魔力を固めて撃ち出す無属性の基本、魔弾魔法。それを昇華させた私のオリジナル。

可視化するほどに密度を上げた三つの閃光が戦闘車を貫く。鉄を融解させるほどの威力はないけど、タイヤは容易く焼失、砲塔は遥か後方へ飛んでいった。こうなると無駄に大きい鉄の箱と変わりない。

連中の運は悪くなかったみたいで、砲塔から外部を覗こうとしてた人はいなかったから人的被害はない。ついでに車体は崖下へ転落することなく動きを止めた。

突然車輪を失って、地面を横滑りする車内がどんな衝撃を受けるのかとか、盗賊がどんな恐怖を抱くかとかどうでもいい。

そんな事より既にバランスを崩してる私にとっては、どうやって着地するかの方が一大事だよね。既にバランスを失っている。練習無しに遠距離跳躍は無茶だったかも……。

考え無しの私と違って、風を纏ったオーレリアは本当に空を舞う。砲塔の破壊を確認した彼女は上部の穴から戦闘車の内部へ飛び込んだ。盗賊が正気を取り戻す前に強襲する。

私がラバースーツを風船みたいに膨らませて衝撃を逸らした代償でバウンドしている間に、鉄箱の中から四つの悲鳴が聞こえた。戦闘車の容量から推測すると、あれで搭乗者全員だと思う。

戦闘車の登場から僅か数分、盗賊の後続は壊滅した。

生き残った盗賊? 縛ってあるから村人が何とかするんじゃない? 安全さえ確保できたなら、他領の貴族である私がこれ以上関わる必要もない。

それにしても、飛べるって便利だね。跳躍と違って融通が利いておまけに素早い。

狭い空間で刃物を使った訳だから、戦闘車から出て来たオーレリアはかなり酷い状態だったけど。

「とりあえず、戻ったらお風呂に入ろうか。私も地面を転がって汚れたからさっぱりしたい」

「そうですね、大浴場にはご一緒しませんけど」

「えー、内風呂は狭いよ?」

「旅先なのですから、お風呂があるだけ贅沢ではないですか」

それ、軍事訓練での野営と一緒にしてない?

時々だけど、オーレリアが伯爵家のお嬢様だって事に疑問を抱く。

「「「…………」」」

最後の温泉を楽しみにしながら戻ってみると、愕然とした様子で迎えられた。

あれ?

出会って間もないグリットさん達は当然として、ウォズやキャシー達の前で本格的に魔法を披露したのも初めてだったかもしれない。ちょっと刺激が強かったかもね。