今もドラゴンは貴族共を襲ったり、カジノ内部を荒らしまわったりしていますけれど、ずっと地下で飼われていたからか、あんまり美味しそうじゃありませんのよねえ。なら、このまま放置しておくに限りますわ。
そうしてカジノを去る私達の背後では、貴族共の悲鳴と魔物の唸り声、それに硝子やクリスタルが割れ砕けていく音なんかが混じり合って勝利のファンファーレを奏でてくれますの。
いよいよ崩壊していくカジノを背景に、私達はこれにてトンズラ、ですわね。カジノの周辺にはすっかり人だかりができていて、カジノの中で何が起きているのか、と恐怖と好奇の目を向けていますのよ。これだともうじき、王城の兵士達が駆けつけてくるでしょうし、その前にさっさと逃げますわ!
それでは皆さん、ごきげんよう! おほほほほほ!
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はい。というわけで、私達は無事、大金を得ましたわ。これ、ほとんどが上級貴族共から奪ってやったお金だと思うと、なんとも愉快な気持ちになれますわねえ。
「ヴァイオリア。新聞買ってきたよ。はい」
「あら、キーブ、ありがとう。……あらっ、あのカジノ、やっぱり潰れたんですのねえ」
更に、新聞一面大見出しを見てまた笑顔になっちゃいますわ。あのカジノ、王家が直々に取り潰しを発表したらしいですわ。まあ、取り潰すまでもなく、もう半壊してるらしいですけど。おほほほほ。
「そりゃあね。あんな大事故が発生しちゃった以上、王家が直々に、カジノを取り潰すしかないでしょうよ。王家の後ろ盾があったカジノなんだし、責任は取らなきゃね」
王家もまさか、自分達にとばっちりが来るとは思ってなかったでしょうね。いい気味でしてよ!
「貴族にも大損害が出た。王家への信頼も揺らいだ。そして平民にも、貴族連中の管理の甘さや王家の無責任さが見えるようになった。……また、この国をひっくり返す材料が増えたな」
ドランが嬉しそうにしてますわねえ。ええ、まあ、概ねその通りだと思いますわ。たかがカジノが一つ潰れただけ、ですけれど、見方を変えれば王家の威信が一つ潰えた、ってことですものね。
そしてそういうゴシップが大好きな平民達は、面白おかしく噂をしては楽しんでいるようですわね。新聞にも『不正を行っていた貴族への天罰』だとか『王家の承認は何の保証にもならないと証明された』だとか、好き勝手書いてありますわね。よく見たら、カジノで行われていたイカサマについての記事が寄稿されてますわ。これはもう、他のカジノもやってられなくなったことでしょうねえ……。
「とりあえず、よかったじゃねーか。酒飲もうぜ! カジノから持ってきたやつあるからさあ」
チェスタはゲラゲラ笑いながら、いつの間にか高級ワインを開けていますわ。確かにカジノで振る舞われていた銘柄のようですけれど……これ、いつの間に盗んできたんですの? 本当にチェスタはこういうところだけ抜け目ないというか、ぶれないというか……。
「ヴァイオリアも飲むか?」
「ええ、頂こうかしら」
「あっ、駄目。ヴァイオリアはワインじゃなくてお茶淹れてよ。ケーキ買ってきたから」
チェスタからワインの瓶を受け取ろうとしたら、途中でキーブに遮られちゃいましたわ。更に、なんだか可愛い顔でそんなこと言われちゃったものですから、ワインは無しですわねえ。
「ケーキ? どうしたんですの?」
「あのカジノでやってたイカサマについて、新聞社に寄稿したらお小遣い稼ぎになったから。そのお裾分け」
あら、あの寄稿文、キーブのだったんですのねえ。……彼もチャッカリしてますわあ。
「ま、そういうことでしたらお茶にしましょうか。ついでに、以前どこぞの貴族の家から頂いてきた焼き菓子がいくらかありましたから、あれも出しましょうね」
「俺も酒よりそっちにしようかな。俺も交ぜて交ぜて」
「俺は酒! あと薬!」
「俺も酒にしておく。だがつまみに菓子は貰うぞ」
まあ、賑やかでよろしくってよ。美味しいケーキとお菓子、美味しく淹れられたお茶、そして各社の新聞のゴシップ記事を皆で囲んで楽しむのは格別な楽しみですわ! 今日はこのまま勝利の美酒ならぬ勝利の美茶に酔いしれるのも悪くありませんわね!
ということで、それでは皆様、ごきげんよう!