第十二話 必死の囲い込み(カイル歴五〇一年 八歳)
ヴァイスさんと話をし、館に戻った翌日に俺は家宰のレイモンドさんの執務室に向かった。
レイモンドさんは常に多忙だ。だが俺の鬼気迫る様子に、ほどなくして話をする時間を貰えた。
「タクヒールさま、何か急なご相談と伺いましたが、どうされました?」
「無理にお時間をいただいて申し訳ありませんでした。急ぎ両親に提案したいと思うことについて、どうしても整理できず困っています。レイモンドさんの意見やお知恵をどうか貸してください」
「承知しました。まずはご提案の概要を教えてください」
俺は、自身が知るなかで最高の軍師の助力を得られたことで、安堵しつつ考えを披露した。
「はい、提案したいことは大きく二つです。一つ目は、難民たちのこの先の行く末です。
この数をこの先もずっと抱え続けることは、現実的に難しいと考えています。ですが、せっかく彼らはソリス家を頼ってくれたのです。彼らを新たな領民として抱え込み、この領地の生産力を上げる機会にできればと思っています。この点はいかがでしょうか?」
「ふむ……、その点は行政府も同様に考えています。因みに彼らをどうやって抱え込みますか?」
「はい、新たな開拓地を定め、希望者を募って入植を進めるのはどうでしょうか? 自分なりに、開拓地の候補として、テイグーン山を考えています」
レイモンドさんはこの話を聞き、ふっと笑った。
「タクヒールさまは、どうしてテイグーンが開拓地として相応しいと思ったのですか?」
やばい、なんか見透かされている気が……。
「はい、それには理由があります。難民たちは主に、ゴーマン領とヒヨリミ領の出身者で占められています。二つの領地から目につきにくい辺境の場所、そうなるとテイグーンが最適です」
「最適ですか……」
「はい、辺境では野盗や魔物の心配も尽きません。ですが、テイグーンなら守りも固く安心です。更に、魔境は危険ですが宝の源でもあります。将来的に魔境開拓の拠点としたく考えています」
「なるほど……、先に二つ目の提案もお伺いしましょうか」