第四話 初デート



「さて、それでは行くか、キャロル」

「はい、ヴィルヘルム様」

 ヴィルヘルム様と一緒に、屋敷を出ます。このように並んで歩くことができている、ということが嬉うれしいです。あ、ナタリアはちょっと後ろにいます。さすがにヴィルヘルム様とのお出かけとはいえ、ナタリアを伴わずに向かうことはできません。

 ですが、この胸の高鳴りが、聞こえてはいないでしょうか。私の胸の中では、うるさいくらいに響いているのですけど。

 突然のお誘いではありましたが、楽しみにしていました。今朝は早起きしすぎましたが、全く眠たくありません。

「さて、どこへ行こうか? どこか行きたいところでもあるか?」

「いっ、いえっ! キャロルはヴィルヘルム様とご一緒できましたら、どこでも構いませんっ!」

「……そ、そうか」

 思わず、思い切りそう返してしまいました。動揺しているのがばればれです。

 ですが、仕方ありません。まさかこのように、一緒に出かけることができるなんて思っていませんでしたし。

 それに、先ほど言ったことは本音です。私はヴィルヘルム様とご一緒することができるなら、どこだって楽しいです。

「では、公園でも散策しようか。今は丁度、南公園で花が綺き麗れいだと聞く」

「まぁ! それは素敵です!」

 南公園は、春や秋になると色とりどりの花が咲くことで割と有名です。南公園の花を見るためだけに、他国からやってくる人もいるのだとか。私も、屋敷からは少し離れているため、見たことはありませんでした。

 花は好きなのですけど、一緒に行く相手もいませんでしたし。そもそも婚約破棄されるまで、休みがありませんでしたし。

 リリアを一度誘うと、「え、それ食べれるの? ああ、ダメなの。パス」と冷たい返事をいただきました。花を愛めでるくらいの心を持ちましょうよ。

 でも、そのおかげで初めてを、ヴィルヘルム様とご一緒することができるのです。結果良しですね。

「南公園までは、さすがに歩いては行けんな。乗合馬車を使うか」

「は、はい」

 そうヴィルヘルム様が仰おつしやって、少し歩いたところにある乗合馬車の駅に到着しました。

 朝や夕方は混むのですが、このようにお昼時などはあまり混んでいないのです。実際に、乗合馬車を待っているのは私とヴィルヘルム様、ナタリアだけでした。