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私――クローフェ・ルナ・アウストリアは、エスメラルダ様がいかに素晴らしいお方なのか、強く思い知ることとなった。
三ヶ国のトップが一堂に会する、三大国代表会談。
それの存在自体は前から知っていたが、ではなぜ、エスメラルダ様は会談に参加しようとしているのか……。
最初はそれが理解できなかった。
ユリシアといえば、エルフやエスメラルダ様にとって許しがたき敵。
表向きは「エスメラルダ様の国際社会の立場を盤石にする」と聞こえの良いことを言っているが、絶対にそれだけではないだろう。
こちら側を陥れるような、ろくでもない策を講じているに違いない。
三大国代表会談を言い訳にして、私たちを蹴落とそうとしているに違いない。
少なくとも私はそう思ったし、きっとエスメラルダ様も勘付いているはずだ。
この代表会談で、ユリシアは絶対に何か仕掛けてくるだろうと――。
しかしそれでも、エスメラルダ様はあくまで泰然自若としていた。
周囲の人間からどれだけ好奇の目を向けられようとも。
どれだけ根も葉もない噂を広められていたとしても。
エスメラルダ様はまるで怯むことなく、城下町を突っ切っていたのだ。
そしてついに――王城の手前で憎き女と相対した。
私たちエルフを何人も誘拐した諸悪の根源――ヴェフェルド王国の第一王女、ユリシア・リィ・ヴェフェルドと。
きっとエスメラルダ様にとっても、かなり恐ろしい相手であるはずだ。
なのに――その際もやっぱり、エスメラルダ様はまったく動じていなかった。
いや、それどころか少し煽っていた雰囲気さえある。
ここで私は察したのだ。
エスメラルダ様だって本当はユリシア王女が恐ろしいはずなのに、それでも立ち向かってくださっているのは……絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対に私たちエルフのため。
私たちを困難から救い出すために、あえて危険地帯に飛び込むことをお選びになったのだ。
思えばいつもそうだった。
エスメラルダ様にはなんのメリットもないのに、みずから悪鬼を倒しにいって。
みずからの命を
自分専用の部屋を作らせることなく、エルフ王国の強化に献身なさって。
エスメラルダ様はいつも、無償で私を助けてくれた。
自分にとってなんの得にならないことでも、私たちのために時間と労力を
だからきっと――これも無償の行動なんだろう。
危険な策を講じているとわかっていてもなお、果敢にユリシアの提案に乗り。
そして今回も、無償でエルフ王国を助けようとしてくださっている。
本当に……本当に素晴らしいお方と出会えたと思う。
ヴェフェルド王国の他の王族とは大違いだ。
ならばこそ、私たちエルフも動かなければならない。
たとえエルフ王国が損することになったとしても、エスメラルダ様のために、永遠に献身するのだ。
もちろん、それでエスメラルダ様に対価を求めることはない。
今だって、この方はメリットなしで私たちを助けようとしてくださっているのだから。
――そんなことを考えているうちに、いつの間にか一時間近くが経過していたらしい。
「時間だ。いくぞ」
「はいッ!」
大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きなエスメラルダ様に呼びかけられ、私たちは控え室を後にするのだった。