傭兵の何人かが叫んだ。俺は大きく開いた口でその頭を──かぷりと甘噛みしてやった。そして手を離すと同時にぺっぺと頭部を吐き出しえづくように
大体甘噛みするならそっちのワイルド系金髪お姉さんの方が断然良い。具体的に言うなら胸肉辺りをハムハムしてみたい。しかしながら状況的にこいつ以外ないのだ。苦しむように「ぐあぐあ」言いながら傭兵の囲いをその巨体でゴリ押し突破する。
ドタドタと退散する俺を追ってくる者は一人もいない。皆呆然としていることだろう。格好はつかないが、ここで俺は何でも良いから「逃げた」という結果に繋がるようにしたかった。少々甘いとは思うが、戦闘訓練をさせてもらった上、良いものを見せてもらったのだから命を助けてやっても良いだろう。
というのは建前で、一応帝国軍人としての矜持がないわけではないので、弱い者いじめというのはどうにも拒否反応が出る。帝国軍人というのは高潔であってこそなので、こればかりは仕方ない。
大体戦車で剣や槍を持った相手を
(まあ、隊長さんには泥を被ってもらおう)
実際に被ったのは唾液だが、自分と団員の命が引き換えなら安いもんだろ。っていうか本当に口の中が気持ち悪いので早く口を水で濯ぎたい。