あとがき
初めまして、須王あやです。この本を手に取って下さってありがとうございます。
レティシアとフェリスのお話を書き始めたのは、昨年の初夏です。その前の年の冬、姉妹のように仲良しの母を病気で失い、愛犬にも病が見つかり、子供の頃からの唯一の趣味だった小説もうまく書けなくなってしまって、私は人生最高にへたれておりました。
しょんぼりしていた私は、凄い魔法を使えるとか、聖女の生まれ変わりとかじゃなくて、普通の女の子の転生ものを書いてみたいと思い、毎日一頁ずつ書き始めました。
誰か一人でも読んでくれたら嬉しいな、そうしたら、続きを書く力が湧いてくるのにな、と思いながら。
レティシアは、あくまでごく普通の女の子。凄い野望があるとかじゃなくて、うーん可能なら、世の中に貢献とか、国の役にも立ちたいけど、まずは、親から貰った命を生き抜かねば、と苦闘する、五歳! もう少し大きくてもよかったのでは、なんですけど、家出も不可能な年齢で、いろいろ制限もあるなかで、どうやって頑張っていくか、という御話です。
レティシアの婚約者として選ばれたフェリスは、綺麗でいろんなことができるんだけど、育った環境のため、うまく他人も自分も愛せない、孤独な王子様です。
私も女子なので、子供の頃から王子様とお姫様のお話を読むのは好きでしたが、大人になって、王子様と転生お姫様のお話を書いて、本にしてもらえるとは思ってなかったです。
レティシアとフェリスを書きだして、三か月目くらいに、この本の編集者Y様からご連絡頂いて、オンラインでお逢いしたのです。初めてのオンラインミーティングにときめく私。メールのお名前を見て、可愛いお話好きの女性編集者さんだと想像してました。渋谷の出版社にお勤めのおしゃれな女子とお逢いするのねー私の服、変じゃないかなー? とドキドキしてたら、お約束の時間にパソコンの向こうに現れたのは、優し気な男性で……あれ? 渋谷のおしゃれ女子は? とコメディみたいに驚きました。Y様は男性編集者様だったのです。
そんなこんなで、Y様と私とこの本に関わって下さった皆様の御力で完成した一冊です。あなたのお気に入りの一冊になれたら嬉しいです。作画のAkiZero様のイラストが本当に美しくて、こんなに立派になって、フェリスもレティシアも、と感慨無量です。
私の母が、病の床で最後に、私の二冊目の本がでますように、と望んで、旅立ちました。母と先代愛犬トゥルーとの最期の約束を叶えるのに、三年かかりました。編集Y様のご尽力のおかげで、今年はちょっとうちの守り神たちに胸を張れます。
本当は、母の手に、この本を手渡したかった(昔気質のうちの母には今風の転生物語は謎だろうけど笑)。母の手の代わりに、我が家の愛犬の背中に乗せます。このお話の進捗を、毎日、傍らでずっと見張ってくれている(というか散歩の時間を待っている)フォンクに。
へこんでた私が書き始めて、書いていくうちに、だんだんレティシアやフェリスと一緒に元気を取り戻していったように、あなたが一日の最後にページをめくって、ほんわかできる本になれたら嬉しいです。