馬超キターーッ!! なんて叫ぶわけにもいかないので、
「うむ、よしなに」
私はとりあえず、名士ムーブをするのだった。
かたい
「見事なものですね」
「うむ」
司馬懿がもらした感嘆に、私はうなずく。私たちは涼州の馬術を見学していた。
馬超は
次に、馬超は弓を手にとった。揺れる馬上をものともせず、彫像のように身じろぎもせず、矢をつがえずに引きしぼる。狙いをさだめて、弦をはじく。これまた右に左に、後方に。次から次へと、弦音をひびかせていく。
そして、ふたたび槍にもちかえる。もう一方の手で手綱を握るや、芦毛の馬はぴたりと足をとめた。と、そのまま横歩きにうつってから、後退をはじめる。軽やかな蹄の音は、まるで踊っているみたいだ。
まさに、人馬一体。流れるような一連の動作には、見とれるしかない。私は素直な感想を述べた。
「これを見るだけでも、長安まで来たかいがあったというものだ」
仕事を手伝ってくれ、と鍾
にいわれたとき、正直にいうと、「めんどくさいなあ」と私は思った。「厄介だなあ」とも。だって、交渉相手が反乱マイスターの韓遂だもの。
けれど、顔を貸すだけでいいといわれれば、断るわけにもいかない。私が暮らしている陸渾は、洛陽盆地の南に、盲腸のようにくっついた場所にある。この一帯を統括する兄弟子との関係は、おざなりにするわけにはいかなかった。つきあいを優先させた形だったけど、いまとなっては来てよかったと思う。
──ああ、「
思い返せば、この時代に生をうけて、もうそろそろ四十年になる。いつも戦の回避に全力だったから、有名武将の雄姿を見る機会もほとんどなかった。
「ははは。いかがかな、我らの馬術は」
誇らしげな声がした。韓遂だ。
「と、自慢したいところだが、あのあぶみという馬具がなければ、ああもうまくはいきますまい。胡昭どのの発明は、騎兵の運用に変革をもたらすやもしれませんぞ。なんとも、すごいものを発明されましたな。はっはっは」
さきほど声を荒らげたのが嘘のように、韓遂は相好を崩している。
……なるほど、わざとだったか。
私が名士ムーブをすることで、交渉に干渉しないと意思表示しているように。韓遂も気分を害したふりをしていたのだろう。交渉の場を、屋内から屋外へとうつすために。
自分が用意した場所で交渉できれば、それだけ心理的に余裕がもてる。鍾
が用意した部屋より、屋外のほうが韓遂にとってはやりやすいはずだ。となると、次は──。
「しかしながら、彼らはもとよりすぐれた騎手だ。どうかな、胡昭どの」
「……うむ?」
「あなたの発明品が、我らの兵にどれほどの効果をもたらすのか。直接その目で、たしかめてみてはいかがかな?」
「…………」
韓遂の陣へと、誘いこもうとする。そういうことだ。韓遂と馬騰はそれぞれ千の兵をもって、長安郊外に陣どっている。そこが、彼らにとって最も有利な交渉場所だ。
私は無言でいた。口をはさむ人物がいるであろうことは予想できた。
「城内におぬしらの兵を数名、呼び寄せるぶんにはかまわぬぞ。だが、あの護衛たちから、感想を聞くのが先ではないかな。韓遂どの」
案の定、鍾
が苦笑しながら、くぎを刺した。
「ふむ……。では、そうするとしようか。おおーい!」
自陣に場所をうつせなかったからか、韓遂も苦笑をひらめかせてから、大声で呼びかける。韓遂の護衛と馬超は、その声にすぐさま反応した。
栗毛の馬と芦毛の馬。二騎は競うように、ほぼ同時にもどってきた。下馬するのもほぼ同時、いや、わずかに韓遂の護衛のほうが早い。
「胡昭どの。あぶみの乗り心地、まことにすばらしきものでございました」
「この
主君に紹介され、韓遂の護衛はうやうやしく拱手した。
「閻行、字を
「うむ、よしなに」
ん、閻行? もしかして……。
閻行はちらと馬超を見やり、得意げにいう。
「ふふふ、そうむくれるな。関中一の座は、まだまだおぬしには早い」
「…………」
馬超は苦虫を噛みつぶしたような顔をしている。
「私と馬騰は、かつて敵対しておってな。戦をしたこともある。その際、閻行は一騎打ちで馬超を圧倒しておるのだ」
韓遂の説明が、前世の記憶と一致した。
やっぱりそうだ!
馬超に一騎打ちで勝った武将だ。いわれてみれば、ご立派なお身体、お強そう。馬術でも、馬超と遜色ない動きをしていた……ような気がする。あまり見ていなかった。失礼いたしました。
「あくまでも、三年前のことにございますれば」
馬超が不機嫌そうにいいすてると、馬騰が深々と嘆息する。
「いまでも顔を合わせるたびに、この調子よ。敵対していたのは、過去のことだというのに」
「父上、ちょうどよい機会ではありませんか」
「む、何がだ?」
馬超は、槍の石突きで地面を突いた。若獅子の両眼に、挑戦とも挑発ともとれる光が宿る。
「馬に乗り、槍を振るい、矢を放つ真似事をする。それだけで、あぶみを十分に試したといえるでしょうか? もっと実戦に近いほうがよいのでは?」
「ほう、私との手合いを所望するか。おもしろい」
好戦的な言葉に返答したのは、馬騰ではなく閻行だった。
ふたりの武人が、視線を交わす。
「いつまでも、過去の勝利を誇られてはたまらぬ」
「いまなら勝てる、と聞こえるぞ。ふん、拾った命だろうに」
これはもしや、……一騎打ちが発生しようとしている?
ふと、懐かしい記憶がよみがえった。
前世の、小学生のころの記憶。学校の図書室で、三国志の漫画を読んだ思い出だ。その漫画は全巻そろっていなかったし、表紙カバーなんかとっくになくなっていて、すり切れてボロボロになっていた。それでも、私にとってはお気に入りだった。
他にも歴史物はあったけれど、三国志ほど心を躍らせるものはなかった。一番わくわくしたのは、やっぱり豪傑同士の一騎打ちだったと思う。……そのほとんどが、三国志演義での創作だと、あとで知って、ちょっとがっかりもしたっけ。
その一騎打ちを見る、チャンスかもしれない。戦場で発生する本物の一騎打ちでこそないが、けっして練習ではない。意地と誇りをかけた真剣勝負だ。ましてや馬超クラスの一騎打ちとなると、きっと私が目にする機会は二度とないだろう。
馬超と閻行は、お互いに視線をそらそうとしなかった。にらみあったまま、圧迫するような緊張感が場を支配する。両者の闘志が高まるにつれ、私の胸中でも期待が高まるのを感じる。
「これ、閻行。客人の前だぞ」
韓遂が注意するも、閻行の耳には入らなかったようで、
「そういえば馬超よ。ずいぶんと立派な鎧を身につけているではないか。おぬしの代わりに風穴をあけた鎧には、ちゃんと感謝したか?」
「むっ」
「ふふふ、我が槍を折ってくれたあの鎧には、私も感謝せねばならぬ。あやうく、馬騰どののご子息を殺してしまうところであった」
「三年前のようにはいかぬ」
「三年前とちがうのは私も同じこと。特別にきたえたこの
閻行は
「ふたりとも、黙れ」
馬騰の声は静かだったが、有無をいわせぬ力強さと迫力があった。
「やれやれ、一騎打ちの真似事だと? そんな危険なことを許すわけがなかろう」
あごひげを撫でながら、韓遂も軽はずみな行動をいましめた。その冷や水を浴びせるような声と視線が、ひりつく空気をたちまち雲散霧消させてしまう。
まずい。主君がそろって乗り気でない様子。このままでは一騎打ちはお流れになってしまう。
「父上、韓遂どの、何をおっしゃるのですか。手合わせなど、めずらしいことではありますまい」
「刃を布で包めば、問題はなかろう。それで怪我をするような軟弱者は、捨ておけばよい」
馬超と閻行が反論を試みたが、彼らの主君はかけらも感銘を受けなかったようだ。
「ならん。頭を冷やせ」
「ぐっ……」
馬騰が息子を黙らせた。
「閻行、おぬしも時と場所を考えろ」
「……ははっ」
韓遂の叱責に、閻行も頭を下げる。だめだ。やはり主君には逆らえない。
だが、私は馬超の一騎打ちを見たいのだ! 一騎打ちを実現させるには、外部からの圧力が必要に思えた。ここは、私が説得するしかない。
私の脳内で、一騎打ち推進委員会が発足される。
孔明Aいわく、
「馬超は、めずらしいことではない、といいました。手合わせそのものは、普通におこなわれているのでしょう」
孔明Bいわく、
「韓遂は、危険なことは許さない、といいました。つまり危険を減らす方法があれば、説得は可能と思われます」
孔明Cいわく、
「韓遂は、時と場所を考えろ、ともいいました。なるほど、私たち外部の者がいる場で、死者でも出たら縁起が悪い。これも危険を減らせばよろしいかと」
……なんということでしょう。どの孔明も自分の顔をしているせいで、イマイチ確信がもてません。けれど、まちがってはいないはず。
私は前世の記憶を洗っていく。何かヒントになるものはないか。探して、探して……それらしきものにたどり着く。
思い当たったのは、世界中の不思議やミステリーを発見すると題した、司会者がスーパーなクイズ番組だった。
「韓遂どの、馬騰どの。危険を減らすことができればよいのだな?」
「あ、ああ……」
「それはそうだが……」
韓遂と馬騰が意表を突かれたような顔をした。極力発言をさけていた私が、急に口を差しはさんだのだから、戸惑うのもむりはない。
「ならば、私によい案がある」
「孔明?」
「…………」
私の方針転換が理解できないのは、鍾
と司馬懿も同じようだった。彼らも私の意図をつかみかねて、怪訝そうな顔をしている。
だがしかし、いかな司馬懿とて、私の真意は見抜けぬであろう。
私は、馬超のリベンジマッチが見たいのだ!
「柵をひとつ用意してほしい。長く、まっすぐな柵を」
参考にするのは、中世西洋の騎士文化、馬上槍試合である。
多くの死傷者を出した馬上槍試合は、危険性をすこしでもおさえようと、さまざまな工夫を取り入れた。その大きなものが、柵である。柵をはさむことによって、騎馬同士の正面衝突をふせいだのだ。私に馬上槍試合の詳細な知識があるわけではないし、中世西洋と古代中国とでは、戦いの形式も異なる。現場とのすり合わせが不可欠だろう。私たちは相談しながら、案をつめていった。
かくして三国志版、馬上槍試合の準備がはじまった。
さあ、一時は開催をあやぶまれた、関中最強決定戦!
馬超VS閻行の好カード!
いよいよ、試合開始の時刻がせまってまいりました!
というわけで、私の目の前には、試合会場となる柵が左右にのびている。場所は、長安郊外にある小高い丘のふもとである。傾斜を利用すれば、それだけ多くの人が観戦できると思い、ここを選ばせてもらった。どうせやるなら、観客をたくさん入れて、盛りあげようではないか。このエンタメ精神、三国志の時代に生きる方々にも、わかっていただきたいところである。
すでに、その傾斜地をふくめて、会場の周囲はびっしりと兵士で埋めつくされている。韓遂軍、馬騰軍、そして鍾
軍の合計で兵数は二千五百になるそうだが、どうやら全員観戦できるようだ。
また、自軍を代表して馬超と閻行が一騎打ちをするとなれば、
軍を真ん中に配置してみた。兵士、すなわち観客の配置は左手から馬騰軍、鍾
軍、韓遂軍となっている。
……自分で決めといてなんだが、とてつもなくデンジャラスな布陣であった。もし馬騰軍と韓遂軍に挟撃されたら、兵数五百の鍾
軍は一瞬で壊滅する。
ヤバくね?
どうりで、鍾
と司馬懿がピリピリしているわけだ。エンタメ脳全開で、軍事的な要素は考慮しておりませんでした。……なんて、とてもいえない。
なに、逆に考えるんだ。四倍の涼州兵と野戦になったら、どうあがいても蹴散らされる。……これも、口に出せたもんじゃなかった。
「…………」
司馬懿さんの無言の圧力、冷ややかな視線を、横っ面にひしひしと感じる。じつは彼の機嫌が悪い理由は、もうひとつあった。
例によって白い羽扇をもっている私は、もう一方の手に木札を握りしめていた。賭け札である。この一戦は、賭けの対象になっているのだった。
さきほど馬超に賭けてきてから、ずっとプレッシャーを感じる。賭け事に興じるのは名士らしくない、といいたいのだろう。
けれど、自分が推し進めた一騎打ちだし、賭けにも参加せず、高みの見物というのもノリが悪いように思う。
「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」といいたいところ。でも、現代日本じゃあるまいし、きっと通用しないだろう。むむむ。
私がひそかにむむむってると、そこに救いの手を差しのべるようなタイミングで、韓遂と馬騰がやってきた。何があったのか、韓遂は満面に笑みを浮かべている。心の底から愉快そうな、影のない笑顔である。
「やあ、胡昭どの。貴殿にはかないませぬな」
「さあ、そろそろはじまりますぞ」
と馬騰もほがらかに笑いながら、あごをしゃくって試合会場を指ししめす。見れば、柵の左端に馬超が、右端に閻行が。それぞれ馬に乗ってあらわれたところだった。
◆◆◆
時はすこしさかのぼり、一騎打ちの準備にうつる直前のことである。長安を出た韓遂は、不機嫌そうに黙りこんでいた。怒りをこらえているのは明白であったから、同行する馬騰、馬超、閻行の三名も無言をたもっていた。
四人の中で比較すれば小柄な韓遂も、涼州で名をはせる武人なだけあって、体格はよい。最も大柄な閻行にいたっては、岩のような
「かつて、曹操は自分を評価してくれるよう、許子将に頼みこんだ。いやがる許子将にしつこくつきまとい、強引に評価を聞き出したそうだ。そうして得た『治世の能臣、乱世の奸雄』という評価は、手放しの称賛とはいえなかったろう。なにしろ、奸雄なのだからな」
韓遂の声は低い。彼は昔話をしているのではなかった。説教をしているのだ。
「だが、曹操はよろこんだ。一流の名士が認めた人物として、自分の名が天下に広がることを知っていたからだ」
この話の主旨は、曹操云々ではなく、名士に評価される意義にある。
「胡昭どのは人物批評にも定評がある。彼におのれの武勇を認めてもらえれば、その名は関中どころか、天下にあまねく広まるだろう」
そこでついに、韓遂は声を張りあげた。
「閻行! ついでに馬超もだ! おまえら、功名心にはやったな!」
閻行と馬超は、大きな身体を縮こまらせた。馬上でうつむく彼らに、韓遂は
「自分たちが何をしでかしたのか、わかっているのか!? 我々は、あやうく天下の笑いものになるところだったのだ! 客人の前で私闘をはじめる野蛮人だとな!!」
「今回は幸いにして、胡昭どのが話に乗ってくれた」
と、馬騰が顔をしかめて、説教を継ぐ。
「彼が助け船を出してくれたおかげで、笑われずにすんだが……」
「ああ。馬騰のいうとおり、胡昭どのが推し進めた手合いを笑う者はいまい」
だがな、と韓遂は鬼のような形相で叱りつける。
「おまえらが訓練の延長だと思っている手合わせは、中央の者からしてみれば、粗野な私闘でしかないのだ。胡昭どののように、我らの風習に理解をしめしてくれる御仁は例外なのだと、よくおぼえておけ!!」
「……申し訳ありませぬ」
閻行が頭を下げておそれいった。馬超もばつが悪そうに頭を下げる。彼らの様子を見て、溜飲を下げたのか、韓遂は説教を切りあげて、鼻を鳴らした。聞こえよがしに、「うちの閻行は中央志向が強くて困る」とぼやく。馬騰が呼応するように、「うちの息子は頭に血がのぼりやすくて困る」と嘆息する。
閻行と馬超は、ますます下をむいた。
主君からきびしい言葉をいただこうとも、本日の主役はまぎれもなく、馬超と閻行のふたりである。彼らが雌雄を決するための準備はつつがなく終わり、あとは手合わせの開始時刻を待つばかりとなった。準備といっても、必要なのは柵一枚のみ。簡素なものだ。馬騰と韓遂は、血の気の多い兵が問題をおこしていないか、周囲の様子を見まわっていた。
「もはや、ただの手合わせと呼べる規模ではないな。そう思わぬか、韓遂」
「うむ。兵卒たち全員が観戦できるように、か。胡昭どのは、奇妙なことを考える御仁だ」
「鍾
どのの兵も、賭けに参加しているようだぞ」
「……なるほど、そういうことか」
韓遂は得心してうなずいた。
「兵たちの交流が深まれば、争いの種も減る。胡昭どのの狙いはそこにあったか」
狙いと結果をどう結びつけるかは韓遂の自由であるが、この場に孔明がいたら、そっと目をそらしていただろう。馬騰はうなずいて、
「柵を使った一騎打ちを取り入れれば、訓練での死傷者も少なくなる」
「そうだな。……馬騰よ、ときに尋ねるが」
韓遂は声を低めて、慎重に訊いた。
「董卓は、悪だったと思うか」
「むろんだ。あの男が権力を握ったのは、悪夢以外のなにものでもなかった」
馬騰は嫌悪感をむきだしに答えた。
「ああ。私もそこに異を唱えるつもりはない。やつのしたことに、擁護の余地など一片もなかろう」
と、韓遂は苦笑さえ浮かべずに、
「だがな、やつは涼州ではそれなりにうまくやっていた。ちがうか?」
「……ちがわぬな」
「奪い、分けあたえ、力をしめす。それができなければ、異民族とまじりあう辺境を治めることなどできはせん。董卓は、そうした人心掌握には長けていた。……だが、そんな野蛮な方法が、中央で通用するはずもない。あの男はそれでも力を誇示しようとして、どこまでも残虐になっていった」
韓遂は、董卓という男をよく知っていた。何度も戦った。勝ったことも、負けたこともある。部下となったことも。粗野な男だった。冷酷な一面のある男だった。それでも涼州にいるときは、暴虐非道な大悪党ではなかった。韓遂は結論づけるしかなかった。董卓は、洛陽に行くべきではなかったのだ。気風のあわない朝廷を牛耳るよりも、辺境で王様を気取っていたほうが、本人にとっても民にとっても、よほど幸福であったろう。
「馬騰。中央の統治方法で涼州を治めようとしたら、どうなると思う?」
「不可能だ。お行儀のよいやりかたをしていては、内外ともに治まらん」
考えるまでもない、馬騰は即答した。
「うむ。李
のような残忍な男を御しきれず、寝首をかかれるか。それとも異民族に抗しきれず、全てを奪われるか。どちらにせよ、ひと月ともたぬだろう」
韓遂の声に冷笑や皮肉のひびきはなかった。ただ、淡々と、
「結局、風習がちがうのだ。函谷関を境に東を関東といい、西を関西という。両者は対等ではない。関東が主で、関西が従だ。関東が中央であり、関西は辺境にすぎないのだ」
疲労を感じたように、韓遂はため息をついて、
「漢王朝が安定して、関東が太平の世を謳歌しているときですら、関西は異民族の侵略にさらされてきた。ときどき思う。我々は本当に同じ国の民なのだろうか、とな」
武帝以来十余万をかぞえた漢朝の中央軍は二万を下まわり、辺境軍も縮小した。兵が不要になったのではない。軍事費の削減が理由である。これでどうやって異民族をおさえろというのか。中央を当てにできぬ戦いの日々は、関西の民に根深い不信を植えつけた。
韓遂の人生もまた、戦いの連続だった。相手が異民族か中央軍か、選り好みなどできはしない。手をとり、その手をはなし、生きるために戦いつづけてきた。
深くしわのきざまれた盟友の顔を、馬騰はまじまじと見た。
「老いたな、韓遂」
「ぬかせ」
「あれを見ろ」
馬騰の視線の先では、商人らしき白い衣服の男が軽食を売っていた。客となっているのは韓遂の兵であり、馬騰の兵であり、洛陽からきた鍾
の兵である。
「どうだ。同じものを食い、同じ賭け事に興じ、同じように騒ぐ。関東の兵と我らのあいだに、なんのちがいがある。なにも変わらないではないか」
その言葉に、韓遂はようやく苦笑を浮かべた。そして気分転換のつもりか、閻行に賭けた木札を、懐から取り出した。
「ところで、馬騰。おぬしも、もう賭けたのか?」
「むろんだ」
馬騰も、馬超への賭け札を取り出した。今度は勝たせてもらうぞ、と息子の代わりに息巻く馬騰を見て、韓遂は苦笑を深めると、注意をうながした。
「賭けがおこなわれていることは、胡昭どのの前では話題にせぬほうがよいぞ」
「ああ。話を聞くに、名士とはとかく風聞や品行を重んじるそうだからな」
彼らは木札をしまって、貴賓席にむかった。貴賓席といっても、椅子があるわけではない。立ち見である。つくづく孔明は、彼らの考える名士像を破壊してくれる。とはいえ、自分が推し進めた手合いが、賭けの対象になっていると知れば、いい顔はしないだろう。そう思っていた彼らは、顔を見合わせることになった。
「…………」
騎馬民族はすぐれた視力をもつ。彼らは遠目に、孔明の手に木札が握られているのを発見したのである。韓遂と馬騰はどちらからともなく、破顔した。
関西の武を軽んじ、関東の文を重んじる中央において、いまや最大の勢力となっているのが潁川閥である。その中心人物が、おのれの足でこの地を踏み、おのれの身をもってこの地の風習に溶けこもうとしているのだ。辺境蔑視の風潮を疑問視し、一石を投じているのだ。
彼らは捨ておかれた民ではなかった。悲観に別れを告げると、韓遂は孔明に笑いかけた。
「やあ、胡昭どの。貴殿にはかないませぬな」
「さあ、そろそろはじまりますぞ」
馬騰はそういって、晴れがましい舞台に立つ息子を見やるのだった。
韓遂が叱責したとおり、閻行のように目をギラつかせるほどではないが、馬超にも功名心はあった。孔明に武勇を認めてもらえれば、武名は天下にとどろくだろう。
馬騰が頭を抱えたように、その孔明の前で過去の敗北を蒸し返されて、頭に血がのぼったのも事実ではあった。
だがしかし、馬超の本懐はそこにはなかった。
「ようやくだ。ようやく、このときが来た」
彼はこの日が来ることを、かねてより渇望していたのである。
馬騰と韓遂が手を組んだとき、「それはようございました」と、馬超は祝福してみせた。表向きは戦がなくなるのを歓迎しながら、しかし、胸にあったのは失望と絶望だった。閻行を倒す機会は失われた。もう、雪辱がはたされることはない。あの敗北は、永遠の汚点としてきざまれたのだ。
ぽかりと、胸に穴があいたようだった。
あの敗北を夢に見て、何度夜中に跳ね起きたことか。どれほど鍛錬を積もうと、地平の果てまで馬を駆けようと、心にこびりついた屈辱を拭いさることはできなかった。もうすこし頭を使え、と父にいわれることもある馬超だが、そんな彼にもはっきりわかることがある。
──敗北を上書きできるのは、ただひとつ。勝利だけだ。
まっすぐのびる柵の端に、馬超は馬を進めた。この場で馬に乗っているのは馬超と閻行だけであるから、視線は高く、周囲の景色がよく見える。会場はすっかり兵に囲まれていた。左手の斜面では大観衆が、右手では孔明、鍾
と名だたる人物が、この一騎打ちに注目している。
申し分ない。これ以上ないほどの大舞台だった。どうやら、刻限がきたらしい。
「我こそは
馬超は名乗りをあげ、布をきつく巻いた穂先で敵手を指ししめした。応じる閻行は、同じ処置をほどこされた槍を天にかかげる。
「関中にその人ありと知られたる、閻彦明とは、我がことよ! 馬超よ。またしても、我が前に立つこととなった、おのれの運命を呪うがいい! 地に叩き伏せ、馬乗りになり、後ろ髪をむんずとつかみあげて、その生白い首を絞めあげてくれよう! 三年前と同じようにな!!」
閻行の大音声とともに、韓遂の陣がどっとわいた。嘲笑は風となって斜面を流れ落ち、馬超めがけて容赦なく吹きつける。
「…………っ!」
激怒と恥辱に、馬超の顔は朱く染まり、その双眸は煮えたぎった。
口上が終わったとみて、兵士がふたたび陣鼓を叩く。
次の瞬間、大地を蹴って勇ましく、風を切って猛然と。馬超を乗せた芦毛の馬と、閻行を乗せた栗毛の馬は、はじかれたかのように飛びだした。
「死ね、閻行!」
「死ね、馬超!」
はからずも、選んだ罵声は合致していた。刃を布で覆い隠そうとも、闘志まで覆い隠す理由はない。あふれでる戦意に遠慮のない殺意をかさねて、馬超がもつ深緑の槍と、閻行がもつ黄金の槍とが激突した。
衝撃はすさまじかった。両者の身体が大きく揺らぎ、あまりのはげしさに乗馬までもがよろめいた。動揺する愛馬を、彼らは足のみで支配してみせる。一瞬、柵からはなれようとした二騎は、馬首をひるがえして再接近した。
第二撃が放たれる。わずかに先んじたのは馬超だった。閻行の顔面めがけて、緑槍がするどく突きだされる。かろうじてかわした閻行だったが、体勢がくずれ、攻撃は中断せざるをえない。
すかさず馬超がたたみかける。飛燕のごとくひらめく槍を、閻行は完全ではないながらもしのぎつづけ、しのぎきった。そして馬超の呼吸に合わせて、反撃に転じる。
長大な槍が振るわれ、うなりをあげた。
ただ一撃だった。ただ一撃で、万全の姿勢で受けとめたはずの、馬超の顔がゆがんだ。痛みによるものではなかった。衝撃の重さによって、敗北の記憶を呼びおこされたのである。馬超とて剛力自慢である。三年の鍛錬で、さらに力は強くなった。それでも閻行の巨躯が生みだす膂力には、およんでいなかったのだ。
単純な力比べの優勢が、閻行の攻勢を勢いづかせた。黄金の槍が、暴風となって襲いかかる。馬超は守勢に立たされた。
「ああ……」
と、手に汗握る観衆の目には、防戦一方となった馬超が追いこまれたかに見えた。閻行の苛烈な連撃には、見る者にそう思わせるだけの迫力があった。しかし、注意深い者であれば、別のことに気づいたであろう。閻行の槍は、
「こしゃくな!」
閻行がはきすてた言葉に焦りがある。焦っているのであれば、さらに焦らせてやればよい。馬超はすぐには攻撃に転じず、そこから十合、二十合と、完璧な防御に徹した。粘り強く守りつづけ、閻行の猛攻にようやく陰りが見えたところで、その間隙をぬって、ついに緑槍が突きだされる。神速の突きが狙うのは、閻行の喉元であった。
「くっ」
のけぞって回避したものの、閻行はあやうく落馬しそうになった。たまらず、鞍の前輪に右手をかけ、馬の腹を蹴って逃げにかかる。馬超は逃げる背中を追わなかった。追う必要はなかった。
この手合わせには取り決めがある。交戦する範囲は柵の中央付近とさだめられており、そこから先に離脱した者は、逃げたとみなされて減点されるのだ。こうした減点がふたつで、落馬と同じあつかいになる。すなわち敗北である。一度逃げた閻行に、もう逃走は許されない。
「次で終わりだ、閻行!」
逃げ帰る敵の背中に声を投げかけ、馬超は悠然と自陣にもどる。凛然たる姿の若武者を、歓呼の声が迎え入れた。
「ふぅ……」
馬超は息をついた。はげしい撃ちあいに耐えられず、穂先を包む布が痛み、ゆるんでいた。兵に槍をあずけて、布を交換してもらいながら、馬超には敵手を観察する余裕がある。閻行の顔は憤怒と屈辱に紅潮している。槍をまじえる前と、立場は逆転していた。閻行の思惑どおりに事がはこんでいないのは、誰の目にもあきらかである。たしかに、馬超の膂力は鍛えてなお、閻行のそれにとどかなかった。だが、馬超の技量は、閻行の予想を凌駕していた。膂力の差を埋めるどころか、くつがえしてみせるほどに。
両者が準備をととのえると、貴賓席の孔明が一歩前に進み出て、白羽扇をさっとひるがえす。合図を受けて、兵が再開の陣鼓を打ち鳴らした。
決着をつけるべく、ふたりの勇士は愛馬を疾駆させた。
「おおおおおおっ!」
閻行が獣のような咆哮をあげた。尋常ではない気迫だった。馬の勢いをのせた、この一撃でもって、勝利をもぎとろうというのである。力で押しきれず、撃ちあいで競り負けた。馬超の力量が上まわっているのであれば、閻行はどこかで賭けにでるしかない。ここが最大にして、唯一といっていい勝機であろう。
この機を閻行は逃さなかった。つい今しがた、馬超の呼吸を読みきって攻勢に転じてみせたように、彼はただ力まかせに槍を振るうだけの男ではなかった。数々の戦功を積みかさねてきた歴戦の勇士であり、本物の武勇の持ち主であった。
「おうっ!」
と馬超も吠えて、雄敵の覚悟にこたえるように馬を速める。
黄金と深緑、二条の軌跡が交差した。
黄金の槍が馬超の兜の表面を流れ、深緑の槍が閻行の胸元に吸いこまれる。
鎧を砕かんばかりの衝撃が、閻行の巨躯を宙に浮かせた。
砂塵をまきあげながら人馬がすれちがったとき、鞍上から、閻行の姿は消え失せていた。
決着がついたのだ。歓声は頂点に達した。
万雷の喝采を浴びながら、馬超は手綱を握った。芦毛の馬がいななき、さお立ちになって脚をとめる。彼は敵手の姿を探した。
閻行は大地に叩きつけられていた。その姿を見た馬超の顔に、勝利の実感がゆっくりと広がっていく。やがて馬超は天高く槍をかかげた。
「今日このときをもって、関中一の座は、この馬孟起がもらいうけた!」
天をつんざく熱狂の中心で、堂々と宣言する。その声は高らかに、誇らかに、全軍にひびきわたるのだった。
◆◆◆
いやあ、閻行は強敵でしたね。
一騎打ちは盛況のうちに幕を閉じ、その場で、関中軍閥との交渉もすんなり終わった。
関中側は一万の民を洛陽に送りだし、曹操側はあぶみと鞍のセットを百組提供する、という形で話はまとまった。これ以上ない成果といっていいだろう。人身売買といってはいけない。この時代、民を
「お疲れさん。孔明が手伝ってくれたおかげで、いい結果を持ち帰ることができそうだ」
長安にもどったその夜、私は鍾
と酒を酌み交わしていた。
鍾
は上機嫌に酒杯をかたむけ、笑った。
「もっとも、あんな危険な真似は二度とごめんだがね。いつ韓遂軍と馬騰軍が牙をむいてくるかと、気が気でなかったわ」
「虎穴に入らずんば虎子を得ず、というでしょう。先人にならっただけですよ」
私はしたり顔ではったりをかました。計算どおり、ということにしておく。
「ふむ。おまえさんも、ずいぶん大胆なことをするようになったもんだ。……弟子をとって変わったか?」
「仲達のことですか……」
長安にもどる道中、司馬懿は、「先生の真意を見抜けなかった、おのれの不明を恥じるばかりです」と、しきりに感服していた。彼がいうには、私が一騎打ちを推し進めたり、賭け事に参加したりしたのは、すべて民心融和のためであったそうな。そういう解釈もあるのか、なるほど?
「彼は、優秀な若者ですよ」
私はそういいながら、煮豆を箸でつまんだ。
「うむ。あれは凡百に埋もれるような人材ではないだろうな。わしより出世するかもしれん」
鍾
はうなずいて、竹簡をひらいた。と、眉間にしわを寄せる。
どうしたのだろう? 私の視線は、兄弟子の顔と、彼のかたわらに存在する巻物の山を行き来した。
「む、これか? 読んでみればわかる」
鍾
は、なかば放り投げるように竹簡をよこした。ぞんざいなあつかいに驚きつつ、私は書を一瞥する。
「これは、
蔡
が書いたにしては、いびつな文字だ。本物とは思えない。
「うむ。長安は蔡
どのが亡くなられた地だ。彼の書がどこかに残っているのではないかと、めぼしい廃屋を部下に探させておいたのだが、……彼の名を騙った偽物ばかりでなぁ」
蔡
は、董卓の破滅に巻きこまれて獄死した、博覧強記で知られた政治家である。書物の校訂に多大な貢献があり、有名な書家でもあり、私や鍾
のような書にたずさわる者にとっては、手本ともいうべき人物だった。三国志では初期に退場してしまうので、あまり存在感はないかもしれないが。
「で、もし本物が見つかったら、鍾兄はどうするおつもりで?」
「…………」
鍾
は不思議そうな顔をして、しらばっくれた。当然のことながら、本物の蔡
の書であれば価値は高い。本来なら、朝廷におさめるのが筋というものだ。
「……くすねるつもりですね?」
私はあらためて尋ねた。断定するように。鍾
の目が泳ぐ。それって、犯罪ですよね? あなた、警視総監とか警察庁長官とか、そういう立場の人ですよね?
「そうそう、優秀な若者といえば、馬超も見事な武者ぶりだったね」
「はぁ」
強引に話を変える鍾
に、私は呆れた。
「孔明が、『錦馬超』といいあらわしたのも見事だった。彼の英姿が目に浮かぶようではないか。うむ、しっくりくる。じつに、すばらしい表現だ」
「はぁ。それはどうも」
そりゃ、しっくりくるでしょうよ。遠い未来まで、錦馬超という異名は残るのだから。なんだか、私が命名したみたいになってしまったけれど、馬超も馬騰もよろこんでいたから、よしとしましょうか。
警察権力の腐敗から目をそむける、わけでもないが、私はなんとなしに西の窓を眺めた。乾いて澄んだ星空の下、馬騰陣営では、馬超の勝利を祝って宴がひらかれているはずだった。
◆◆◆
馬騰軍では一兵卒にまで酒と膳が出され、大宴会がくりひろげられていた。本陣の天幕の中は酒のにおいが充満し、飲めや歌えと騒いだあげく、酒壺どころか酔いつぶれた人間まで転がっているありさまである。
まだ正気をたもっている者たちが宴席に興じていると、ふいに天幕の出入り口が揺れうごき、彼らはそこに思いがけない顔を見た。天幕に入ってきたのは、今回の長安行きに同行していないはずの、馬騰の三男・
「親父っ、超兄貴っ!」
敷物の上にあぐらをかいていた馬騰が、目を丸くする。
「鉄? どうしておまえがここにいる」
「どうしたもこうしたもあるもんか。たった千ぽっちの兵しかつれていかなかったから、心配になって、追いかけてきたにきまってる」
「千ぽっちというが、我々は戦をしにきたわけではないのだぞ。本拠地の守りを手薄にしてどうする」
「でも」
「鉄、おまえには城を守るよう、命じていたはずだ」
「そ、それは、
徳
馬鉄の声がすこしうわずった。追及をさけるように、
「それより、超兄貴だ。あの閻行に勝ったんだって!?」
「おう」
酒をあおりながら、馬超が返事をした。すでに酔いがまわり、体が火照っているのだろう。衣服をはだけて、上半身をむきだしにしている。
「あれが閻行から奪ってやった戦利品、勝利の証だ」
馬超があごをしゃくった先に、黄金の槍が飾られている。虎頭湛金槍──関中一の勇士の証、と閻行が自慢していた槍である。
「やった、さすが超兄貴だ! あの野郎、図体よりでかい面してやがるから、気にくわなかったんだ。さすがだぜ!」
小躍りしてよろこぶ馬鉄を見て、馬超が得意げに笑う。
「ふふふ。奴のくやしそうな顔を、見せてやりたかったな」
「それだけではないぞ。名士の胡昭どののことは、鉄も知っているな?」
馬騰が満面の笑みでつづけた。
「胡昭? あの孔明先生のことか?」
「そうだ。その孔明先生が、超の武勇をご覧になって、『錦馬超』と称えてくださったのだ」
「あの孔明先生が!? すげえ、すげえよ超兄貴っ!」
はしゃぐ弟に気をよくして、馬超は立ちあがった。今宵の彼は最高の気分である。不倶戴天の敵に勝利して、天下の名士に認められた。まさしく竜門をのぼった心地であった。
口笛、指笛、はやしたてる声。
馬超は右手で黄金の槍をとると、それを頭上で水平にかまえた。そして、たくましい三角筋と広背筋、ひきしまった腹斜筋を見せつけながら、左腕に力こぶをつくってみせるのだった。
※
建安四年(一九九年)三月、鍾
との交渉の席で、馬騰と韓遂はどちらが関中の代表者となるかで争いになった。鍾
の離間策であったという。そのとき胡昭がふらりとあらわれ、馬騰軍と韓遂軍の不和を解消するために、馬超と閻行の一騎打ちを提案した。かねてより辺境差別問題に関心を寄せていた胡昭が、余興を利用して鍾
側と関中側の融和をはかろうとしたのだといわれる。
この一騎打ちに勝利した馬超は、胡昭に錦馬超と評され、その武勇を称賛された。馬超はいたく感激し、曹操に敗れて故郷を追われ、
馬超 三国志全書