターは強いとおっしゃっていたけれど?」

「そうだな。他の中級下位ダンジョンとは違ってここのモンスターはステータスが段違いに高いんだ。ステータス特化ダンジョンとでも言おうか。その代わりさっき言った通りスキル魔法そして罠は少ない配分だ。〈丘陵の恐竜ダンジョン〉を攻略したければそれなりのステータスが求められる」

シエラの質問にも答えつつ注意点も説明していく。

〈丘陵の恐竜ダンジョン〉のモンスターはステータスが高い筋肉系だ。俺たちはほとんど高位職の集団なのでステータス面では問題無い。つまりここは俺たちのメンバーにとっても攻略しやすいダンジョンと言えるだろう。

また、今回挑む〈丘陵の恐竜ダンジョン〉では採取でポーション素材を始め錬金で使える素材がたくさん採れるためそっち方面でも期待している。

これまで大変お世話になっていた〈優しいスコップ〉も〈サボテンカウボーイ〉からドロップした〈三段スキル強化玉〉で『採取Lv6』に上げたのでまだまだ現役だ。

元々〈優しいスコップ〉の『採取』はLv3だったので初級上位ショッコーまでしか使えなかったのだが、〈優しい採集シリーズ〉は非常に使い勝手が良い『量倍』スキルを持つ。〈スキルLv〉を上げるならまず〈優しい採集シリーズ〉を上げるべきだとギルドに相談し、満場一致で通った形だ。

『採取Lv6』なら中級上位チュウジョウまで使用することが出来る。

これからも採取をしまくってやるぜ。

「あ! モンスターがいたわ! 皆、戦闘準備! 『守護の加護』!」

お、早速第一モンスター発見だ。発見者はラナ。なんで『直感』持ちの俺より早く見つけられるのか未だに不明だ。まだ結構距離があるのに。

とりあえずここのモンスターはステータスがSTR方面に高いのでラナには防御力バフの『守護』を頼んでおいた。ある程度近づくと向こうもこっちに気が付いて駆けて来る。

「結構速いわね。もう接触するわ『ガードスタンス』!」

モンスターは二足歩行でスリムな体型をしたラプトル型モンスター〈トルトル〉だ。

それが3体。足が速く、ラナが見つけた時はまだ遠くに居たはずなのに俺たちが準備を終えた頃にはもう間近に迫っていた。

「牽制します『ファイヤーボール』! 『フレアランス』!」

「ギャーウ!」

ハンナの今日の装備は〈マナライトの杖〉。『能玉』は〈フレアロッド・魔能玉〉のようだ。

真っ直ぐ接近する〈トルトル〉2体を牽制し、1体のみを引き寄せる。

「ギャーウ!」

「っ」

1体の〈トルトル〉がシエラに飛びかかり、その大きなカイトシールドにガツンと当たる。

しかし、シエラにはあまり効いていないようだ。

「確かに強いわね。でもこれくらいなら問題無いわね」

さすがシエラである。心強い言葉だ。

まあステータスが強いといえど上層のモンスターだしな。シエラの敵ではないだろう。

そのままもう一度飛びかかってくる〈トルトル〉を受け流し、ひっ倒してスリップダウンをとってしまうほどには楽勝のようだ。

「『プレシャススラスト』!」

「ギャ!?

「む、少し硬いですね」

そこにエステルの攻撃が突き刺さり大きくダメージを与えたが、これまでのザコモンスターなら一撃で屠れていたのに対し、耐える〈トルトル〉を見てエステルが不満そうに呟いた。

「エステル、通常攻撃を意識して混ぜてみろ。相手の耐久力が高いからスキルばかりバンバン使うとすぐMP切れを起こすぞ」

「はい! 了解しました」

俺とエステルの通常攻撃であっと言う間に〈トルトル〉1体を屠ると、残り2体を相手にしているシエラの方へと向かい、〈トルトル〉を相手にした。

そしてさほど時間も掛からず、最初の戦闘は勝利したのだった。