思わぬ待遇。

「ラグナ君、王都にいる間は自分の家だと思ってゆっくり休んでいいからね。サイ、後のことは頼む」

「わかりました。お任せを」

「お世話になります」

ブリットさんとの挨拶を終えてお店を出ると馬車が既に待機していた。

「それじゃあ、我が家まで案内するよ」

馬車に乗り込み改めて街中を見渡す。

一般街のメイン通りの中心にあるエチゴヤ商会。

エチゴヤ商会はちょうど交差点の角地になっていた。

「サイさん、今いるお店側ではなく交差点の反対側にある左右の建物はなんのお店なんですか?」

エチゴヤ商会と同規模のお店でもあるんだろうか?

「交差点の反対側にある建物は倉庫なんだよ。しかもうちのね」

サイさんは苦笑いしながら教えてくれた。

ということは一般街のメインの大通りにある交差点の角地は全てエチゴヤ商会。

街の中心に商会が存在しているのか。

本当にやっていることの規模が違うなぁ。

「凄いですね。この交差点をまっすぐ進むと貴族街の入り口に着くのはわかるんですけど左右の道はどこに繋がっているんですか?」

「まずは左側の店舗の方に進むと学園区画に繋がっているんだ。反対に今から私たちが行く右側は住居区画になっているよ」

ん? ということは……

「エチゴヤ商会の左右にある店舗が本当の意味で街の起点に……?」

確か左側は武器や防具などの取り扱い。そしてその先には学園があると……

反対の生活雑貨を取り扱う店の先にあるのは住居……

全てがエチゴヤ商会を中心として街が作られている。

「エチゴヤ商会凄すぎますね……」

「こればかりはご先祖様が凄すぎるんだよ。普通は一商会の店舗を基準にして街が作られるなんてあり得ないからね? まぁ優遇されている反面、いろいろと悩みも大きいのだけどね」

そりゃこんだけの待遇を受けていたら、他の商会からは妬まれるよね。

王都に関していろいろ教わりながら住居区画へと進む。

商業区画から住居区画への目印となりそうな巨大な敷地内に建てられた巨大な屋敷が現れた。

そしてその巨大な敷地の中へと馬車は進む。

「お疲れ様、そしてようこそ我が家へ」

馬車から降りると、そこはまるで別世界だった。

手入れがよく行き届いている木々、そして花壇。

屋敷の目の前には水が流れ続けている噴水。

そして屋敷の入り口には使用人達が出て来ており、左右に整列していた。

「「お帰りなさいませ。そしてようこそいらっしゃいました」」

屋敷で働く人たちだろうか?

綺麗に声を揃えて頭を下げる姿は圧巻だった。

「お兄さまお帰りなさいませ。そしてラグナ君、我が家へようこそ」

ミレーヌさんも出て来ていた。

「ミレーヌさん、お久しぶりです。お世話になります」

ミレーヌさんはにっこりと笑うと手を握ってきた。

「屋敷を案内しますわ。いきましょ」

ミレーヌさんに手を引かれて屋敷の中へと入っていく。