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「遅いッ!」
「ぐはぁっ…………!!」
私こと剣帝ミルア・レーニスは、エルフ王国に突如襲いかかってきたテロリストどもを、次から次へと蹴散らしていた。
それも少人数ではない。
実に数え尽くせないほどのテロリストがここに押し寄せ、エルフたちに片っ端から攻撃を仕掛けている。
おそらくは現在、三大国代表会談で何か重大な事件が起こっているのだろう。
そしてそのトラブルに乗じて、ユリシアがエルフの大量誘拐に乗り出した。
当たっているかどうかはわからないが、これがだいたいの経緯だろうとミルアは考えていた。
――本当にユリシアは卑劣だ。
あいつの顔を想像しただけで反吐が出る。
けれど、それさえ先読みしていたのがエスメラルダ王子殿下だった。
――今後、ユリシアの手先どもが奇襲を仕掛けてくる可能性がある。いいかミルア。その時はもちろん、おまえが中心になって迎え撃つんだ――
ヴェフェルド王国に向かう直前、エスメラルダ殿下はこのような言葉を私に投げかけてきたのだ。
三大国代表会談の同行者として選ばれなかった時は本当に悲しかったが、エスメラルダ様はすべてにおいて最善の選択を下していたのだ。
エルフ王国にクローフェ女王がいたら、まず間違いなく最優先で狙われていただろうし――。
ある意味では最も安全な三大国代表会談にクローフェ女王を呼ぶことで、この襲撃に備えようとしていたのだろう。
しかも。
「く、くはっ……! 馬鹿な!」
「なぜエルフどもが我らをも
襲撃してきたテロリストもかなり戦場慣れしているようだったが、エルフたちのレベルはそれさえ上回っていた。
突然の襲撃に最初は驚いていたエルフたちも、今ではしっかりと反撃に転じることができている。
……しかも、こちら側はラストエリクサーを大量生産している状態。
もはや負ける理由が思いつかないほどに、こちらが圧倒的に優勢だった。
「さあ行くぞ! エスメラルダ様に鍛えてもらった恩義を返すのだ!!」
「エスメラルダ様のためにッ!!」
皆がエスメラルダ王子殿下のために奮起しているのを見て、私も思わず泣きそうになってしまった。
最初はあんなに無能扱いされていたのに。
最初はあんなにエルフたちに怖がられていたのに。
今ではみんな、エスメラルダ王子殿下のために命をかけている。みんなエスメラルダ王子殿下を尊敬している。
ならばこそ、私も覚悟を決めねばならない。
誰ひとりとも死なせることなく、この正念場を切り抜けるのだと……!!