お祭りの風景
いよいよ冬至祭の日がやってきた。
ザンザスの街並みは
街の通りはどこも観光客でごった返していた。さらには音楽も鳴り
出店も観光客に向けて特産品を呼ばわっている。
コカトリスグッズの店では、コカトリスの着ぐるみが
店に並んでいるのはコカトリスのぬいぐるみ、コップ、タオル──ぴよ
「さぁ、よってらっしゃい! 限定コカトリスグッズだよ!
また他の店では
「英雄ステラの名言マント、取り
それ以外には飲食も
中心になっているのは、ヒールベリーの村から仕入れた様々な農作物だ。
「他では食べられない、
そのまま切っただけの野菜や果物、それにジュースや焼き物。
これほどのご
「
紫影の前に現れたのはレイアとナナであった。
「
「着ぐるみは順調なようだね」
ちなみに今のレイアの頭の上にはぴよ帽子がない。
代わりに古風な黒の冒険者服に身を包んでいた。
「今日は正装でござるな」
「色々と
レイアが少し口を
「着ぐるみを着れば?」
「中々、
「この着ぐるみで十分な気がするでござるが……」
「それは観光用だからね」
「ヴァンパイアの着ぐるみはそんなに
紫影の疑問に、ナナが胸を張って答える。
「
「実に
レイアが本当に
「手が空いたら、作ってもいいよ」
「本当ですか!?」
「色々と資料も見せてもらったし」
ナナが羽をふにっとすると、レイアが羽を
「ありがとうございます……!」
どうやら着ぐるみ作りが決まったらしい。
「むっ、そろそろ
三人が通りの
先頭は
街の住人も観光客も大声で
「ぴよだー!」
「すっごーい!」
「毎年、これが楽しみでねぇ!」
ふもふも……整備されたぴよ山車が太陽の光を浴び、
後ろからはザンザスの他の団体の山車が続く。
「うーん、いいですねぇ……」
レイアは
「本当に
ナナも思わず
山車自体は中央倉庫で見ていたが、実際に街を練り歩くとまるで印象が違う。
練り歩いている実物は素晴らしいの一言だ。
「ヒールベリーの村には行けてないでござるが、向こうも盛大なのでござろう?」
「ああ、もちろん。山車をお
「モネットも見ていける
「来年は──
「だね……そうなると願っているよ」
山車を引っ張ってくるのは着ぐるみぴよ隊である。
もちろん、山車の周囲では他の市民や馬が動かしているのだが。
「祭りは数日続きます。頑張るぞー!」
「「おーっ!」」
三人が
ぴよ像のつぶらな
◇
ヒールベリーの村でもお祭りが始まった。
いや、もう数日前から観光客がたくさん来ていたのだが。
村の入り口前の特設の小屋には、今も数十台の馬車が並んでいた。
「たくさんきてるぴよー」
「わふ。活気にあふれてるんだぞ」
「ああ、村にたくさんの人が来ているからな」
「にゃー! 宿の予約はこちらですにゃ! ご飯はあちらですにゃー!」
「にゃーん、看板やチラシもご参照してくださいにゃん!」
村の入り口ではナールとブラウンが
おかげで特に大きな混乱は起きていない。
「ウゴウゴー! 村で特別な食べ物はここだよー!」
ウッドも楽しそうにアイスドラゴンの
氷を生み出しては、かき氷機を回していた。
ララトマたちと冒険者者たちがそれにトッピングをしていく。
「はい、メロンのトッピングですー!」
「どうもありがとう! いやぁ、
初老の
少し寒いが、アイスドラゴンの牙は飛ぶように売れていた。
やはり目新しさがウケているらしい。
「へい、こっちはお待ちですぜ!」
「うわー、真っ赤だー!」
「いい匂いだね~!」
子ども連れの家族が、ふわふわ真紅が
列の後ろに鍋を引っ提げている人もいるな。持ち帰りだろうか。
どこも
「じゅるぴよ……」
「人が食べているのを見ると、食べたくなるんだぞ」
「落ち着いたらおやつで食べようか」
なでなで。今日もディアとマルコシアスの
村に少し入ると出店が並んでいる。
『とっても
高等学院でも二人がやった出店らしい。こちらにも観光客が並んでいた。
「もっぐー、焼き上がりはもう少しお待ちくださいもっぐ!」
「はーい、ごめんなさいねー!」
かなり忙しそうだが、同時に楽しそうだな。
さらに奥へ行くと、特設の
ここも観光客……ローテーションで
「お水が必要な人は言ってくださいねー」
テテトカがじょうろを持ちながら、ぽてぽてと土風呂の間を歩いていた。
勇気ある観光客の頭に、水をかけるつもりなのだ。
「で、でも無理はしなくて大丈夫ですわ!」
後ろにいるのはジェシカだ。土風呂に欠かせない水の補給係──らしい。
「大切な仕事なんだぞ」
「おみずは……きっとひつようぴよね」
「まぁ、そうだな……」
多くは語るまい。
なお、ジェシカは山車と
着ぐるみ部隊にエントリーしたのだとか。
村の広場では、超巨大な花飾りと氷の
輝かんばかりの
中央には
ウッド会心の
そして台車の上には、村人が作った花飾りの数々も載せられている。
シックな黒と
村人一人一人の花飾りだ。それが像を
もちろん、台車そのものも
眺める観光客も目を見開き、熱心に周囲を回って見ていた。
「ぴっぴよー」(るんるんー)
「ぴよよー!」(運動するぞー!)
山車の前にはコカトリスとアルミラージが並んでいる。
「きゅいー」(ふんふんー)
「きゅっきゅー!」(頑張るぞー!)
この二大パワーによって、山車を動かすのだ。
「よしよし、と。固定は大丈夫ですね……!」
「ええ、問題ありません!」
ステラとカイが
もちろんステラは時折もふるのも忘れない。
「ぴよ! どうぴよ!?」
「
ステラがぱたぱたと走り寄ってくる。心の底から楽しそうな顔をしているな。
「はぁ……本当に素晴らしい花飾りですね」
ステラが俺の隣に来た。少しだけステラの
ステラ案のコカトリスやニャフ族もめちゃくちゃ目立っていた。
アルミラージにまたがったカイが手を
「それじゃ、動かしますよー!」
カイが合図するとコカトリスとアルミラージがゆっくり進む。
それによって、山車がちょっとずつ動き出す。
太陽の光を浴びて氷の彫刻と花飾りが一層、輝きを増す。
それさえも
「ぴよぴよ」(軽い軽いー)
「きゅっきゅー」(
ふむ、コカトリスは軽々しく運んでいるな……。
だが重く感じるよりはいいだろう、うん。
「ぴよ! うごいたぴよー!」
「わふ、しっかり動いてるんだぞ!」
「はぁ、良かったです!」
テスト走行はしていたが、本番はまた別だからな。しかし問題はないようだ。
花飾りの山車が進むたび、華やかな雰囲気がさらに広がっていく。
「……エルト様」
「うん?」
隣のステラが少しだけ俺に近寄った。
そのまま、こてんと俺の肩に頭を寄せる。
言葉はいらなかった。
店に精を出すウッドも、山車が動くのを見て俺たちに手を振っている。
「……幸せです」
「俺もだ」
心の底からそう思う。
