引用文献
《ところが そのとき、もう やってきたのが おおきいやぎの がらがらどん。
がたん、ごとん、がたん、ごとん、
がたん、ごとん、がたん、ごとん と、はしが なりました。
あんまり やぎが おもいので、はしが きしんだり うなったりしたのです。》
→マーシャ・ブラウン 瀬田貞二訳『三びきのやぎのがらがらどん』(福音館書店、一九六五年)一三一刷 二一頁
《第二の僕、──独逸人のいわゆる Doppelgaenger は仕合せにも僕自身に見えたことはなかった。しかし亜米利加の映画俳優になったK君の夫人は第二の僕を帝劇の廊下に見かけていた。(僕は突然K君の夫人に「先達はつい御挨拶もしませんで」と言われ、当惑したことを覚えている。)それからもう故人になった或隻脚の飜訳家もやはり銀座の或煙草屋に第二の僕を見かけていた。》
→芥川龍之介『歯車 他二篇』岩波文庫(岩波書店、一九五七年)五八刷 六八頁
《いったい、獣でも人間でも、もとは何か他のものだったんだろう。初めはそれを憶えているが、しだいに忘れてしまい、初めから今の形のものだったと思い込んでいるのではないか?》
→中島敦『李陵・山月記 弟子・名人伝』角川文庫(KADOKAWA、一九六八年)改版七六刷 一二一頁