Ⅱ 全学舞踏会!

わたしは王立学園の講堂に立っていた。

……そう。

ここは、わたしが殺された場所。十七歳の、やり直す前のわたしが、フィルに処刑された場所だ。

でも、今のわたしは十三歳。一学年下の生徒たちの入学式の前日だ。春の、穏やかな夕方だった。

講堂は全校生徒が入れるぐらいの広さで、豪華なシャンデリアが天井に輝いている。

赤い絨毯が敷き詰められた豪華な空間だ。

卒業式などの儀式にも使われるけど、椅子を取り払えば、パーティー会場にもなるし、ダンスホールにもなる。

この因縁の場所の隅に、わたしはシアとアリスと一緒にいる。

わたしはぐっと拳を握った。

「さあ、頑張らなきゃ……!」

これから全学舞踏会が始まる。

今度は死なないために。……そして、フィルの最高の姉になるために!

「クレアお嬢様……気合、入ってますね」

アリスが目を丸くして言う。

わたしは微笑んだ。

「だって、久々にフィルと再会できるんだもの」

それにダンスは、わたしの得意分野だ。

いちおう前回の人生では、わりと完璧な公爵令嬢だったのだ。王太子の婚約者としてみっちり訓練を積んでいる。

フィルをわたしの弟としてみんなに紹介して回り、そして、フィルと素晴らしいダンスを披露ひろうして、注目を集める。

前回の人生みたいに……フィルを冷たく突き放したりなんて、絶対にしない。

フィルの学園への入学を完璧に演出してあげよう。

そうすれば、きっとフィルは前回よりも快適に学園生活を送ることができる。ついでに、わたしはフィルのお姉ちゃんとしてのポジションを盤石ばんじゃくにできるだろう。

会心の計画に、ふっふっふっ、と思わず笑みがこぼれてくる。

アリスとシアは顔を見合わせて、「いいなあ、フィル様……」と小さくつぶやいている。シアはいつもの純白の可愛らしい服を着ている。

けど、アリスはメイド服じゃなくて、淡い桃色のドレスを着て着飾っている。舞踏会だし、アリスは貴族令嬢だ。

ここではメイドであるだけでなく、学園の生徒でもある。襟とスカート部分は淡い青色で、お洒落なデザインだ。

メイド服を着ているときと印象は違うけど、なかなか似合っている。

そういえば、学園に入学してから、この二人が一緒にいることも多くなった。

お屋敷では、わたしの妹となっているシアと、メイドのアリスでは立場がかなり違う。ただ、学園に入学すれば、どちらも同じ生徒なわけで。

わたしにとって年上のアリスが姉代わりなのと同様、アリスとシアが並ぶと、姉妹みたいに見えた。

それにしても、ずいぶん仲良しになったなあ、と思う。

わたしがそう言うと、アリスはにっこりと笑った。

「それはそうですよ。シア様もあたしも、『クレア様大好き仲間』ですから」

「へ?」

わたしが間抜けな声を上げると、シアが慌てた様子で頬を赤くして、「あ、アリスさん……」と小声でアリスの制服の裾を引っ張る。

アリスはどこまで本気かわからないような雰囲気で、ころころと笑う。

「アリス……あまりからかわないでよね」

「あら、あたしはいつでも大真面目ですよ」

上機嫌なアリスに、わたしはむうっと頬を膨らませる。でも、たぶん、わたしの頬は少し赤くなっている。

フィルだけじゃなくて、今のわたしには、アリスやシアがいてくれる。そのことが心強かった。

わたしたち在校生は、男女に分かれて、講堂の右側の端で待機している。アルフォンソ様もどこかにいるはずだけど、男子なのでわたしとは別々の場所にいる。

まあ、アルフォンソ様はわたしの婚約者なので、後で必ず会うことになるとは思うけれど。

でも、まずは……フィルが大事だ。

やがて、講堂の反対側の扉が開き、窓から射し込む夕日を背に、新入生たちがどやどやと入ってくる。

みんな緊張して、初々しい面持ちだった。

「あたしたちも一年前はああいう感じだったと思うと、感慨深いですねえ」

とアリスが言う。

まあ、わたしは前回の人生とあわせて二度目だったので、去年も大した感動はなかったのは内緒だ。

ただ、前回の人生では、アリスは学園に入学できなかったから、そのアリスがわたしの横にいるという嬉しさはあったけれど。

そう。前回と今回は同じところもあるけれど、違うところもある。

前回よりも、もっと良い学園生活を、わたしは送りたい。そして、前回とは違って……フィルと仲良しで学園生活を送るんだ!

やがて新入生の一団のなかに、ひときわ背が低くて、ちっちゃくて、でも可愛らしい少年がいるのを見つけた。

半ズボンを穿いて、恥ずかしそうにあたりをきょろきょろと見回している。

そして、その子は、わたしと目が合うと、黒い瞳を輝かせ、白い頬を紅潮させた。

「クレア……お姉ちゃん!」

フィルがとてとてとやってきて、そして、わたしをきらきらとした目で見上げた。

「か、可愛い……」

思わず、お屋敷で最初に会った日のことを思い出してしまった。

あのときのフィルは、おどおどとした様子で、それはそれで可愛かったけど、でも、いまみたいな明るい表情の方がもっと素敵だ。

思わず、わたしはフィルを抱きしめかけ……フィルにひょいと身をかわされた。

「……お姉ちゃん……人前で抱きついたりするのは、恥ずかしいからダメだよ?」

「人前じゃなければいいの!?

わたしが身を乗り出して言うと、フィルは目を白黒とさせた。

「ひ、人前じゃなくても……ダメだから!」

「……残念」

落ち込むわたしに、フィルが慌てる。

「でも……お姉ちゃんに会うことができて、嬉しいのはぼくも同じだよ」

「ホントに?」

「うん。だって、ぼくはそのために学園に飛び級で入学したんだもの」

天使かと思うような、純粋な宝石みたいな目で、フィルはわたしを見つめた。

わたしのために、フィルは学園に飛び級で入学するのだと言ってくれた。

昔もそうだったけど、入学した今も、そう言ってくれるのがわたしにはとても嬉しい。

「ありがとう、フィル」

そう言って、わたしがフィルの黒い艷やかな髪をくしゃくしゃっと撫でると、フィルは恥ずかしそうに微笑んだ。

そんなわたしたちを、アリスは楽しげに、シアはなぜかジト目で見ていた。

いつのまにか、アリスやシア以外の、同級生の女子たちが集まってくる。

「なになに、この子? ……すごい可愛いじゃん!」

と言ったのは、クラスメートのカリナだった。オレンジがかった茶髪を短く切りそろえていて、さばさばしたタイプの子だ。

シンプルなドレスを着ていて、わりと庶民的に見える。フランクな口のきき方も、気取った感じを与えない。

ところが、そんな印象に反して、侯爵令嬢なので結構身分は高い。王太子の婚約者のわたしにも物怖じしない良い友人……と思っていたのは前回の人生の途中まで。

理由はわからないけど、彼女はわたしが孤立したときも、断罪されたときも助けてくれなかった。内心ではわたしのことを嫌っていたのかもしれない。

だから、わたしはちょっとカリナのことを警戒しているけれど、でも、いまのところ、彼女を避ける理由もない。

わたしはそつがなく微笑んだ。

「ええ。可愛いでしょう? この子、わたしの弟なの」

「へえええ!」

と大げさにカリナはリアクションをとる。わざとらしい態度と言えば態度だけど、でも、フィルのことを可愛いと思っているのは本当のようだった。

カリナ以外も、わらわらと他の女子生徒も寄ってきて、フィルを可愛い、可愛いと言いはじめる。

中には髪を撫でたり、頬を触ったりしている子もいて、フィルの顔を赤くさせていた。

……みんな一応貴族の子女よね? そんな態度で淑女として、はしたないと言われないんだろうか。

いや、フィルに抱きつこうとしているわたしが言えたことじゃないけど……。

ともかく、このまま放っておいては、困ったことになる。

この学園には可愛い子はたくさんいる。……フィルが誰かのことを好きになってしまわないとも限らない。

もちろん……わたしは破滅を回避するために、フィルが誰かのことを好きになったりしたら、邪魔はしないつもりだけど。

でも、だからといって、積極的にそういう事態を作ろうとは思わない。聖女シアだっているんだし、順当にいけば、フィルはシアのことを好きになるはずだし。

わたしの同学年の子たちは、年下の可愛い男子であるフィルに近づこうとする子もいるかもしれない。

そうは問屋が卸さない。

だって……フィルの姉はわたし(とシア)だけで十分なんだから!

フィルは大勢の女の子に囲まれ、わちゃわちゃされ、目を白黒させている。

わたしはぽんぽんと手を叩いた。

「こらこら、フィルを困らせないであげてよ。それにフィルはわたしの弟なんだから、とっていっちゃダメなんだからね?」

「はーい」

とカリナがおどけて離れ、他の子もそれにならった。

そして、わたしはフィルの手を握った。

フィルはびっくりした様子で、わたしを見上げた。

わたしは周りの子を見回す。

「改めて、この子がわたしの弟のフィル。すっごく可愛くて、頭も良くて優しい、わたしの最高の弟なの」

そして、フィルもわたしのことを最高の姉だと言ってくれる。

今は、まだ。

これからも、ずっとそうかはわからないけれど。

それは、きっとわたしのこれからの行動にかかっている。

そして、いよいよ舞踏会が始まろうとしていた。

華やかな音楽が流れはじめ、着飾った在校生と新入生のどちらもがそわそわする。

普通なら、ダンスのパートナーは、親しい異性ということになる。

婚約者がいれば、当然、少なくとも最初と最後はその人と踊るというのがマナーだ。

わたしの場合だったら、アルフォンソ様になるわけだ。

でも、今回はちょっと事情が違う。

あくまで新入生と在校生をはじめ、全学の親睦を深めることが目的になる全学舞踏会だ。

だから、最初から上級生・下級生のペアで組むことになる。この舞踏会をきっかけに、先輩・後輩のカップルが誕生することも珍しくないとか。

ともかく、わたしも下級生と踊ることになる。

アルフォンソ様が、恥ずかしそうにこそこそとわたしの方にやってくる。

「クレア……僕と……踊ってくれないか?」

「ありがとうございます。でも下級生と踊るのが決まりでしょう?」

うっ、とアルフォンソ様は詰まり、そしてしょんぼりと帰っていった。

……ちょっと悪いことをした気もするけど、ルールだし。

それに……下級生と踊れるということなら……フィルと踊りたい!

いちおう学内の有名人であるわたしと踊れば、フィルも良い意味で注目を浴びるだろう。

わたしはフィルに声をかけようとして、思いとどまった。

ダンスの誘いは男性から女性に申し込むもの。

面倒なことだけど、これも舞踏会の決まりの一つだ。女性は誘いを受けるか断るかの選択肢はあるけれど、自分から声をかけることはしないのが原則。

わたしはちらっとフィルを見る。

フィルは首をかしげる。

もう一度、ちらちらっとわたしはフィルを見た。

そして、フィルは頬を赤くして、くすっと笑った。

「クレアお姉ちゃん……ぼくと一緒に踊ってくれる?」

「もちろん! 喜んで」

「よかった」

フィルは嬉しそうに、天使のように微笑んだ。

やがてフィルはわたしの手をとる。

音楽が穏やかで明るい雰囲気のものに変わる。

これが一曲目だろう。

舞踏会定番の、特に春によく用いられる曲だ。

フィルがステップを踏み始める。

わたしはフィルのリードにあわせて、軽やかに踊る。

自慢じゃないけれど、わたしのダンスの腕前はなかなかのもので、相手の力量に多少の問題があっても、なんとかしてしまえる。

一方のフィルは、とても頭が良くて、なんでも優秀な子だ。でも、ダンスは同い年の子の平均よりはずっと得意だと思うけど、わたしには及ばない。

フィルが「うーん」と困った顔をして、ダンスのステップを続ける。わたしはさりげなくフィルをフォローしながら踊っていたけど、そのことにフィルも気づいたようだった。

「……お姉ちゃん……ぼくなんかが相手でよかったの?」

「もちろん! フィルより素晴らしいパートナーなんていないわ」

「でも……ぼくよりもっと上手い人と組めば、お姉ちゃんだってもっと実力を発揮できると思う……」

わたしは微笑んだ。

「そんなことは大事なことじゃないの。わたしはフィルと一緒にいられて楽しいもの」

「けど……」

あくまで心配そうなフィルに対して、わたしはとびきりの笑顔を見せる。

「そんな顔しないで。楽しい舞踏会なんだから。もしフィルが自分のダンスに不安があるなら、これから毎日でも練習に付き合ってあげる」

ダンスは貴族のたしなみの一つで、それが得意で損することはない。

それに単純に、フィルに何かを教えてあげられるというのは、わたしにとっての喜びだ。お姉ちゃんらしいし。

「これからは毎日一緒にいられるものね」

フィルはぱっと顔を輝かせ、ようやく明るい表情を見せた。

「ありがとう。お姉ちゃん」

そして、曲が終わり、ダンスは一区切りとなる。

わたしたちを見ていた人たちから、拍手を受けて、フィルは恥ずかしそうにうつむいた。

ずっとフィルとダンスしていたいような気もするけど、そういうわけにもいかない。

わたしがフィルを独占していたら、フィルの交友関係を狭めてしまうだろう。

フィルが将来、公爵家の当主として活躍するためには、この学園で人脈を作っておく必要がある。

まあ、そんな未来を見るためには、わたしが首尾よく破滅を回避しないといけないけど。

ということで三曲目が終わった今、このタイミングで、みんなが相手を代えるのにあわせて、わたしたちもばらばらにならないといけない。

フィルには他の上級生とも組んでもらう必要があるのだけれど……。

いつのまにか、わたしたちは出遅れていた。

「フィル……次の相手……見つけられそう?」

「うーん、ええと……」

だいたいの生徒がもう相手を見つけているようだった。

フィルはおとなしい性格だし……女の子に声をかけるのも勇気がいるだろう。

それに、わたしがフィルを「とっていっちゃダメだからね!」なんて言ったのがまずかったのかも。

ただでさえ、わたしたちはリアレス公爵家の子女ということで、身分の高さのせいで敬遠される傾向にあるのだ。

困ったな……。

もちろん、シアやアリスにフィルと組んでもらうこともできるけど……身内だし、それでは意味がない。

ええと、誰かわたしの友達を……。

「なにやってるの、クレア?」

ひょこっとわたしの前に現れたのは、カリナだった。

同じクラスのさっぱりした性格の侯爵令嬢。

カリナなら、ちょうどいいかも。

前回の人生での出来事から、ちょっと不信感があるけれど、でも、明らかに悪い子というわけじゃない。

わたしはフィルに目配せをする。

フィルはおずおずと、カリナにダンスを申し込み、カリナもそれを「やった! クレアの弟と組める!」と言って喜んで受け入れてくれた。

でも、カリナがフィルの手をとったとき、カリナは意味ありげな笑みを一瞬浮かべた。

……なんだろう?

それに、ちょっと胸がもやもやするような……。

でも、考えている時間はあまりなかった。

わたしもダンスの相手を見つけないと……。ただ、ほとんどの生徒は相手を見つけていた。

困っていると、後ろから声がした。

「なにやってるんですか? クレアお嬢様」

振り返ると、レオンがいた。整った顔に、呆れたような表情を浮かべている。

わたしよりひとつ年下の、公爵屋敷の使用人だ。

マルケス男爵の子息でもあり、フィルと同学年でこの学園に入学している。

金髪碧眼でなかなか可愛らしい少年だ。特に今日みたいにばっちりと正装でおめかしを決め込んでいるとなおさら。

ただ、生意気で、性格のほうは……あんまり可愛いとは思わないけれど。

レオンは腰に手を当てて、はぁっとわざとらしくため息をつく。

「公爵令嬢なのに、ダンスの相手にあぶれたんですか?」

「あぶれたわけじゃない! 下級生の子が、みんなわたしに遠慮しているだけで……」

「それをあぶれたというんじゃないでしょうか?」

うっ、と言葉に詰まる。

レオンは畳み掛ける。

「クレアお嬢様は身分も容姿も優れているのに、姉バカ発言を炸裂さくれつさせるからみんな近寄りがたく思うんですよ」

「そう?」

「はい。他の男子生徒も、フィル様には敵わないと思うから、お嬢様を誘うのもハードルが上がりますし……」

ああ。なるほど。

たしかに、フィルより可愛い子なんて、いないものね!

……じゃなくて!

曲が始まってしまう。

ど、どうしよう……。

「というか、そういうレオンはどうなの? ダンスの相手いないじゃない!」

「俺はあぶれたわけじゃありません」

「そうなの?」

「クレアお嬢様の相手をしに来たんですよ。リアレス公爵家の令嬢がダンスの相手を見つけられないなんて、恥ずかしいですからね」

とひとしきり憎まれ口を叩いた後、レオンは頬をちょっと赤く染めて、わたしにうやうやしく手を差し出す。

「クレア様……俺と踊っていただけますか」

「は、はい」

いつもとは違う、凛々しい雰囲気のレオンに、一瞬ドキッとする。

そして、わたしたちは踊り出した。

前回の人生では、こんなふうに一緒にダンスをするなんてこともなかったし、いちおう、わたしとレオンの関係も改善しているんだろうか……?

驚いたことに、レオンのダンスの力量はかなりのものだった。

わたしを的確にリードする。

憎まれ口の仕返しに、それとなく、ちょっとだけ難しいステップを繰り出しても……レオンは平気でついてこれた。

考えてみれば、前回の人生のわたしは、フィルのことだけじゃなく、レオンのことも知ろうとしていなかった。

レオンはわたしの顔を見つめ、ため息をつく。

「そんなに驚いた顔をしないでくださいよ。俺にだって、フィル様よりも得意なことはあるんですよ」

「ごめんなさい。ちょっと意外で……」

「まあ、俺が本気を出せば、お嬢様はついてこれないかもしれませんが」

「そんなことない!」

わたしとレオンは挑むようににらみ合い、そして、ふふっと笑った。

レオンが難しいステップを繰り出し、わたしがそれに応じ……と加速度的に難易度が上がっていく。

周囲には誰もいないかのように、わたしとレオンはダンスに集中した。

これだけ本気になるのは久しぶりかもしれない。

そろそろ互いに限界になりそうになっていたとき……曲が終わった。

気づくと、周りの目がわたしたちに熱く注がれていた。

……あれ?

フィルと踊っていたときよりも、注目を浴びているような……。

たしかにめったにお目にかかれないような、超絶難易度のダンスを披露してしまったわけだから、当然だけど。

フィルやアルフォンソ様、それにシアたちが、なぜかわたしたちの方を不満そうに睨んでいる。

レオンはそれに気づかなかったのか、頬を赤く上気させ、そして微笑む。

「やるじゃないですか、クレアお嬢様」

「そっちこそ」

とわたしが言うと、レオンは得意げに胸を張った。