オーレリアの場合は鍛錬に付き合う事もあるから、それなりに慣れもある。
「あれだけ叩き潰して追加が来る可能性は低いかもしれませんけど、明日の朝、早い時間に出発しましょう。今日のところは休みませんか?」
「「「…………」」」
洒落にならない兵器は撃退したけど、状況は何も変わっていない。殺害指示を下した人間は手段を選ばないって知れたから、むしろ危険が増えたくらいかな。
なので明日に備えてゆっくりしようと提案しても、ポカンとしたまま動いてくれなかった。
「おーい、聞いてる?」
「あ、いや、すみません。スカーレット様のあまりの活躍に言葉を失ってしまいました」
「ちょっと……、ちょっと衝撃が大き過ぎて思考が止まってしまってました。助けていただいたのですよね? ありがとうございます」
「戦闘車って個人で対処できるものなんですね。あたし、初めて知りました。開発者が泣き出しそうな気もしますけど」
先に意識が戻ったのは研究室の面々だった。
「先に教えておいてもらえると、あんなに驚かずに済んだのに……」
「ごめん、ごめん。隠す気だった訳じゃないけど、披露する機会がなかったんだよね」
「た、確かに、これほどの魔法を使う事態に巡り合う事は少ないかもしれませんね」
「こういうの、レティにとっては日常ですから、いちいち驚いていると疲れるだけですよ?」
オーレリア、酷い!
常識外れだって自覚はあるけど、その言い方は身も蓋もなさ過ぎる。少しはウォズを見習って言葉を飾ろうよ。
「あー、緊急事態だと思って割って入りましたけど、もしかして俺達、余計な真似をしただけでしたか?」
「確かに、活躍できたと胸を張っていた分だけバツが悪ぃよな」
「……戦闘車、無理」
でもって、グリットさん達は自信を失ってしまっていた。
「武装集団が村に接近していると気付いて慌てて討伐に切り替えましたが、私達が介入しなくても結果は変わらなかったのではありませんか?」
「正直、無駄足だった気がするっス」
「そんな事はありません。適材適所だったと言うだけです。大型の兵器には私が対処できても、銃器で武装した複数人を相手取るには不安もありましたから」
「そう言うもの、ですかい?」
どうも戦車に穴を開けた魔法が鮮烈過ぎて、折角の貢献が彼等の中で霞んでしまったみたい。
だけど私に嘘を言った覚えはない。社交辞令で絶賛したりしない。
圧倒的な魔法で盗賊の心が折れていたならそれでいい。でも追い詰めた結果、銃を見境なく乱射する危険も十分に考えられた。流れ弾がどこへ飛ぶかまでは予想できないし、自棄になった人間の行動は予測が困難になる。
グリットさん達に助けてもらえなかったなら、誰かが傷ついていたかもしれない。
その上、後続に戦闘車が向かっていた事を考えれば、先発の拘束に手間取って戦闘車と同時に対処しないといけない危険まであった。
とまあ、そう言った事情を丁寧に説明して、グリットさん達の奮起にしばらく時間を要した。その分、温泉でゆっくりする時間は減る。
身内の心まで折る予定じゃなかったんだけどなぁ……。