竹ごと火にくべて茹でてみて気付いたことは、ゆでることは可能、湯切りも可能だったが、竹を割らないと麺が取り出せない! こんなことに気付かないなんて、焦りすぎているのかな……。

俺は少し落ち込んだ。

最初のカップ麺製造計画は失敗した。でも俺は諦めなかった。蓋として耐水性のある紙、油紙や蝋紙みたいなものがこちらの世界にないか探してみたり、少し大きめの穴、茹でた麺を取り出せる大きさの穴を開け、木の栓で蓋をしたり。容器の工夫と改良を重ねていった。

同時に、ミゲルさんと共に、竹筒ごと火にかけて調理してみることを繰り返し、並行し麺と一緒に筒に入れ、携行できる乾燥調味料の開発も進めていった。数えきれない失敗を繰り返した後、当初の目論見通り、携行可能で調理器具にも器にもなる保存食、『うどんもどき』は遂に完成した。

もちろん、それなりの味……、だったが、それまで戦地で食べられていた携行食料よりは遥かにおいしく便利なものだという自信はあった。


これで何とか、戦時用の兵站へいたん食料備蓄、災害用備蓄という名目で父に提案できる下地ができた。蓋の形状は少し変わってしまったが、これをおみくじ乾麺と呼ぶことにした。この時点で俺は有頂天だったのは言うまでもない。竹筒に関わる課題に気付いたのは、それから少し後のことだった。

試作品を大量に作って暫く経ったある日、おみくじ乾麺の竹筒を振ってみると変な音がした。不審に思って中を見ると……、乾麺は湿気っており、そしてカビだらけだった!

青竹には水分が含まれているため、燃えにくいからこそ調理器具として使える。そう水分が……。

これが問題となっていた。乾燥した竹だと、火にかけるとよく燃えた。器ごと全部……。

俺はいつものポーズで頭を抱え込んでへこんでいた。

「キャー奥様っ! タクヒールさまが今、久し振りにあのポーズを!」

気が付けば、母とメイドたちに取り囲まれていた。いや……、今は勘弁してほしい、ホントに。