「さて、それでは行くか、キャロル」
「はい、ヴィルヘルム様」
ヴィルヘルム様と一緒に、屋敷を出ます。このように並んで歩くことができている、ということが
ですが、この胸の高鳴りが、聞こえてはいないでしょうか。私の胸の中では、うるさいくらいに響いているのですけど。
突然のお誘いではありましたが、楽しみにしていました。今朝は早起きしすぎましたが、全く眠たくありません。
「さて、どこへ行こうか? どこか行きたいところでもあるか?」
「いっ、いえっ! キャロルはヴィルヘルム様とご一緒できましたら、どこでも構いませんっ!」
「……そ、そうか」
思わず、思い切りそう返してしまいました。動揺しているのがばればれです。
ですが、仕方ありません。まさかこのように、一緒に出かけることができるなんて思っていませんでしたし。
それに、先ほど言ったことは本音です。私はヴィルヘルム様とご一緒することができるなら、どこだって楽しいです。
「では、公園でも散策しようか。今は丁度、南公園で花が
「まぁ! それは素敵です!」
南公園は、春や秋になると色とりどりの花が咲くことで割と有名です。南公園の花を見るためだけに、他国からやってくる人もいるのだとか。私も、屋敷からは少し離れているため、見たことはありませんでした。
花は好きなのですけど、一緒に行く相手もいませんでしたし。そもそも婚約破棄されるまで、休みがありませんでしたし。
リリアを一度誘うと、「え、それ食べれるの? ああ、ダメなの。パス」と冷たい返事をいただきました。花を
でも、そのおかげで初めてを、ヴィルヘルム様とご一緒することができるのです。結果良しですね。
「南公園までは、さすがに歩いては行けんな。乗合馬車を使うか」
「は、はい」
そうヴィルヘルム様が
朝や夕方は混むのですが、このようにお昼時などはあまり混んでいないのです。実際に、乗合馬車を待っているのは私とヴィルヘルム様、ナタリアだけでした。