初めまして。和宮玄です。
本作はWEBで公開していた作品に修正を重ね、描写を追加したり余分な箇所を削除したりと、多岐にわたる試行錯誤の末に書籍になったものです。
現在この文章を読んでくださっている貴方が、本書を購入していただけたのであれば幸いです。それはもう私の人生で一、二を争う……いえ、何にも代え難い最上級の幸せです。本当に、ありがとうございます。
先にあとがきを読んで買うかどうか悩んでいる。そんな状況でしたら是非、購入してご一読いただければ! よろしくお願いします。
と、この上なくシンプルなアピールをさせていただいたところで、ここから少しだけ個人的な話をしようかと思います。何しろ私史上初のあとがきです。感慨深く、つい少しでも記憶が鮮明なうちに過去のことを書き記しておきたい、と望んでしまいます。
さて。始まりは中学時代、友人との会話でした。
興味があることはいくつかあれど、あの頃は特別何かに熱中することもなく、ただ過ぎ去っていく日々の中にいたような気がします。そんな時でした。前述した友人の紹介で、一作のライトノベルに出会ったのは。
この友人はいくつかのアニメを視聴し、いくつかのライトノベルを読んでいるくらいの、言ってしまえば軽く楽しんでいるタイプだったと記憶しています。それなのに何故、わざわざ私に作品を紹介したのか。今となっては忘れてしまいました。もしかすると元から少し興味があった私が、自分から話を聞いただけだったのかもしれません。
しかし、紹介されて作品を手に取り、衝撃を受けたこと。すぐに既刊を全て買い、一日数巻ペースで読んだこと。真冬の部活動中に、友人と作品について話が盛り上がったこと。それらは明確に覚えています。
物語という楽しみが、私の人生に加えられた瞬間でした。
その後、私は同様にいくつかの人気シリーズに手を伸ばし、読破。そのどれもに違った面白さがあり、魅力的で、刺激的で、夢中になりました。
そんなある日、そのうちの一作のことをなんとなくネットで調べていたときのこと。
私はWEB上に公開された、膨大な数の作品と出会いました。
そこは誰もが小説を公開でき、読者に届けることができる場所でした。当時、サイトの出身作でアニメ化されたものは一つだけ、いくつかの人気作が書籍になっているだけでした。私がネットで調べていた作品も、かつてそのサイトで公開されていたものだったと知り、驚く間もなく、私は投稿されていた作品を読み始めました。最初に何を読んだのか、記憶が曖昧ではっきりと覚えてはいないのですが、きっとかなり面白かったのでしょう。その後は日々本を読みながらも、家で時間があるときはWEB小説を読む、というような生活を送っていたのですから。
半年ほど経つ頃には、自然と自分も何かを書こうとしていました。好きな要素を集めて、勢いのままに。けれど、なかなか上手くいかず……。生活が忙しくなるとサイトから離れ、また少し経ってから思い出したように読者として利用する。そしてまたまた、自分も書くことに挑戦し、断念。そんなこんなで時間だけが流れていきました。
読書の趣味が広がり、長らくサイトを利用しなくなった期間があります。
けれどふと、少しだけ時間に余裕ができたとき、相変わらず自分は何も形にできていないなぁ……と思い、手始めに一作と、とにかく一区切りつくまで書き続けることを決意しました。どんな形でもいいから気楽に、中学生の頃に読んだいくつかの作品の影響で今も好きなファンタジーを題材に書こう。もちろん、何度も挑戦と挫折を繰り返したあの場所で。
とまあ長くなりましたが、こうして本作は形になったわけです。情けなくも自分の習性上、またしても挫折しそうになりましたが……運が良いことに、読んでくださったり感想をくださる方々がいて、なんとかここまで続けることができました。面白いと言ってくれた皆さんの応援のお陰で、この度こうして物理的な本になりました。ありがとう!
より良い物語を綴れるようになるために、これからも書き続けていきたいと思います。
歩みを止めなければ、いつかは私に物語という楽しみを教えてくれた、あの頃の作品たちのようなお話が書けるに違いないと信じて。
今回、その一歩目の機会を与えてくださった担当編集さん。そしてお忙しい中イラストを引き受けてくださった東西さん。その他、本書の制作や販売に関わった全ての方々に、深くお礼申し上げます。心からの感謝を込めて、本当にありがとうございました。
そして今、この本を手に取ってくださっている貴方。面白かった、とりあえず今後も手元に置いておくか……と思っていただけていたら嬉しいです。
それでは、またの機会がありますように。
再会を願い、今日のところは失礼します。
二〇二二年、早春(追記:替わって二〇二三年、三月)