第二十八話 七の矢、新たなる一手(カイル歴五〇三年 十歳)

魔法士発掘の報告も落ち着いたある日、父に対し俺は唐突に、以前の約束の履行を求めた。

「父上、母上、お願いがあります。以前にお約束いただいた通り、バルトを私の専属従者として、配属していただきたく思います」

十人の魔法士を揃えた時点で、父との約束により俺は、一千枚を超える金貨を手に入れており、儀式の必要経費を引いても、残った手持ち金貨の合計は、軽く一千枚を超えていた。

承認が必要な予算として与えられていた一千枚は、射的場の運営や受付所の拡充などで使用し、今は相当目減りしているが、俺が自由に使えるこの一千枚以上の金貨の存在は非常に大きい。

そこで、父の伝手を借り、次の手を打つ決心をしたのだ。



「バルトを使って何をするつもりだ?」

「はい、彼は時空魔法士で、父上と同じく空間収納が使えます。今後は交易商人に同行してもらい、ある役割を果たしてもらいたい、そう考えています」

もしかすると、父も似たようなことを考えていたのかもしれない。少し渋い顔をされた。

「うむ……、その件か……、実は、儂もな……」

「領主の貴方が約束を違えてどうなりますか?」

言葉を濁していた父に、母が笑いながら差し込んだ。

いや眼だけは笑ってない。いつもの、絶対逆らったらアカンやつ、です。

「も、もちろんだともっ! 約束通りバルトを、タクヒールの専属使用人として認める」

母の背後から、どす黒い霧のようなものが上がるように感じた父は、慌ててそれを認めた。